文鎮堂おすすめBOOKS:Just Kids

Just Kids by Patti Smith
(レクサイル指数) 推定1000L 

  2007年にロックの殿堂入りを果たし、”Godmother of Punk”とも呼ばれるシンガーソングライター、Patti Smithの回想録。89年にエイズで死の床にあった写真家、Robert Mapplethorpeに、書くことを約束したふたりの物語が、当時のNYの空気と伴に詩的に綴られる。
 生き辛さと、芸術家になる夢を持つ、似た者同士がNYで出会ったのは、共に21歳、Just kidsの頃だった。赤貧時代を経て、芸術家の集うチェルシー・ホテルに住み出す。ディラン、ウォーホール、J. ジョップリン、J.ヘンドリックスらとの、数々のエピソードも興をそそる。だが、胸に迫るのは、ふたりの突き上げるような表現欲。そして、ゲイであることに目覚めたロバートと、恋人として傷つきながらも理解を示す著者との、終生変わらなかった強い絆。本書は多くの心を揺さぶり、2010年の全米図書賞を受賞した。

●英文和訳
I never saw him through the lens of his sexuality. My picture of him remained intact. He was the artist of my life.
彼を、性的志向というレンズ越しに見たことは一度もなかった。わたしの中のロバート像は損なわれず、彼はこれまでで最高の芸術家だった。

おすすめBOOKS for Readers-Aloud(リードアラウドする人)

新年度のリードアラウド・ワークショップ、その入門編が先日終わった。
これに参加して下さった方も、出来なかった方も、リードアラウドに興味をもっていたら、ぜひ次の本のご一読を。
以前からお勧めしているが、久しぶりにまたブログに記しておく事にする。

1.『外国語学習の科学ー第二言語習得論とは何か』
(岩波新書:赤帯) 白井恭弘著

2.Fluent Reader(改訂版)

3.Reading Magic

オーディオブック(貴重音源!:リードアラウドの名手である著者本人の読み方を、耳から大いに学べる)

わたしの提唱する「リードアラウド」は、この3冊に大変触発された。
先生としてのバックボーン作りに大推薦。

2012年度リードアラウド・ワークショップ

先日は単発で「絵本で英語を教えたい人のためのリードアラウド入門」のワークショップがあった。

使った絵本は、頑張って2冊;
Yo! Yes?
First the Egg.

どちらも入門書であり、共通するのは「余白」が多いこと。
これらは文字数としては「やさしい」本になるが、指導者にとってはその余白をどう表現するかが、難しい本になる。

英語入門レベルの子どもに、各ページの内容を伝えるために、そこに描かれた絵を見せながら、指導者が文字を読む。
その場合、指導者が本全体の解釈をそれなりに考えていないと、指導者の口からは、からっぽの言葉しか出ない。
解釈していない人の口から出る言葉は、虚ろ。
すると、英語がわからない子には、チンプンカンプン。

逆に、指導者の口から出た文に本の解釈が入って、文字ではなく言葉になっていれば、英語がわからなくても、伝わる事が多い。

リードアラウドの指導者養成では、指導法をある程度「型」にして伝授するとともに、指導者の表現力を高める朗読指導を、もうひとつの柱にしている。
先日の「入門編」では、ある程度パッケージとして渡しやすい指導法を中心に進めた。

だがもうひとつの柱の表現力、朗読は、頭より体に覚えさせなければいけないので、時間がかかる。

「入門編」のあとのワークショップ、2012年度の連続ワークショップが、3月から始まる。
総論的講義は入門編にまかせたので、本ごとの各論が中心になる。
だが、必然的に総論もひょこひょこ出てくる。
そこで、「入門編」をはずした入門者も、やりようはあるだろう。

リードアラウド指導上達は、運動競技の上達にも似ている。
ルールや理論を机上で学ぶ。
同時に、筋トレや、競技に必要な例えばドリブルやシュートなどを、体に覚えさせる。
それから試合。
試合は、毎回異なり、そこで反射神経を養いながら、不足している力を自覚して、次の練習目標をみつける……。

この連続のワークショップでは毎回、次回への課題が出る。
次回にその後の「家庭学習」の結果を披露する。
多少のプレッシャーになるが、これも上達への道だ。

最低2回連続で参加すると、1つはこの「宿題」を持って約1ヶ月過ごすことになる。
それが、自分を追い込み、結果として嬉しい上達、達成感を実感することになる。
それは実に、爽快なこと!

また、たとえ結果的にとびとび参加になっても、ぜひ最終回の発表会での発表は予定に入れておいて欲しい。
ここで、最後の踏ん張りを、みんながする。
このときも、すごい「実」を育てる機会なのである。

「喜んでもらおうよ」とリードアラウド

また朝刊(2012.2.26)を読んで考えた。
今日は、糸井重里さんの記事。
コピーライターでギンギンしていたころの言動を読んだりした限りでは、高慢な人かと思っていた。
が、今は随分と共感できることを言う人に。

いわく、
「誰かが喜んでくれるってことは、自分がいて良かったということ」。
「世間が考えるようないいことをしているのが素敵な自分なんじゃなくて、喜ぶ人の顔を思い浮べていきいきしているのが素敵な自分」。

いて良かった人、あって良かったもの、になれているかな。
わたしたちと、リードアラウド。
まあ、「わたしたちとリードアラウド」は、「本」という王様・女王様をみな様に紹介する小間使いではあるが。

みな様、出会えてよかった本に、リードアラウドを通して出会えていますか?

文鎮堂おすすめBOOKS:To Kill a Mockingbird

 To Kill a Mockingbird by Harper Lee
870L/376pp

Pulitzer Prize受賞作であり、60年代に米国の公民権運動が成功した「主な理由」と言われる本書。米国で「高校生が学校で最も読む副読本」との2008年の調査結果もあり、英語圏では今も読み継がれる教養小説である。
 30年代の南部、アラバマ州の小さな町に住むお転婆な小学生スカウトが語る、ある事件を頂点とする3年間の成長の物語だ。”niger-lover”と呼ばれながらも、黒人容疑者の弁護を引き受けたリベラルな白人弁護士の父。その父が息子に空気銃を贈る10章で、タイトルの意味が、そして主題が浮かび上がる。(的などを撃つのはいいが)…it’s a sin to kill a mockingbird(1)。父が子どもたちに初めて「罪」という言葉を口にする場面。隣人が解説する。Mockingbirds don’t do one thing but make music for us to enjoy. …they don’t do one thing but sing their hearts out for us. That’s why it’s a sin…。「鳥」は、社会のinjustice(2)やhypocrisy(3)に傷つく innocence(4)の象徴だろう。身に覚えのない強姦罪で訴えられ、lynch(5)や死刑の恐怖に震える黒人容疑者がいる。事実は、“white trash”(6)と呼ばれ孤独な娘が彼に言い寄り、激怒した父に暴行されたのだ。他にも「鳥」がいる。子らがBoo(7)と呼び想像をたくましくする、わけありの隠遁者。黒人女性と事実婚し「村八分」の白人。正義を信じる子どもたち。Isn’t it a sin? ナイーブな問いは、まだ心に響く?
註:1. マネシツグミ 2. 不公平 3. 偽善 4. 無垢、無実 5. 私刑 6. 最下層の白人の蔑称 7. お化けだぞ

○「アラバマ物語」の名で映画化。グレゴリー・ペック主演
To Kill a Mockingbird
『To Kill a Mockingbird』

1930年代のアメリカ南部アラバマ州の小さな街が舞台。お転婆な少女スカウトの視点で描かれる。あるとき父親が、暴行事件で起訴さ…