『おじいさんの旅』の読み方

2009年指導者向けワークショップの締めくくりは、難題『おじいさんの旅』、Grandfather’s Journey の2冊。

ここ1年、壁にあたるとしばらく休み、また練習、また壁……という日々だった。本書のせりふを借りれば、やっと「今、ぼくはおじいさんのことが、わかってきたようだ」。

ナレーターがどういう人なのか、キャラクターを考えた。
○自分も「いい年」になってきた
○溺愛する娘と母がいる
○カリフォルニアと日本が好き
○行き来しているが、それぞれの国に「もんく」と「自慢」がある
○今はアメリカ人
○資産家であり、ロマンチストだった祖父を誇りにしている
○風景に感動するタチ
○美しいものが好き
○「幼友だち」に思い入れがある
○自分は祖父に似ていると思っている
○若い時代の自分が大好き
○「ぼく様」「オレ様」感が少々ある
などなど。

これらをインプットして、リードアラウドする声を考えた。
ナレーターにとっては自分の話なので、よくあるテレビのドキュメンタリーのように「他人事」として、空々しくセンチメンタルに読まない様にも努める。「演歌」はだめ。どちらかと言えば、漢詩的に。
好きなもののことを言う時に、思い入れを深く読む。

こう頭で考えても、なかなか声がついてきてくれないものだ。また、本書ほどの英語になると、よほど読み込まないと、英語のネイティブでない頭には、情景が浮かばない。随分練習したつもりでも、ただ、正確に読んでいる自分に気が付く箇所がある。自分でそう思うのだから、聞いている人には本当に何も見えないだろう。Readers-aloudは、英語を聞いてもらうのではなく、話として聞いてもらいたい。情景を「見て」もらいたいのである。

英文そのものに気が行っている間は、間も不自然だ。英文がごく自然に口から出て場面が頭に浮かべば、その脳裏に浮かんだ場面を見ることで自然な間があくようになる。

ふ〜、「豊かな表現」をめざして、まるで自分を使った人体実験をしているみたい……。実験の出来を客観的に判断するジャッジはもちろん、スローな生徒にもイラつかない気長で素晴らしいコーチ、中西健太郎さんである。
おじいさんの旅『おじいさんの旅』Grandfather's Journey『Grandfather’s Journey』