「遮断機ゲーム」〜英語絵本リードアラウド・ワークショップ

7月のワークショップ(WS)課題書は『It’s a Book』だった。

先月の『David Gets in Trouble』はmonologue、今回はほぼDialogue、パソコンが好きなjackass(ロバ男子)と、本の虫monkey(サル男子)の会話で成り立っている絵本だ。

それぞれの台詞を色で分けてくれていることと、monkeyの台詞のほとんどは「It’s a book」と初級者にやさしく、リーダーズシアター(RT)するのに都合がいい。

さて、WS。
いつものwarming-upで、姿勢と発声の確認。
また音域と声の響きを拡大するための練習のあと、voice variables control lesson。
今月は、onomatopoeic words(擬声語)。

大いに表現を楽しめるこれらの単語を、見逃す手はない。
tweet(ちゅんちゅんと可愛らしく)やtoot(プーとラッパのように)を意識的に読む。

こうして、順調にWSを進めていったが、みなさん意外とさらっと忘れてしまったかもしれない、しかし、わたしは未だに引っかかっているところについてremarkしたい。

それは「遮断機ゲーム」。
子どもや観客に話しかけたり、読み聞かせたりしているときに、まんべんなく視線を送る練習だ。

生徒役のみんなは、片腕を遮断機のつもりで上に上げて、指導者役が話している間、自分のほうに注意を注いでくれていないと思ったら、上がっている腕(遮断機)を徐々に下げていく。
視線が送られてくれば、また腕を上げる。

指導者役は、「遮断機」を下げさせないか、下がったらいち早く察知して、その生徒に視線を送ってまた上げさせる。

遮断機が下がり切ってしまったら、アウト。
演劇で使われるゲームのひとつだ。

今回のワークショップでは、指導者役をしたみなさんの大ぶりな、視線を送るしぐさが面白すぎて、それはそれで場を盛り上げて、「まあいいか」とさらりと終わった感がある。

みんなをまんべんなく見回すことは、意識しないと、そして落ち着いていないと、なかなかできないものだ。

しかし、それが習慣化しさりげなくなってくると、なぜか授業がよくまとまるようになったりする。

それだけではない。
もしかしたら、今、RA研修でさんざん悩んでいる研修生の問題点が、ここにあるのかもしれない。

子どもひとりひとりの反応を「広域レーダー」のように察知することが、RA成功の必要条件か、とも思う。

そこで、再認識してもらいたい。
みなさんの「レーダー」は、時として90度くらいしか可動域がない。

これでは、取りこぼす子どもが出てしまう。

何かいいたそうな顔を見落す。
大いに笑った顔を見落す。
表情豊かに読んだ顔を見落す。
どこを読んでいるか分からなくなった顔を見落す。
ひどい場合は、挙手を見落したり、発言を聞き逃す。

これらをちゃんと拾う。
ユーモラスに「つっこみ」ながら、予め用意した「授業計画」と合わせていく。
こうした双方向的な取り組みに、みなさんの「レーダー」の性能をアップグレードする必要がありそうだ。

子どもはattentionが欲しい。

考えてもみて欲しい。
この間まで「赤ちゃん」だったような子どもたちだ。
一家のattentionを、一身に受けていた。

聞き役には慣れていない。
退屈してしまうのも無理はない。

なるべく頻繁に、ひとりひとりに注意を向ける。
「君を見ているよ」と思ってもらうことが重要なのだ。

「レーダー」の範囲は、180~240度くらい。

アメリカのある人気者のstandup コメディアンのショーでは、360度だった。
コメディアンを取り囲む会場で、彼は360度に視線を送っていたのには驚いた。
わたしたちだって、180度+くらいは何とかしたい。

つぎのWSまで
1.頭のてっぺんに紐がついていて、それを天井からぶら下げたような(垂直になった)気持ちで立って、
2.180~240度程の可動域で視線を送りながら、
3.ゆで卵をまるごと飲んだような喉から声で、
復習と予習をしてみよう。

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