11月のワークショップ報告その2。(その1)
11月の課題書は、A Color of His Own、Leo Lionniの古典的名作だ。
リードアラウドの指導者は、英語の先生の前に「国語」の先生でありたい。
三人称のsだ、現在完了型だ、などという前に、本の心を子どもに伝えたい。
本書は、より深い解釈を促される本だ。
子どもと読むからには、大人は解釈を深めておきたい。
予習だけではまだまだ解釈が浅く、そのことは各人の1回目の朗読に如実に現れていたから怖い。
この日、ほとんどの人に共通していたのが、登場者である2匹のカメレオンのプロフィール設定のあいまいさや、ずれ。
「older and wiser」と書かれているからと、年齢を上にしすぎた設定があった。
読み分けが、ぶれることがあった。
ここを、ワークショップで確認するが、表現上達に効果てきめんだ。
ところで、リードアラウドで解釈を重視するのには、ふたつの意味がある。
ひとつは、指導者自身の朗読が見違える程うまくなるから。
もうひとつは、指導者として、多角的な発問ができるようになるから。
そして、おまけもある。
応用力がつくので、子どもの自由な発想を受け入れやすくなる。
指導に余裕が出てくると、生徒とディスカッションしながら新たな解釈が生まれたりして、リードアラウドがさらに面白くなる。
解釈を深めたあとは、いよいよ模擬授業だった。
今回のテーマは「発問する」。
「〜です」と、ついつい一方的に教えてしまいたいところを、5W1Hの質問になるべく変え、そこから解釈に繋げる練習。
簡単そうで、なかなか難しい。
ベテラン参加者たちも、ついつい「説明的」になってしまう。
どういうことか。
簡単な例えで言えば、「これはカメレオンだね」と言ってしまいがちなところを、「あれ、この動物、何ていう動物だっけ?」「どんな動物だっけ?」と発問する。
「カメレオン!」「色が変わる!」と子どもから発言があったら、「そうか、色が変わるんだ。本では何色になってるかな?見てみよう」と、中身をみるように導く、など。
この指導法を指導するのが難しい。
この日も模擬授業で、発問の代わりに自分で説明を始めている「先生」を見つけては、それを指摘したの。
見つけるのに、まったく苦労がいらない…。
例にあげるのもおこがましいが…
目指したい指導法の最高峰は、ハーバード大学のサンデル教授のスタイルか?!
日本では、講義をおとなしく聞いて勉強して来たひとたちが、「先生」という職業についていることが多いようだ。
だからついつい、自分の馴染んだスタイルを踏襲しがちなのかもしれない。
ワークショップの目下の課題はこれ、か。
模擬授業をみっちり1時間やって締くくりは、再び A Color of His Own の朗読。
耳を澄ます。
序破急の構成が、朗読に反映して来た。
カメレオン2匹の姿が、具体的に浮かび上がって来た。
ナレーターがどういう人で、読みながらどう感じているのが見えて来た。
それぞれ課題を残しながらも、はっきり言えるのは、1回目の朗読より数段よくなっていたということ。
聞き手として、より楽しいものになってきた。
いやはや、みなさん。
お疲れさまでした。
今の自分が「コレだ!」というところ、ワークショップで修正し、さらによくなったところを忘れてしまわないうちに、録音をしておこう!
そこそこ上手になった自分を「保存」すること。
そうすれば、後々、多少劣化しても、戻すレベルがわかる。