Summer Reading 2015~The View from Saturday

遅ればせながら、1997年のニューベリー大賞受賞作でもあるThe View from Saturday by e.l.konigsburg を読んだ。

NYの郊外の住宅地に住む、4人の小学6年生の育む友情の物語。
と書くと凡庸にも聞こえるが、大人のわたしが飽きることなく最後まで、中断もせず読み終えられた。
そうではない本も少ないないので、本書を夏の気楽な読書の1冊に推薦しようと思う。

主人公の4人の小学生のうち、わたしが特に興味をもったのは、国籍はアメリカでも、英国で教育を受けたインド系少年ジュリアン。

世界を回るクルーズ船でシェフをしていた父が、舞台になるNY郊外の住宅地の歴史的農家の建物を買い、B & B(Bed & Breakfast)を開業することになって、転校してきた少年だ。

この父子(母は亡くなった)が、ユダヤ系とWASPの白人がマジョリティのような街の学校に、diversityをもたらす。

「Yes, indeed」
というジュリアンのよく使う一言でも、違いが知れる。
indeedを使い、英国アクセントで話すだけで、学校では際立っていじめの標的にもなる。

同じ英語でも、米国の典型的な郊外住宅地的英語でなければ、異質なことを、そこに住む子どもたちはすぐに感じるということ。これが日本人だったらいったいどうなるのだろうと、他人事ではなくなる。

タイトルにあるSaturdayは、このインド系父子がB & Bで開く英国式Tea partyの日に由来する。
いじめを受けるジュリアンだが、話が合いそうだと目星をつけた3人のクラスメートをこのtea partyに招待することから、状況が好転する。
それぞれ屈託を抱えていたが、ここで意気投合した。
こうして、SaturdayのTea Partyは、4人の特別な集まりとして定例化する。

周囲の大人も興味深い。
インド人であるジュリアンの父と、4人のクラスの担任で交通事故以来、車椅子生活を送る先生、このふたりの会話は示唆に富む。

160ページ程度の短い小説だが、そのなかに、学問的クイズの学校対抗大会も織り込んだ。
結果、代表となる主人公4人が勝ち残れるか、読者をやきもきさせ、読書を進ませてくれる。

4人の友情や勤勉さ、真面目さ、熱意などが、4人を訓練する担任の先生を変えてもいく。

ジュリアンの父は、実にいいことを言う。
そのひとつ。

You must know of something’s existence before you can notice its absence.
(ないことに気付くには、先に、その何かがあるということを知っていなければならない)
そうか…。
ある芸術が優れているかどうかは、優れた芸術をそれまでに知らないとわからない。
優れた芸術を知らずして、芸術を語れない。
本物を見ていなければ、偽物を偽物と分からない。

アメリカの、upper-middleのインテリ家庭の子どもたちの話、でもあるので、関係ないとか共感できない人たちもいるだろう。
でも、これもアメリカの、ひとつのview。
面白く読んだ。