夏になると、ポートランドの街中で日本からの学生集団をよく見かける。
先日など、そういう日本人を受け入れる側の先生のミーティングに、カフェで隣り合わせたりもした。
この街で観光名所にもなっている、巨大書店の児童書売り場。
わたしが本選びをするところだが、そこでもしばしば、日本からの学生グループと一緒になる。
ある日のこと。
何日も通っても全部は到底見られない、腰が抜けるほどのセレクションの児童書売り場にいた。
その売り場内に、あまたあるセクションのひとつ、「おとぎ話セクション」に、高校生くらいの日本人女子が5~6人固まっていた。
「エルザ」とか「アリエール」とか聞こえてくる。
ははーん。
ディズニー映画のプリンセスたちの本を手に取っているのだ。
「わたし、これ!」
などと、次々とそこから1冊選んでいく。
そういえば先ほど、引率のアメリカ人の先生に、どんなセクションがあるか、書店の売り場ロケーションの説明を受けて、そのどこかで自分が読む本を選んでいらっしゃいと、言われていたっけ。
そうねえ、この広いセレクションの中、あちこち歩くでもなく、かなり早い時期に座り込んだところが、ディズニーのプリンセス・コーナー。
日本の洋書を扱っている本屋さんでも、売れ筋で人気なのはわかる。
でもなあ。
アメリカのこんな巨大な、全部がいわば洋書の本屋さんにいるのに、もったいなくはないか、ありきたりの選書で?
周りを見てみた?
高校生という年齢にふさわしい、ヤングアダルト本までは、英語力で歯が立たないにしても、もうちょっと、冒険はしたいとは思わないのか?
Chapter Booksという文字の少なめの読み物セクションも充実している。
高校生なら読める文と文章量だ。
グラフィック・ノベルというジャンルも、アメリカでは深い内容のものがある。
売り場をもっとよく見れば、絵本の陳列棚に「文字が少ない」「文字がちょっと多い」「文字なし」と3つに分けての、おすすめコーナーもある。
「イヌ vs. ネコ」という取っ付きやすい陳列棚もある。
見て回った?
そして何で、5~6人でまとまっているの?
他を見たいと思っている人もいるでしょうに。
散らばったら?
「知っている話」なら読める、というのも一理ある。
そばに、『はなの好きなうし』とか『げんきなマドレーヌ』とかの原作絵本もあるのに、目は行かない?
ーこれはもしかしたら、もう、「読み継がれていく絵本」というのが幻想?
大宣伝されているディズニーやピクサーのキャラクターしか知らない子どもだった?
絵本から得られるたくさんのいいものを、拾い損ねているかもしれないよ。
あ、それから、本とは関係ないけれど、ずっと5〜6人の日本人としゃべっていて「英語留学」?
「日本人らしさ」とか、日本での子どもの読書人口の現象とかを、書店の一角で考えた。