Along a Long Roadでワークショップ#2

本年度2回目の指導者向けリードアラウド・ワークショップ、課題書は
Along a Long Road“>Along a Long Road だった。

この本で、リードアラウド指導のポイントのひとつである「楽しい」を、指導者自身が感じ、どう子ども達にそれを「伝播」させるかが、この日の大テーマ。

参加者が「プレゼン」を兼ねて、本書の印象を語った。

さすがの面々!
充分に楽しんできたようだ。
普通の大人だったら見つけられないような詳細に目配りし、本書の「風を切る」ような爽快感を語った。

リードアラウド指導では、指導者が楽しむことが、まず第1。
わがワークショップ参加者は、絵本を楽しむことにかけては、いつも準備ができているようだ。

わたしの存在価値は、少しでもみなさんが、まだ気づいていない「楽しさ」を指摘すること。
ワークショップの面々には、少々しか加えることが出来ないのが、嬉しいような。

さあ、指導法だ。

本書は、言葉が少ない代わりに、絵が想像力をかき立ててくれる。
指導者としては、予め発見しておいた詳細を「材料」に、子どもらにどんどん尋ねる。
質問を、それもクイズっぽく、機会を狙って出していく。
こうして、子どもたちにどんどん発言させて、双方向性を高める。
そして、逐語訳ではなく、そのやりとりで解釈を深めさせる。

この「双方向的指導」の指導。
これが、なかなか難しい。
子どもたちがどう、のったり飽きたりするのか。
実際に彼らを前にしてではないところで、というのが難しい。

本年度は、この部分をグループワークではなく、全員の前でわたしの指導を挟みつつ、分担して各自に模擬指導をしてもらおう。

まず、みんなの前に立つことに慣れる。
立つと言っても、朗読や英語指導の玄人も混じる集団の前だ。
そこそこの緊張があり、いわば「加圧トレーニング」のような役をする。
リードアラウドが大切にするリラックス感を出す、練習の場にもなるだろう。

それから、「発問・つっこみ(指導)」の内容やタイミングを、各自がここと思うところでやり、演出家のようにわたしがしばしば意見を言う。

Along a Long Roadは、4人がこれに挑戦。
……個性満開だった!

指導者も役者と共通点が多いと、つくづく思う。
指導者それぞれの味があり、「演出者」としてはそれぞれを生かしたい。

個性を生かしつつ、リードアラウドの型を体に入れ、絵本を深く理解したうえで、自信を持った指導をしてもらう。

さあこの日、前に立たなかったひとも、次回をお楽しみに!
「針のムシロ」が、次第に快感になる?!

あ、そしてリードアラウドの指導者として指導力に加えて、大切なもう一本の柱、朗読力について。

1回のワークショップ中、朗読はグループワークで2回、通しでする機会がある。
だが、それだけでは「完成」に到らない。

翌月に、みんなの前で「プレゼン」してもらう。
よって、約1ヶ月の練習で自分なりの「完成」へ、こぎつけて欲しい。
そして、「完成」したものを録音しておくこと。

恒例の発表会が近くなったときに、それらの「声のコレクション」を参考に、自分に合った作品を選んで、もうひと磨きする。
それを発表の演目にするといい。

アメリカの子育て〜動物園と絵本

ここ2,3年で一番、英語圏の絵本界で話題になった絵本といえば、I Want My Hat Back
わたしにいわせれば、その「余波」で 続編This Is Not My Hatも、コルディコット大賞を受賞した。

この I Want My Hat Back は、何でそんなに話題になったか。
本書の主人公、クマが自分の大好きな帽子を盗んだウサギを殺してしまう(と想像に難くない)ところが、「衝撃的」だったため。

衝撃的というので思い出すのが、Sendakの In the Night Kitchen
主人公の少年が、すっぽんぽんになる場面が「衝撃的」で、販売を自粛したり禁止したり、図書館に置かなかったりすることがあったこと。

どちらの「衝撃」も、事実や真実を見せられたことに対してなのが共通する。

その結果、理想主義が生きるアメリカの出版界や教育界が選んだのは、子どもには真実を適切な方法で見せること。
どちらの本も、今ではベストセラーだったりロングセラーだ。

先日、オレゴン動物園に行った。
「給餌タイム」にぶつかり、見る動物ほとんどが食餌中。
Big Catsのコーナーで、立て看板が通路の真ん中に立っていた。
「見るにあたって要注意。各自の判断で」(のような意味、英語でどうだったか忘れてしまった)

こう書かれていると、好奇心の強いわたしは覗かずにはいられない。
チータだったか、ヒョウだったか……
自然が生かされた広めの屋外獣舎に、肩甲骨を立ててワイルドな目付きで行ったり来たりするbig cat。
よく見ると、口に血がついている。

さっと視線を移すと、獣舎のほぼ真ん中に茶色い塊。
シカだ。
ぐったり目を閉じていて、腹あたりから血が出ている。

…Wild catsに「給餌中につき注意」って、こういうことだった。

この動物園は、ほぼ自然に則った方法で動物たちに餌を与えるようにしている。
そして、その場面は公開し、見る見ないは個々の子どもの保護者に判断をまかしている。

衝撃が受け入れられる子か、まだ準備出来ていない子か、判断するのは大人に負担だが、子どものときから事実を見られるようにという方向性に、わたしは賛同する。

「本当だから、しょうがない」という観点も、人間の成長には必要だろう。

絵本に関していえば、先の「衝撃的」なはずの2冊は、子どもたちにあっさりと自然に受け入れられている。
それどころか、I Want My Hat Back などは、大人気でリードアラウドの定番になりそうだ。

「発禁」にされないで、本当によかった。

動物園に関しては、飽食気味の大人の「食育」にもなっているような。

「肉を食べる」意味を、オレゴン動物園での経験以来、噛みしめている。
あ、やっぱり「衝撃的」だったらしい。

『Hop on Pop』でhop〜キッズブックス英語スクール

今更ながら、Dr. Seussの本はよく考えられて作られていると感心する。
読めば読むほど、英語文化がまだまだ浅いわたしには発見がある。

アメリカが、戦後初めて「子どもたちの識字率が上がらない」と危機感を持った50年代後半から60年代。

Dr. Seussが心血を傾けたプロジェクトが、「I Can Read It All By Myself」がうたい文句のBeginner Booksシリーズ。

readingの「教則本」の側面と、芸術性のある「絵本」の側面を併せ持った子ども向けの本がないと気づいた彼とそのチームが目指したのが、その両面をもった本だ。

絵本としても楽しく、デザインや文も一流で、かつ、子ども自身で読めるよう語彙や文の長さと複雑さを体系的に考えた本。

当時のアメリカは空前のベビーブームで、児童書出版界には勢いがあった。
だから、優秀なスタッフとDr. Seussというスター作家を本気にさせ専従で打ち込んでもらう余裕もあったわけだ。

結果としてできたのが、『Hop on Pop』や、『The Cat in the Hat 』を始め大ヒット連打の本シリーズ。

「The Simplest Seuss for Youngest Use」と表紙にも書かれている『Hop on Pop』をわがスクールの新学期第1弾に選んだ。

書店のリードアラウドでは選んだことがないのは、本文が長いため。
普通の絵本が30数ページのところ、本書は64ページもある。
「全部を読みたい」という空気の書店でのイベントだが、開催は長くとも60分が子どもたちの限界だ。
64ページを全部読むのに、60分では無理。

ああ、1回で1冊を終えないでいいスクールがあってよかった!
このシリーズの醍醐味をみんなで味わえる。

何が凄いって、まだ今は、その凄さ・深さがだんだんわかってきた状態だ。
先週のクラスでの発見は、英語が初めてかそれに近い、英語非母語者の幼児にも読める鍵を秘めていること。

巻頭に「UP/PUP」。
これが、
UP
PUP
と書かれているのではなく、
ーUP
PUP
と「頭」をずらし、UP同士を揃えてある。

これで、「PUP」のなかに「UP」があるのが、視覚的にも約4歳以上にはわかる、ということがわかった。
「P」の音素を付けて、UPの発音を言えば、pupの発音に自然になる……。

その次のページからは、このUPを使って、
CUP
PUP
など語彙を加える。

PUP
CUP
と、順を入れ替えた「復習」が続く。

しかし、この語彙を機械的に示すだけではない。
CUP/PUPの下には、カップの中に入った子犬の絵、そして「Pup in cup」。
PUP/CUPの下には、カップがかぶさった子犬の絵、そして「Cup on pup」。
絵が可愛らしいだけでなく、「あれれ?」と思わせたり、愉快だと感じさせるユーモアがある。

このUPを知るだけで、英語を「よめちゃった」と思う幼児の心同様に、わたしも(この子たちよめちゃった)と、嬉しくなってしまった。

この本で、子どもも指導者たちも、気持ちがHop!

いやー、よく考えてあるのなんのって。
さすが、言語学者(オックスフォード大学院で博士号をとりそこなった、後に名誉博士号を獲得)Dr.Seuss。
こんなのは、序の口。
全ページ、そこら中に、楽しい語と文と語順が言語学に裏打ちされた考えに基づいて並んでいる。

子ども用として楽しんで読むのが、「表読み」だとしたら、言語学的に読む「裏読み」もあり、そんな研究レポートがたくさん見つかる。

指導者のひとりよがりではなく、子どもの人気も本当に高い本書。
これからも、子どもたちと読み込んでいこう。

(本シリーズ、一級の声優たちが読むCD付きがお勧め。さすが、お金がかかっています)

リードアラウド研修終了生へ

これまでに、リードアラウドの研修をこれまでに受けたみなさんへ。

「輪番」でリードアラウドの現場に立って、その指導力のbrush upができます。
5月からの希望者を募っています。

自分が「研修修了生」かどうか、日程など、大島またはキッズブックスまでメールでお問い合わせ下さい。

英語絵本のリードアラウドは、うちの子に易しすぎ?

先日、リードアラウドの説明会で、保護者からいくつか質問を受けた。
中でも興味深かったのが、「うちの子に易しすぎないか」という質問だ。

学校でのリードアラウドでクラス分けが必要な場合、一番簡単なのは学年別にすることだ。
でも近頃は、同じ1年生でも、「インターナショナル校のプリスクールに通っていた」「海外に住んでいた」というネイティブに近い子どもや、「3歳から英語教室に通っていた」という入門レベルをクリアしている子どもも少なくない。
とはいえ、伝統的(?)に「英語は初めて」という子どももたくさんいる。

こういった英語経験や英語力に差がある子どもたちを、同じクラスでどう扱うのか。
わが子に無駄なことをさせたくないと親が思うのは当然だ。
でも、ご安心を!
前出の「易しすぎないか」と、質問には挙がらなかったが「難しすぎないか」というふたつの心配に対して、安心なわけを述べてみたい。

1、「易しすぎる」と思う場合
子どもは耳がいい。
英語を耳で覚えて、すらすら言えることも多い。
しかし果たして、意味を頭や心で理解しているのか。
また、本当に読んでいるのか。

……そうとはいえない。
わたしの指導経験だけでなく、第二言語習得学(SLA)の研究でも、すらすら言えたり読めたりすることが理解を示しているとは限らないといわれている。
リードアラウドでは、子どもたちと「4つの約束」をする。
そのひとつ「気持ちを込めて読む」は、意味を考えながら読むことにつながる。
意味を考えながら音読をすると、機械的な暗記ではなく理解したこととして深く印象付けられ、言語の習得につながるとSLAの研究でもいわれている。

また「知っている」ことと「使える」ことは別物だ。
易しいと思う本には、「知っている」フレーズが出ているのかもしれない。
でも語学では、「知っている」から「使える」までの道のりが長い。
一説には、7回以上、同じ語に出会わないと、「使える」ようにならないという。
だから、「知っている」語やフレーズでも、使えないことが多い。
学ぶ余地は大きい。

2、「難しすぎる」と思う場合
これまで日本の英語教育では、完璧主義が重視されることが多かった。
本だったら、全部読み終えないとだめ、書かれていることを全部理解できないとだめということだ。
しかしリードアラウドでは、約束のひとつに「わからないときはムニャムニャでOK」がある。
これは、応用言語学の世界でいうところの「教材が難しいときは、タスク(作業)を易しくする」と同じことだ。
この約束のおかげか、リードアラウドするときの子どもの顔は明るい。

少しずつ、分かるところや読めるところが増えればいい。
「気持ちを込めて読む」練習で反復するうちに、みるみる読めて分かるようになる。
ちょっと難しそうでも、いま全部分かる必要はない。
リードアラウドでは、この「ちょっと難しそう」な教材として、60〜80%理解できる絵本を用意している。
これはSLAの研究でも、効果ありといわれている数字だ。
全然分からないものではなく、ちょっと難しそうな絵本を使っているので、ご安心を。

英語の習得で大切なのは、情報をインプットすること。
現時点で分かるところのインプットを積み重ね、力になっていく。
リードアラウドは、子どもから大人まで、英語力ゼロの人からUpper levelの人まで、それぞれ学びようがあるユニークな学習法・指導法かもしれない。

P.S.
SLAの最新推薦本:
『英語はもっと科学的に学習しよう』白井恭弘、中経出版