英語絵本のリードアラウドは、うちの子に易しすぎ?

先日、リードアラウドの説明会で、保護者からいくつか質問を受けた。
中でも興味深かったのが、「うちの子に易しすぎないか」という質問だ。

学校でのリードアラウドでクラス分けが必要な場合、一番簡単なのは学年別にすることだ。
でも近頃は、同じ1年生でも、「インターナショナル校のプリスクールに通っていた」「海外に住んでいた」というネイティブに近い子どもや、「3歳から英語教室に通っていた」という入門レベルをクリアしている子どもも少なくない。
とはいえ、伝統的(?)に「英語は初めて」という子どももたくさんいる。

こういった英語経験や英語力に差がある子どもたちを、同じクラスでどう扱うのか。
わが子に無駄なことをさせたくないと親が思うのは当然だ。
でも、ご安心を!
前出の「易しすぎないか」と、質問には挙がらなかったが「難しすぎないか」というふたつの心配に対して、安心なわけを述べてみたい。

1、「易しすぎる」と思う場合
子どもは耳がいい。
英語を耳で覚えて、すらすら言えることも多い。
しかし果たして、意味を頭や心で理解しているのか。
また、本当に読んでいるのか。

……そうとはいえない。
わたしの指導経験だけでなく、第二言語習得学(SLA)の研究でも、すらすら言えたり読めたりすることが理解を示しているとは限らないといわれている。
リードアラウドでは、子どもたちと「4つの約束」をする。
そのひとつ「気持ちを込めて読む」は、意味を考えながら読むことにつながる。
意味を考えながら音読をすると、機械的な暗記ではなく理解したこととして深く印象付けられ、言語の習得につながるとSLAの研究でもいわれている。

また「知っている」ことと「使える」ことは別物だ。
易しいと思う本には、「知っている」フレーズが出ているのかもしれない。
でも語学では、「知っている」から「使える」までの道のりが長い。
一説には、7回以上、同じ語に出会わないと、「使える」ようにならないという。
だから、「知っている」語やフレーズでも、使えないことが多い。
学ぶ余地は大きい。

2、「難しすぎる」と思う場合
これまで日本の英語教育では、完璧主義が重視されることが多かった。
本だったら、全部読み終えないとだめ、書かれていることを全部理解できないとだめということだ。
しかしリードアラウドでは、約束のひとつに「わからないときはムニャムニャでOK」がある。
これは、応用言語学の世界でいうところの「教材が難しいときは、タスク(作業)を易しくする」と同じことだ。
この約束のおかげか、リードアラウドするときの子どもの顔は明るい。

少しずつ、分かるところや読めるところが増えればいい。
「気持ちを込めて読む」練習で反復するうちに、みるみる読めて分かるようになる。
ちょっと難しそうでも、いま全部分かる必要はない。
リードアラウドでは、この「ちょっと難しそう」な教材として、60〜80%理解できる絵本を用意している。
これはSLAの研究でも、効果ありといわれている数字だ。
全然分からないものではなく、ちょっと難しそうな絵本を使っているので、ご安心を。

英語の習得で大切なのは、情報をインプットすること。
現時点で分かるところのインプットを積み重ね、力になっていく。
リードアラウドは、子どもから大人まで、英語力ゼロの人からUpper levelの人まで、それぞれ学びようがあるユニークな学習法・指導法かもしれない。

P.S.
SLAの最新推薦本:
『英語はもっと科学的に学習しよう』白井恭弘、中経出版