Dyslexiaを知っていますか?〜英語指導の現場で

とても指導が難しい生徒と1対1で向かい合ったことがある。

クラスでは、
「わからない!ちんぷんかんぷん!」
と声をあげ、文字を指せば目をつぶる。
英語を語ると耳をふさぐ。

そこで別室にふたりで移った。
わずか3ヶ月前にゼロから始めたばかりの時期だから、復習も難しくないはず、生徒の頭の中の絡まった糸はすぐにほどけると、経験上思った。

ところが、中盤、何かおかしい。
これまでにない徒労感に襲われた。
どんな徒労感かと、簡単なたとえをBob Bookの#1で具体的にあげれば、こんな感じ。

「Mat.」
初登場の英語、それはこの1語文。
そこにMatという主人公の絵が描かれていて、それで1ページ終わり。
読む。

次に
「Mat sat.」
これが2ページ目。
1語加わるのを、文字を指で指しながら一緒に読んで行く。

次に「Sam.」/「Sam sat.」
ここまでで、3語紹介された。

生徒は、すでにMatもSamもSatも区別がつかない。
「ちんぷんかんぷん」と言い出す。

あまりにも速い、give up。

「言えない、読めないはずがない」と思った。
そこで、この日、考えた理由は「やる気」のなさと、わたしへの反抗だ。

そんな早々とやる気がなくなり、そんなに早々と嫌われるとは。
これまでにない経験で、がっくりくる。

だが、待てよ。

もしかしたら…
ディスレクシアのチェックテスト」(国際ディスレクシア協会)を見てみた。

あるある、生徒の特徴。
チェックリストをチェックしていくと、あてはまるものがいくつも。
たとえば(以下、チェックリストから)
●●●
頭の回転が速く、非常に知的で、こちらの言うことが分かっているが、学年並みのレベルで読む・書く・スペルすることができない。
  怠けている、バカ、不注意、幼い、「努力が足りない」「行動上の問題あり」と見なされている。
  IQは高いが、学校のテストの成績は悪いことがある。口頭では成績が良いが、ペーパーテストはできない。
  自分をバカだと思っている。自分に自信がない。弱みを創意工夫に富んだ戦略によって巧みに隠す。
  学校や読書について、かっとなったり、感情的になったりしやすい。
. 注意力を維持することが難しい。過集中か、白昼夢を見ているように見える。
読んだり勉強したりしている最中に、目まい、頭痛、腹痛を訴える。
文字、数字、単語、文字列、口頭での説明に混乱する。
何度も読み返しても意味があまり分からない。
●●●
などなど。

特に、日本人の場合は「英語学習をし始めたときに、このディスレクシアというLD(学習障害)がみつかることがある」というところで、にわかに胸騒ぎがした。

また、生徒のお父さんが「息子はわたしに似て、それなりの学び方がある」というようなことをおっしゃっていたのを思い出し、「ディスレクシアの約65%は遺伝」と言う部分と重なってどきり。

LDとして早く認識し、特別な指導を心がければ、知能は普通かそれ以上なので、語学習得も問題なくできるとある。

ただし、普通の集団内での習得は難しく、気づかずに置いておくと、劣等感を持ったり、癇癪を起こしたり、腹痛や頭痛を起こしたりもする。

方法は、個人指導。
そして、混乱を回避する特別な教え方をすること。

生徒が「dyslexia」かも知れないということ、英語指導者が一番に気づくのかもしれない。
その場合、さあて。
どうしますか。