文鎮堂おすすめBOOKS:To Kill a Mockingbird

 To Kill a Mockingbird by Harper Lee
870L/376pp

Pulitzer Prize受賞作であり、60年代に米国の公民権運動が成功した「主な理由」と言われる本書。米国で「高校生が学校で最も読む副読本」との2008年の調査結果もあり、英語圏では今も読み継がれる教養小説である。
 30年代の南部、アラバマ州の小さな町に住むお転婆な小学生スカウトが語る、ある事件を頂点とする3年間の成長の物語だ。”niger-lover”と呼ばれながらも、黒人容疑者の弁護を引き受けたリベラルな白人弁護士の父。その父が息子に空気銃を贈る10章で、タイトルの意味が、そして主題が浮かび上がる。(的などを撃つのはいいが)…it’s a sin to kill a mockingbird(1)。父が子どもたちに初めて「罪」という言葉を口にする場面。隣人が解説する。Mockingbirds don’t do one thing but make music for us to enjoy. …they don’t do one thing but sing their hearts out for us. That’s why it’s a sin…。「鳥」は、社会のinjustice(2)やhypocrisy(3)に傷つく innocence(4)の象徴だろう。身に覚えのない強姦罪で訴えられ、lynch(5)や死刑の恐怖に震える黒人容疑者がいる。事実は、“white trash”(6)と呼ばれ孤独な娘が彼に言い寄り、激怒した父に暴行されたのだ。他にも「鳥」がいる。子らがBoo(7)と呼び想像をたくましくする、わけありの隠遁者。黒人女性と事実婚し「村八分」の白人。正義を信じる子どもたち。Isn’t it a sin? ナイーブな問いは、まだ心に響く?
註:1. マネシツグミ 2. 不公平 3. 偽善 4. 無垢、無実 5. 私刑 6. 最下層の白人の蔑称 7. お化けだぞ

○「アラバマ物語」の名で映画化。グレゴリー・ペック主演
To Kill a Mockingbird
『To Kill a Mockingbird』

1930年代のアメリカ南部アラバマ州の小さな街が舞台。お転婆な少女スカウトの視点で描かれる。あるとき父親が、暴行事件で起訴さ…