絵本リードアラウド認定講座第8回報告その2:語り口を考える〜リードアラウド研究会

「普通のひと」の絵本の読み方と、少しでも先生について稽古した人の読み方の違いのひとつに、語り口を意識しているかがある。

今回は、『Animals Should Definitely Not Wear Clothing』を使って、作品の持つ声、語り口を考え、適したものでの朗読を演習をした。

本文は「動物というものは〜」と始まるが、これを誰が言っているだろう。

「服を着るべきではない」と客観的に報告、伝聞するならアナウンサー。

動物の代表が、国連のようなところで演説とか訴えをするという状況も考えられる。これは動物自身だから、主観的になる。

それから、「動物に服を着せるとこんな変なことになる」と面白おかしくかつダイナミックに語るという講談師という想定もある。

この3通りで本書をそれぞれみなさんに読んでもらった。

「だれが言っているのか」を意識するだけで、階段何段か飛ばしの説得力のある、表現として聴く気になるいい朗読に変化したのに、皆さん自身は気付いただろうか。

逆に言えば、語り手がだれかを意識しないで読むことが、どれほど「手抜き」か、それがわかって怖くなるだろう。

 

「動物の代表」として演説のような読みっぷりは、自分が動物の代表だと意識するだけで、ずいぶんと感情が移入できた。

いいところまで仕上がったように思う。

 

リードアラウドは、通常なら「アナウンサー」読みはしないのだが、これはこれでできれば、その人の「持ち札」が増えていろいろ読むのが楽しくなるだろう。

本講座はリードアラウドを真面目にやってきたせいか、いざ、感情を入れず情報だけを伝えるようなアナウンサー読みが、もはや難しくなってしまったかのよう?

リードアラウドの上級者として、講談師の読みというか、「けれん」のある観客に訴える熱量の高い読みもできるようになりたい。

本課題書を講談師風に読むのは、ひとつの解釈として面白いと思う。

そのために観客に聞かせる意識を、強烈に持つこと。照れてはいられない。それを乗り越えると、不思議な高揚感で気持ちが良くなる。

英語の先生という職業を選んでいるという時点で、たいていの皆さんは自然体で「講談師」ではないだろう。そんな英語の先生が、「講談師」の話力もつけたら…。

今回は、nice try。

その姿を見せるだけでも効果があるだろう。さらにこれを磨いて、観客を集中させる力、沸かせる力を、適した本なら「講談師」の話術でも、できたら素晴らしい。

 

絵本リードアラウド認定講座第8回報告その1〜リードアラウド研究会

本年度の講座は残すところあと1回、また10回目(2020年1月18日)は発表会と審査会だ。

今回は『Animals Should Definitely Not Wear Clothing』。

 

 

あっ、右のwearさせられた動物の写真は、講座とは関係なし。(今回欠席した認定講師のお宅のanimal。ただしこのanimalの場合、「He likes it!」と飼い主はおっしゃっています)

ちなみに本書はイラスト違いの2種類あり、オリジナルはすでに絶版で古本で手にいれるしかないが、個人的にはオリジナルが好きだ。

オリジナル本のほうがより動物のイラストがリアルで、「動物に服など身につけさせる」ことの滑稽さが浮かび上がっているように思うがどうだろう。

さて本書のテーマだが、動物に服を着せる不条理さ、なんてところか。(ただしそれが好きなイヌもいるらしい…)

 

本書を選んだ、というところから「指導」は始まる。

今回は4-12歳向けの指導を念頭に置いたが、そのなかでも「絵本なんか(幼稚だ)」と言い出す9歳ごろからの子どもに、特に適する。その理由や選書の重要性を、一緒に考えた。

その年頃になった子どものリードアラウド指導に、選書の次に大切なのが、年相応の読解をさせること。

まだつたない英語で、本の内容についてディスカッションはできないだろう。それがフラストレーションを生み、彼らが本にもクラスにも興味を失うきっかけになる。

そこで、年齢なりの、またはちょっと背伸びした解釈などを、母語を使って語らせたらどうだろう。

いわゆる「オールイングリッシュ」が、巷で表面的に広まっている昨今、英語指導者は母語を使うことに躊躇してはいないだろうか。

母語と英語について、第二言語習得論的なトピックスを講座ではディスカッションした。

そこでは、こんな強い味方を紹介した。

第二言語習得を研究する J.Cummingsが2001年に発表し、以来研究者たちに多く引用され定説的になっている考えである。

 

言語能力のひとつである読解力を司っている、認知・学術能力(Cognitive Academic Language Skills)。 この能力は、第二言語と母語で共有される、

という考えだ。

水面上では二つの頂きに見える氷山が、実は水面下でつながっているとイメージするとわかりやすい。

ひとつは母語の頂き、もうひとつは第二言語の頂きである。

これらが水面下の大きな基底部でつながっている、というのが第二言語と母語の共有基底言語能力のモデル。

経験だけで語るのではなく、このような学問的認識を持てば、母語でのより深い解釈やディスカッションが英語の読解力になっていくと、親御さんたちにも自信を持って説明できるだろう。

 

模擬指導の時間。ここでは、発問、発問、発問。みなさん頑張った。

生徒役がちょっとおとなしすぎて、スムーズに進みすぎた嫌いはあったが、問いかけて進めるというクセはつきつつあるようだ。

 

今回、紹介した新しい言葉はrecast。

生徒がもし母語で答えても、「英語でいいなさい」とコミュニケーションを止めてしまわずに、母語による発言をYes, andで一旦受け入れてから、それを指導者が英語でいいなおしてあげる。

すでにみなさんは実行していることだろうが、指導する上で、termとして規定しておくことで、論が進めやすくなるので、今後は使っていこうと思う。

 

何しろ生徒を肯定し、語らせ、コミュニケーションを続けることが、生徒のやる気につながる。

そういう授業を「クセ」にしたい。

(つづく)

 

小学生中学年以上に、英語を読み続けさせるには~キッズブックス英語スクール

小学生などまだまだ「小さい子」なのに、学年を上げていくと「絵本なんて小さい子の読むものだ」なんて言い出したりする。

絵本だけでなく本離れしてしまうこともある、こうした「危険な」年頃の子どもに、どう絵本や読書を楽しませ、特に英語学習に繋げ続けるか。

指導者の指導力が試されるところでもある。

また、その時期になった教え子に、「つまんない」と言われ、あげくに「やめる」と言い出されたときのショックはかなり精神に響く。

どこがいけなかった?何がつまらなくした?自問自答の苦しい時を過ごすことになる。

反対に、「みんなが、こんな風に続けてくれたらいいなあ」と思う、理想的な生徒との時間を持てることもある。

FBにそんな時のことを書いた。

【小学生クラス】発表会を目指して、この『The Day the Crayons Quit』を「色別」に担当を決め、練習中。
英語入門から継続して一緒に絵本でリードアラウドしている4年生男子。たまにグダグダの日があるが、こちらがツボを当てた時の理解力の深さや興味や好奇心に感心する。この本、クレヨンそれぞれが持つ不満を、クレヨンの持ち主に訴える内容だが、この生徒とは各クレヨンの不満やその後などについて、ディスカッションができる。英語、文字を読む勉強としてだけでなく、本の内容について会話ができることが嬉しい。このクラス、読解や表現といったリードアラウドの真髄を実現しつつあるかな。

ここで言う「ツボを当てる」のが、実はとても難しい。

その成功は、例えばこんな方法で訪れたりする。

▪️母語での読解力があると踏んだ生徒なら、内容に対する本質的な質問をいろいろ投げかけてみる。

英語では、まだ単純な答えしか言えないが、母語でいいとなると、怒涛のように面白い意見、ユニークな見解などが溢れ出ることがよくある。

そこで、その意見を拾い上げ、一緒にその本について語り合う。すると本の印象が深くなり、さらに興味が湧き、「読む気」が維持される。

▪️「作り話なんか」と思っているむきには、ノンフィクション系を与える。

この小4男子は物語にも乗ってくれるが、授業の初めに「Brain Quest」というクイズのフラッシュカードを、嫌がらずにする。クイズの分野は、算数、英語(文法など)、地理、科学などに広範に渡り、大人でも英語でどう言うか知らないものもあり、小学生にはチャレンジングで大変よろしい。

もともと知りたがりというのが子どもの一般的な特徴で、こういうクイズにうまく「食いついて」くれる。

問題文が難しすぎるとやる気がわかないが、そこは学年を下げ(現在G1)て、問題文はできるだけ自力で理解できるもの、または少々手伝う。

知らないことへの興味が湧いているようすが見られて、嬉しい。

算数は特にいい。

答えに予想がつけやすい。解けたときの「したり顔」がみられる。自信や達成感の積み重ねが、小学生のやる気を起こしてくれる。

▪️シャドーイングさせて、ぐいぐい引っ張っていく。

本の内容や英語が、生徒の体に入ってくるのは、やはり何度も読んだあとだ。何度も読ませるには、指導者が引っ張る。

そうすることで、読む速さや抑揚や表現も上等なものになる。

シャドーイングで指導者の読みを耳に入れ、口ですぐに反芻させるのがいいらしい。生徒も読めない苦痛がなく、調子が上がる。

▪️Word Ballゲームで「遊ぶ」と見せかけ、語彙を身につけさせる。

先日、復習として既読の2冊読ませたが、以前はたどたどしかった難しい単語の読み、例えば congratulateとか、aggressiveとか、successfulとかが、あっと驚くスラスラさ。驚いた。

これは集中が切れた時、やる気が失せている時にとくに効果を発揮するアクティビティ、Word Ballゲームのおかげだ。

やり方は簡単。課題書の新出語彙や読みにくい語彙を板書、またはポスターにして貼る。

その読みを一度、おさらいする。

それからボールか、柔らかい人形をパスしながら、受けた生徒がどれか一語を言う、という単純なゲーム。

だんだん速くする、間をおかない、ということでプレイすると、それなりに指導者も一緒になってムキになり、大きな声が響く。

 

いろいろ指導者として技を磨き、生徒には力を効果的につけさせそれを実感させて、小学生の「英語離れ」をくい止めたいものだ。

 

発表会で目指すこと~キッズブックス英語スクール

スクールでは年に二回、発表会をしている。

4月からリードアラウドしてきた絵本は、棚にしまいっぱなしにするにはもったいない。

それに絵本は何度も音読して、自分で読めるようになると、聞くだけと違って、口にのせた「音」での面白みや、読解力がつくことで「オチ」などのユーモアがわかったりする。

 

あやふやだった部分は、繰り返し読むことでより鮮明に見えてくる。英語の「解像度」が上がるのだ。

 

そして、英語を人前で読む、表現するという経験である。これは、英語でのコミュニケーションの自信につながり、ちょっとやそっとでは消えない今後の強みになる。

 

さてさて、今期の準備について。

 

特に小学生の親子クラスの生徒は、そろそろ「観客」を意識しよう。

緊張せよというのではない。

ただ闇雲に読まず、お客様をentertain する意識を持とうというのだ。

 

「聞かせる」「聞いていただく」ために、舞台に立つ。この意識を持とう。

 

そのためには、

まずは、一番遠いところに座っている人にも聞こえる声を出す。

間違ってもいいから、はっきりした声を出す。

(間違えたら言い直せばいい。そのために先生がいる)

 

「いい加減でいい」というリラックスではない、「もう読める」と思うことからくるリラックスを目指そう。

 

次は、観客に「ウケ」てみよう。

言い換えれば、その本のツボ、自分のリードアラウドのツボを表現して、観客を楽しませる。

 

「ここですよ!」とわかるように一息置いてから、観客の顔を見る。

そして、より大きな声や感情を出して読む。

 

とりあえず講師が指導をするから、まず生徒はそれをこなす。

頭で分かってから表現する、という方法もあるが、表現を学んでから分かる方法もある。

 

こうして読解や解釈が肉体化すると、強い。そして子どもは特に、その記憶を長く持ち続ける。

 

スクール生用お役立ちサイト〜キッズブックス英語スクール

インターネットが発達して、無料で使える英語学習サイトがたくさんできました。

古い世代の私たちは時間を費やして作っていた「単語カード」や「単語長」、今やあっという間に作れて、それで小テストを作って自己採点したり、音声を聞きながら学んだり、どこを間違えやすいか自分の回答の統計を見たり、印刷までできます。

今期、親子クラスがお楽しみ中の『I Spy Ultimate Challenger!』に出てくる語彙のファイルを、いつもの

quizlet.com

 

emi oshima ファイルに入れておきました。まだ30語ですが、先日のクラスでの感じですと、まだマスターまで行っていないようです。

「Learn」というモードでも、「Flash Card」というモードでもいいので、お遊びの感覚でどうぞ。

また、Playモードにして「Match」と「Gravity」というゲームでも遊べます(ある程度、単語を覚えたら)。

 

ご参考までに、今、高校2年生の生徒も、今年、外大に進学した元生徒も、この「TOEFL」などで毎週、語彙のテストを利用しています。

皆さんも、emi oshimaファイル内の他のセットの中に、既習の本のタイトルを見つけたら、ぜひ、それらにも挑戦してみてください。

小学生クラスの皆さんにも『Graffalo』など、セットがファイルに入っています。

 

語彙は、定着まで時間がかかりますが、何度も目の前を通った言葉は定着するチャンスがだんだん近づきます。忘れても、次は少し忘れにくくなる。気長に、家族の皆さんも、ご一緒にどうぞ!