絵本で幼児に英語を教える

本年度になって、何度か単発で3歳児とリードアラウドをする機会があった。
先日はスクールのBクラス10 Minutes till Bedtime と、Goodnight Gorillaを使った。

10 Minutes〜のほうは、ちょうど広島の書店で、わがワークショップ元研修生のM先生がリードアラウドする予定の本でもあったので、先日いっしょにおさらいをしたものでもある。

「あと10分でベッドに入りなさーい」と、多分いつものように、新聞を読みながら大きな声でさけぶお父さん。
そんなお父さんを尻目に、主人公の少年とそのペットのハムスターは、「あと10分ツアー」をハムスター対象に始める。

その「ツアー」に参加してきた10匹の子がいる一家と、後で加わるかなりの数のハムスターたちが、少年の寝る時間前の数分間に様々なことをする様子を描いた絵本だ。

ざっと大人の目で見ると、登場する英語はほとんど、10, 9, 8…とカウントダウンされていく数と、minutes、till、 Bedtimeだけの、あっと言う間に読み終わってしまう本。

ところが、ところが。
絵本は、読むだけではないのである。

予想通り、45分の授業時間でも足りないくらい、子どもの「食いつき」がよかった。
子どもには、描き込まれた詳細がたまらない。
絵本には、見るという楽しみもあるのだ。

大人も、子どもだった頃の「目」をちょっと思い出せば、絵本の絵のディテールの楽しさにハマる。

ゼッケンをつけたハムスターきょうだい#1〜#10が、ページをめくるごとに、どこか違うところで、何か違うことをしている。

Where is #5? 「Here!」
What is he doing? 「fishing!」

元気な声が聞ける。(英語が初めてなら、ここは数字以外、日本語と英語を併用)

これだけでも、10匹もいるので追いかけていくのが大変。
でも子どもは、こういうときは、あきないものだ。

そして、最少でも数1〜10を10回、自然に言ったり聞いたり反復練習が出来るという寸法だ。

もうひとつ、本書が面白いのは、姉妹本と繋がっている点だ。
Goodnight Gorillaの一場面が、本書の遠景に描かれていて、そこから自然にこの2冊目に移行することが出来る。

たった45分、されど45分。
幼児を集中させておくのには、手ぶらでは難しい。
指導者としては、
1.適した本、と
2.詳細を見逃さない準備、そして
3.詳細を面白がる心
が必要。

大変そう?
でも、換言すれば、それだけで英語の世界に難なくポンと子どもを連れて行け、楽しませることが出来る。
英語の絵本は、すばらしい知のパッケージ。

英語絵本朗読@カルチャーセンター

今春から、リードアラウドの可能性とか、有益性とかあるならみてみたいと、平日午前中のカルチャーセンターに講座を開設させていただいた。

その時間帯から、受講可能なのは子育ても終わり、悠々自適な雰囲気の婦人たちが主な受講者であろうと想定していた。

今のところ、そのとおりの方々だ。
そして、思う。
日本の余裕というか、中間層のしっかり度を。

「英語絵本朗読入門」とうたっているが、英語が「入門」のひとたちでは、まったくない。
あくまでも、英語絵本の朗読の入門者だ。
そうそう、これは3年ほど続けている高齢者施設での英語でも、ほぼ同様。
「英語はぜんぜんです」とおっしゃりながら、超上級者たちだ。
ひとりの方(90歳以上)は、わたしが「翻訳マシーン」と冗談で呼ぶくらい自動翻訳機のように翻訳が口からすらすら出る。
新聞社の英字版記者だった約90歳の女性もいる。
「ニセ初級者」だらけ。

先日のカルチャーセンターに、とりわけ単語の発音に非の打ち所がない「新入生」が入ってきた。
必要ないことをくどくど教えるようなことを避けるためにも、そのひとの英語バックグラウンドを尋ねた。

すると……
「小学校入学前に、近所の英語教室に通っていて、その日本人の先生がネイティブ並みの英語を使う方だった様です」。
そして、その英語教室へは小学生になって通わず、あとは普通に中学から学んだだけとのこと。
その発音が、今も残っているというわけらしい。

「日本人は英語ができない」という通説のようなものがあるが、こんな方々に会う機会が多くなってきたわたしは、どうもその実感が薄い。
あえて実感的に言うなら、「日本人は宝の持ち腐れ」か。

かつてしっかり英語を学んだひとたちが、あまり外からは見えないが、ぎっちり中間層として支えている。
社会の宝かもしれない。

自分たちでも、その宝を腐らせない方法として、英語絵本を読むこと、読んであげること、そしてそこから英語読書にもすすんでみることを、勧める。
これらは、本当に楽しいし、役にも立つし、ひとの役にも立てる。

追記:カルチャーセンターでの講座、それからキッズブックスの初級朗読クラスの大人の受講生の受講目的で多く耳にするのは、「(いい)声を出すこと」。
そして1回でも、わが英語絵本朗読クラスで声を出して読んでみると、「気持ちがよくなる」とのこと。
Let’s read aloud more and more!

神保町に響くリードアラウド

先日はブックハウス神保町で、リードアラウドの会があった。
読んだのはLaura V. Seegerの、First the Egg だ。

ここブックハウスでは、会場がとてもいい配置になっていて、子どもとわたしの距離が物理的にも近く、お互いを身近かに感じられる。
目が届いて、刺激を各自に与えられるせいか、3歳くらいの幼い子でも60分しっかり参加できるのが素晴らしい。(もしかしたら、素晴らしい幼い子が参加しているのか???)

そんな幼い子もさらに参加しやすいように本年度から、つまり今回から偶数月開催のRAでは、わたしのカテゴリーでいう「入門」〜「初級」レベルの本を使うことにした。

その初回が本書。
会場に行って小学生中学年くらいの子たちの姿を、ちらほら見かけたときは、彼らがこの本を「幼稚」と思わないか、少々不安がよぎった。

……だが、終わってみて、それが杞憂だったことがわかった。

理由。
本が素晴らしいから。

ダイカットという、簡単なしかけ本だが、いわゆる「子どもだまし」の感じがまったくない。
絵、活字、レイアウトなどアートとして優れているので、もう幼児ではない読者、そして大人にも魅力的なのだ。

それに、年齢の高い子にも考えさせる「内容」がある。
「ニワトリが先か、卵が先か」、長くディスカッションすることも出来る。
また、昆虫や、は虫類の「変態」という自然界の事実に関する考察もできる。
そして、学習要素も。
ここでは、first, then というsequenceという学習要素があるのだ。
語彙も、文字で書かれているものだけでなく、絵で描かれているものを含めると、かなり数もレベルも上がる。
よく練られていると、大人はうなるだろう。

もう10年も前になるが『キッズ(だけにじゃもったいない)ブックス』、そして続編『英語ペラペラキッズ(だけにじゃもったいない)ブックス』を出した。
この英語児童書ブックガイドで言いたかったのは、「英語圏の絵本・児童書にはあまりにも素晴らしいものがあり、子どもにだけ見せておくのはもったいない!」ということ。
大人の「おめがね」にも叶う、実力のある本だらけなのに、日本の読者にあまり知られていないのが現状だ。
そんな本をより多くに楽しんでもらいたい、いわば、おせっかい心がガイド本の出版、そしてもう一歩踏み込んだリードアラウドの「母」だ。

そして、今回のこの本。
「ね、ほんとに、すごいでしょ」!
少なくとも、3歳くらいの幼児から小学生中学年まで、この日、会場にはかなり活発で、抜群の発音の、「最初は卵でしょ!」などという表現ある朗読が響いた。
それに、ぽんぽん楽しい反応があちこちから……。

「初めてで、英語は出来ないから、どきどきしている」と自己申告の子たちもいた。
しかし、中盤からその子らの声もよく聞こえ、不安が消えた笑顔だった。

本書のように、ぱっと見で文字が少ない本で、かつ書かれていない情報がたくさん読み取れる本が、RAに実に良く合うと思った日だった。

http://kidsbks.co.jp/?pid=36600009

「ことば 学ぶ力支える」日本語同様に英語も

「このやり方って、他と違いますよね」と、リードアラウドでの英語指導について、ときどき言われる。

絵本のリードアラウドで継続的に英語を学んで行くことは、何が「他と違う」のだろう。

この回転の遅い頭で、ぼちぼち考えていた。

そしたら、先日、またまた新聞の記事に見せかけた「広告のページ」で、目が止まった。
「ことば 学ぶ力支える」という見出しだ。

こういうページでも、さすが新聞社。
記事としての部分は、読むに値することも多い。

さて、この記事。
新しく6月に実施される「語彙・読解力検定」に関わるもの。
検定そのものには、あまり興味はないが、そこにあった今話題の99歳の灘中・高校の元教師、橋本武さんの話に惹き付けられた。

中勘助の『銀の匙』を、いわば超スローリーディングする国語の授業をしてきた人だ。
「読解の域を超えた、横道にそれた指導」「だが、そこにこそ宝の山があった」、という。
「横道にそれる授業を意識した。横道から戻ると、本筋が前より豊かになる」。

!!!

そして、彼が言う「学ぶ力の背骨」としての国語力を習得するには何が必要か。
答えは「読む」こと。
そうすると「いろんな情景を思い描く力がつきます」。

そう、リードアラウドでも同様に(「超スロー」ではないが)じっくり何度も「読む」。

そして、リードアラウドの方法は、「国語」ではないが、将来英語で「学ぶ力の背骨」としての英語力を習得することを目標にしたものなのであった。

リードアラウド、目標と過程:
英語絵本の楽しみを知る
→楽しいから継続して読む
→絵が少ない本も楽しめる
→英語の本全般を楽しめる
→すすんで英語の本を読む
…=「学ぶ力の背骨」としての英語力習得

新1年生と英語絵本リードアラウド

先日、リードアラウドの発祥地の私立小学校で、新一年生の親御さんたちへ今年度の「リードアラウド・ワークショップ」の説明会をおこなった。

2003年に、この学校の国際教育センターからお話を頂き、試行錯誤で始まった課外授業。
最初は「リードアラウド」という名前もなく、ただの「英語絵本を使ったアクティビティ」だった。
それが「リードアラウド」と呼ばれるようになり、徐々に内容が固まってきて、今日に至る。

嬉しいことに、ここ近年は希望者が増え、学年別にA〜Cの3コース(各コース学期で入れ替え制、各学期3回)を受け持っている。
1年生のAコースだと16人×3=48人がリードアラウドに参加できるしくみになった。

説明会の集まりもよく、今年も興味を持って頂いたようだ。
多くの生徒に、リードアラウド・英語絵本・英語に親しんでもらえる。
「リードアラウド伝道者」として恵まれていると幸せを感じる。

ただ、ひと(わたし?)は欲深いもの。
「指導欲」が出てきて、いつも3回で別れるのが惜しくて仕方がない。
この学校の子どもたちは、リードアラウドのときリラックスして表現を楽しんでいる。
絵本という味わい深いメディアをリードアラウドするのに、理想的な生徒なのだ。

叶うなら、継続的・体系的にリードアラウドしたい、総合的な英語力をつける助けをしたい、もっと英語好きにしたいと思ってしまう。
それこそ、二子玉川のスクールにおいで、と叫びたい。
「英語教育や情操教育に興味がある親御さん、自由でのびのびとしたぴかぴかの『卵さん』にぴったりですよ〜」

スクールなら、1年間に20数冊もリードアラウドできる。
語学的・文化的なものはもちろん、たくさんのテーマの絵本で、体系的に学ぶことができる。
子どもたちの力を飛躍的に伸ばす原動力となっている発表会も目玉のひとつ。
12月と3月の発表会を目標にして、反復練習も積極的にできる。

そんなわたしの「指導欲」はさておき、いまは、たとえ3回ずつでも、48人のぴかぴかの「卵さん」たちと出会えること自体が幸せ。
ぶるる。
武者震いがする。
またまた楽しい、リードアラウドにしまずぞ!