英語絵本:指導者向けワークショップ@大阪第2回報告その3:講評と展望〜リードアラウド研究会

(その2からの続き)
講評と展望などディスカッションの時間が取れず、今更だがここに記そうと思う。(遅くなって、ごめんなさい!)

自分以外の人への講評/展望も、役立つこともあるので、読んで頂けると嬉しい。

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C.N.さん。

観衆にアイコンタクトを送ることができ、声のボリュームもそこそこあるので、日本語の本なら十分な説得力があるだろう。

ただ、英語絵本の場合は、英語を聞いただけでは聴衆はほとんど理解しないので、表現を日本語のときよりも掘り下げることが必要。

そのためには声の要素(fluency表の左側に列挙してあるもの)を、要素別に磨いていくと、伝わりやすくなるはず。

最初は、声の高低(pitch)からがいいかもしれない。

高−中ー低を意識して使い分け、その差がはっきり聞き分けられるよう、大きくする、などの演習だ。

また、高音域にある「無垢な」子どもの声作りは難しいので、サンプリング(本物の子どもの声を聞く)するのも役に立つ。

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J.O.さん。

声のボリュームは抜群。

ただ、声を大きくするときに、姿勢が少し前屈みに、または、前に乗り出しすぎる傾向があって、抵抗を感じる聴衆もいるかも。

空間をダイナミックに使う手として、前に出るときもあっていいが、まっすぐの定位置、奥に引くという空間の使い方も考えてみたい。

その際は、顎を引きすぎない。
 
全身鏡で見ながら読み、微調整してみよう。
この微調整で、さらに聞きやすい声になるだろう。

声のバリエーションについて。
ナレーションなどの部分で、一段高いところから場面を見るような、深い語りを挟むと、エネルギッシュな台詞部分がさらに映える。

Pitchの「低」、緩急の「緩」の部分の演習が、より奥深い朗読につながるのでは。

指導は、年齢層を下げた場合にもいつか挑戦してみると、勝手が違ったりして、指導者としての枠が広がるだろう。

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I.Y.さん。

わたし自身の経験から、体幹を作ると、線の細い朗読がより強いものに変わる。
下にたれがちな首は、わたしの場合は、写真や影、鏡でチェックしているが。

朗読は、「心」の他に「体育」的な部分もある。
身体は、声を共鳴させる筒と考えて、「いい筒」にしてあげよう。

感情を声に乗せるのが、最初の朗読ではごく控え目だったが、後半、二度目の朗読では、感情がより解放されたように感じた。

ウォームアップは、感情の表出にこのように効くので、普段の読む仕事の本番前に、いつもよりも大きな起伏をつけ読むといいのでは。

絵、情景を頭に映画のように浮かべながら読む、それらの絵と読みを一致させるというのは、ちょっと苦しいのだが、よい朗読には必要な過程。
このトンネルを抜けると、明るく楽しい景色が広がっている。

指導に関しては、発問をさらに心がける。
それが即興的に出るようになるのを目指したい。

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Y.S.さん。

ワークショップに連続参加した結果だろうか。
表現に広がりが、そして見て楽しませてくれるものに、なり始めている。

今回、stage whisperなどの台詞回しに、力強さが加わった。

声の要素が少しずつ獲得できて、声にこれまでよりも変化を付けられるようになった。

身体の動き、表情に、言葉との一体感がもっと加わるようにと思う。
そうすることで、言葉に強さと想像を喚起する力が出るだろう。

言葉を身体化する演習をもう少々。

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A.I.さん。

ワークショップの演習で「即効」だったのは、Wild Thingsの会話部分。

実際に登場者がナレーションに割って入る感じが、二度目の朗読には出ていた。

母子の言い争いも、ずいぶんとリアルに近づき、聞く楽しみがアップ。

聴衆も、はっとして、注意をむけてくれるはず。

本文中の会話部分は、だれが言っているのか、キャラ付けをさらに徹底して、それらしくしていこう。

本文の分析も、表現の深化にプラスになったようだ。

Wild Thingsの物語の締め、最後のページのセンテンスに優しさがでて、物語があたたかく終われたのは、著しい上達だろう。

表現の要素として、緩急と声の高低をもう少し意識することで、さらに変化に富んだ飽きさせない朗読になりそう。

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H.T.さん。

プロの声、という感じになってきた。

数年来のワークショップ練習と、実践の成果? 
たいへん喜ばしい。

表情も豊か、動作も大きく分かりやすくなった。

場面場面では、及第点をあげられるところも増えて来たが、今後は、部分部分だけではなく、全体の内容解釈と繋げることを目標に。

構成(序破急)の意識とか、緩急の出し方など、全体として演出効果も考えよう。

指導もどうにか自力で進められそうかも。
努力目標としては、楽しさとともに本の解釈にふれる発問が、さらにわくようにしたい。
年長児の奇抜な応えへの、楽しく教育的でもある対応なども視野に入れる。

楽しい表現は出てきたが、自身のリラックス感がもう少し欲しい。
解放がまだ足りない?

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M. N.さん。

ワークショップの3時間で、だんだんリラックスしたようだ。

表現を楽しんでいるのが、表現自体にも表れて、より楽しい表現になった。

声量と高低を出す練習は、今、とても役に立つと思う。

まずは、ボリュームを押さえないで、3メートル程度離れた先に向って、表現を気にせずに(平坦でもいいので)読むのは、いい練習になるはず。

機械的ではない、物語の内容に応じた間合いというのも、意識が始まったようだ。
本文が台詞で出来ている場合はとくに、リーダーズシアターでの登場者たちの動きを思い出し、間合いを考えるとよりリアルになる。

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M.K.さん。

楽しむことがたいへん上手で、自身が楽しむことで、リードアラウドに大切な「楽しさ」がよく表れていた。

「分析」や各演習後に、その表現が楽しいだけでなく、きりっとした。
分析すること、演習することで、まだ磨きようがあるという証明かも。

ひととおりの表現もできる今の目標は、分析や解釈に基づいた立体的で緻密な表現だろう。

そのために、基礎的なfluencyの要素を、意識的に演習するといい。

たとえば、pitchなら、一文を句ごとにpitchを変えて読む。
緩急なら、tongue twistersの練習など。

ワークショップでやっていることだが、こうした要素を基本から演習!

指導については、機会があれば生徒を発問ぜめにして、その応えを全て肯定しつつ、自分が伝えたかったことを加える、という練習はいかが。

説明したくなる先生の癖を、どこまで押さえられるか挑戦!

英語絵本:指導者向けワークショップ@大阪第2回報告その2〜リードアラウド研究会

その1からの続き)

ワークショップの2本柱、朗読法と指導法。

リードアラウドらしい指導法として、双方向型指導を演習した。

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双方向型指導とは、
一方的に説明や解説をするこれまで日本で行われて来た講義スタイルとことなる。

双方向、
つまり指導者による一方向的な講義ではなく、生徒側に発問をしてから、
それに返って来る応えを待ち、それにYesで受ける。

そして、andで方向性を調整したり、新たな情報を加える。

「Yes, and」の方法をとる、というもの。

「教えられる」側として、これなら自由な発言が奨励され、「勉強」という気がせず、リラックスできる。

ひとはリラックスできたときに、知識の吸収がよくなる、
という研究結果もある。

リラックスできて初めて楽しさも感じるし、楽しさは動機付けになる。

日本の英語教育で足りないのは、この動機付け。

そのための指導方法でもある。

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それを、シアターゲームの一種、Building a Storyで演習した。

物語を全員で順に、思いつきでどんどん繋いで行くのだが、規則は、必ず前のひとの話を受け入れること。

それに自分が、何か話を発展させる思いつきを加える(and)。

これが、子どもたちとのリードアラウドでの現場での力、「反射神経」だったり即興力をつけてくれる。

みなさんには驚いた。
この日のみなさんの、なんと反応のよいこと…。

そんなみなさんの今後の方向として、

・前のひとの話をよりサポートする
・個々の話をより強く結びつける
・意味のある内容を心がける

これらを目指そう。

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Shh! We Have a Plan

次なる演習、リーダーズシアターは、リードアラウドの典型的アクティビティでもある。

反復練習を嫌がる子どもたちに、必然的に何度も本文を読ませることができるよい指導方法だ。

そして素晴らしいことに、指導者の表現力アップの演習にもなる。

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リーダーズシアターには、『Shh!』を使った。

最終的な目標は、登場者4人を全部ひとりで演じ分けられること。
これは、自習で極めて欲しい。

さて、4役に分かれての演習。

これが、この日のこの本の、仕上げの朗読ともなった。

最初の朗読と比べて、この「仕上げ」には、以下のような違い(上達)が…。

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1.楽しさ倍増! 印象が強く!

これは、4人で読み合っているという、恊働の影響もあるだろう。

また、人前に立つときには、自分が思うより大きな演技が必要だ、という意識も記憶されただろう。

ひとりで読む場合も、この感覚を思い出そう。

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2. いい間合いが入るようになった! 会話がよりリアルに聞こえた。

話しかける相手が実際にいることで、アイコンタクトをとったり、前のひとの台詞を聞いたりすることで、間が入るようになった。

ひとりで読むと、これらがすっとんでしまいがち。
そのときも、他の読み手がいると想像できるといい。

こうした適当な間合いが、聴衆の理解を助けもする。

間の感覚を忘れないように。

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3.身体の動き、表情がずっと大胆に!

表現がうわべでなく、より根源的、生身なものに近づいた。

そういう言葉が、観客に、特に年少者には理解しやすい。

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4.登場者の「キャラ」が少し、立つようになった!

「分析」で考えた登場者のキャラ、欲深い大人3人と純真無垢の子ども、これらを際立たせることで、テーマも浮かび上がる。

まだまだ、出し惜しみしている表現と、出し方い工夫のいる表現があるが、少なくとも2種を際立たせようという意識は感じられるようになった。

子どもにも聞いて分かりやすい、キャラそれぞれの声など表せる表現力を、引き続き磨いて行こう。

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ワークショップでは時間切れで、個々のみなさんに、口頭で伝え足りていない「講評と展望」。

この場で記しておく。

(つづく)

英語絵本:指導者向けワークショップ@大阪第2回報告その1〜リードアラウド研究会

本ワークショップの前日は、洋書屋さん主催の親子イベントでリードアラウド。
(Thank you so much!)

Where the Wild Things Are で子どもたちと「おおさわぎ」をした余熱が、まださめやらぬ状態…。
ウォームアップがいらない身体で、いざ、中央区民センターへ!

会場は船場近辺、駅出口から近く、近代的な建物で、みなさんに悪くない環境を用意できてまずはほっとする。

(こうした公の会場の使い勝手は、だんぜん大阪が東京よりいい!便利、合理的)

参加のみなさんは、新顔におなじみの顔も混じり、スタート!

Shh! We Have a Plan

Where the Wild Things Are

欲張って、今回も前回の春のワークショップ同様、課題書は2冊。
英語入門者レベルの比較的最近のものと、初級〜中級レベルの古典を選んだ。

選書もかなり考える。

Newer books vs. Long sellers
また、対象年齢と英語レベル
文のスタイル、たとえばナレーターによる物語調と会話で進むもの。

選書の妙、これもリードアラウドの特徴なので、神経を使うものだ。

さてさて、ワークショップの始まり始まり。

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「リードアラウド」という新しい英語絵本のアプローチを言い出したものの責任として、定義や目標をまずみなさんと共有する。

そして、リードアラウドならではの指導法と朗読法を演習していった。

声は、リードアラウドらしい朗読の基本でもある。

継続的なレッスンはできないが、各自が日常自習できる方法、「あくび卵発声トレーニング」で、この日みなさんのウォームアップした。

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今回の参加者のなかで、おそらく年齢は一番若いが、リードアラウドとの出会いが一番古いHさん。

その声の「伸び」が、とても印象的だった。
声の大切さの薫陶(?)を受け、実践で子どもたちに語りかける機会も増えたのだろう。
いい喉になっている。

口先で出す必死な大声ではない、奥から身体を共鳴させて出す声だ。

鍛えれば、喉というか声はそれに応えてくれる、という証だろう。

姿勢、呼吸、そして発声は、今後とも日常的にみなさんに続けて欲しい。

リードアラウドの指導者は、求心力のような子どもたち、観客たちを集中させる力が求められる。
その第一歩が、立ち姿と声。

大切さを強調したつもり。

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Improvisation またはシアターゲームと呼ばれるもので、それを使った「立体的な声」「空間を満たす声」の演習では、大人もちょっと楽しくなった。

ランダムに、離れて立つひとりに、もうひとりがアイコンタクトを送るとほぼ同時に、課題書本文からの短い台詞を投げかける。
この台詞を、どんどん他の人に、まるでキャッチボールのように送る、というもの。

コーチであるわたしが、slowからfastまで速度を指示をして、それに合わせて続けるというゲーム(演習)だった。

声の調子の変え方や、奥行き、ヴォリュームなどが身につく。
朗読の直前にやればそれなりの、即効力があるのでウォームアップにも使える。

はじめは、「ランダムに」が意外と先生的なみなさんには難しい。
というか、日本人には意外と難しいのが、ばらばらに立つ、ということだったりする。

どうにか、ばらばらに立って、このゲームを始める。
いったい何をするのか、やりながら分かってくる、というのが、シアターゲームの特徴でもある。

みなさん、分かってくると、笑顔になって、それこそ嬉々とする。
このときの、気持ちを忘れずに。

このゲームは、そのまま、生徒たちとも使え、生徒たちにも楽しいものになるはず!

この他、stage whisperという演劇の技術でもある、「ささやき」の表現演習も行った。

朗読でささやく表現を、本当にささやいてしまうと聴衆に聞こえない。
それを聞こえるように、なおかつ、ささやいているように読んだり言ったりする技術だ。

必死に(?)、大声で(?)、ささやく大人たち。
おまけに、早送りのフィルムみたいにしたり、スローモションにしたり。

何をしているの?
と思いながらも、愉快な気持ちになったのでは?

子どもたちや聴衆を飽きさせないための、表現の変化球の数々。
こうやって演習して行く。

やっている人たちの、愉快そうな空気、開放感は、聴衆に伝播するものだ。

さて、次である。

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今回の課題書の『Where the Wild Things Are』の山場は、Wild Thingsが登場するところだ。

そこでは、Wild Thingsの台詞や、形容するナレーションが非常に大切だ。

ということで、行ったのが、Animal Imagesという、これまたシアターゲームによる演習だ。

わたしが上げるサイドコーチに従って、みなさんが身体を動かす。
300キロの巨大な「かいじゅう」のイメージを、自分の身体に落とし込む。

イメージが身体的、筋肉的に反応しだしたら、出来上がり。

これが、朗読に厚みや深み、面白さ、ちょうどいい間合いを生み、「見えるような」朗読へと近づけてくれる。

(つづく)

英語えほん千夜一夜第17夜〜A Beasty Story

A Beasty Story 文・Bill Martin Jr 絵・Steven Kellogg, 9780152165604, $7.00
A Beasty Story

 日本では「仮装しておやつをもらう祭り」の印象が強いHalloween。欧米ではその他、お化け屋敷に出かけたり、pranks(いたずら)したり、怖い話を聞いたりする機会でもある。本書はHalloweenの頃に、pranksをたくらんだネズミ(?)と仲間たちの話。本文は、リズムと繰り返しで年少の子どもに人気の高い絵本『Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?』の作者によるものだ。本書も押韻と繰り返しのリズムで読みやすいが、語彙や文と構成もちょっと洒落て凝ってもいるので、小学生中学年程度まで楽しめる作りだ。
 「In a dark, dark wood/there is a dark, dark house(暗い暗い森に/暗い暗い館がある)と始まる、いかにも恐ろしげなナレーション。その暗い森に入ったネズミたちが暗い館を前に、ひそひそと会話を交わす。ナレーションとネズミたちの会話の「2本立て」で物語が進んでいく。ちょうど、恐ろし気な音声が流れるお化け屋敷を、友だち同士でこわごわ見て回るような感じだろうか。Dark brownの館に入ると「dark, dark stair(階段)」があって、ネズミたちは「This is strange:(へんだぞ)」「a color change(色が変わっていく)」「The stair ahead(階段の先は)」「is DARK, DARK RED(暗い暗い赤だ)」と、strange-change、ahead-redとなぜか韻を踏み踏み、cellar(地下室)へと下りていく。blueのcellarにはpurpleのcupboard(戸棚)があって、そこにはgreenのbottle(びん)が。その中で、何かがうごめいている。「Jeepers!」「Creepers!」(なんてこった!)、声を上げるネズミたち。びんから現れたのは…「A BEAST(化け物)!」。ナレーターの声が轟く。果敢にも「Follow that beast!」と、ネズミたちは追いかける。館から漂い出たthe beastは、暗い森よりもさらに暗いある家に入っていき、そこでは別のwhite beastもむっくり…。でもご安心を。すぐに、種明かしがあって「WOW! What a surprise(ワー!びっくりだ)!」と、大団円を迎えるので、年少者にも怖すぎることはない。
 さて、物語を盛り上げ、韻律を楽しませる作者は、教育者でもあった。ネズミには、1から6までの番号付きで色違いのシャツを着せている。登場する場所や物も、6色だ。数、色、これらの確認だけでも初級者は楽しめる。

音読のてびき
1. 深く響かせるナレーションと、高めの子どもらしいネズミの声でコントラストをつける。
2. 繰り返される「dark」は、「r」をゆっくり、深く、怖そうに。
3. 「A BEAST!」は声を張り上げ轟かせる。

リードアラウド認定講師講座第7回:It’s Christmas, David!報告その2〜リードアラウド研究会

It's Christmas, David!

(「その1」からのつづき)

さて次に、指導法。

これまでもリードアラウドらしい指導として「生徒を肯定する」ことを挙げてきた。
それを「努力目標」に留めず、実践できるようにする演習だ。

シアターゲームのなかの、「Yes, and」、
今回はバリエーションのひとつ、Building a Storyゲームを、課題書のDavidバージョンでやってみた。

前の人が言ったことを受け(Yes)、それに新しい展開を加えて、話を作って行く。
締めは「Naughty list, Naughty list, Naughty list…」、これでまとまる話にする。

「どうしよう」「何を言おう」考えれば考えるほど頭は真っ白、時間が過ぎる。

でもだれにでもこんな経験はあるはず。
この日も、ひとりならず何人ものこういう表情を見た。

目的は、そういう空白の時間、相手に無反応(に見える)時間を少なくして、生徒との丁々発止な会話をすること。

慣れてくると、口が先に開きだす。
「なんで自分は、こんなことを言ったのだろう」と、言ったあとに不思議になる…という経験をして欲しい。

同時に、精度を上げて、品性をもちつつ、教育的学習的意味のある何かを「and」で付け加える。

一度目は、かなり詰まる人がでた。

そして二度目。
この時の「オチ」は、「No, Christmas for you, David」、これで締める話にする。

だいぶ慣れた。
これは、楽しい演習だ。これからも続けたい。

リードアラウドの指導のもうひとつの特徴は、豊かな表現。

それを指導するのに、指導者側が平坦な、または適さない違和感のある表現はできない。

そこで本ワークショップで続けているVocal flexibilities。
この回はqualityの演習をした。

課題書は、Davidを叱る台詞が本文のほとんど。
大仰な叱り声も、数回は面白いが飽きてくる。
叱るのでも、qualityが違うもの、質が違う言い方、ニュアンスの演習だ。

例えば、本文中の「Don’t start yet!」など。

これには、思いつくだけでも7~8種類の叱り方がある。

力任せに叱る、大迫力のベテランたち。
だが、一本調子になりがちだった。

親子の生活の実際に照らし、変化球も自然に混ぜられるようにしたい。

…万歳!

いろいろな演習後の、この日2度目の朗読では、みなさんに変化が!

とは言え、台詞ひとつだけを抜き出して練習したときに表せた振幅の大きさ、違いの大きさが、本を通しで読むと小さくなる傾向がみられた。

教室やステージでは、自分が思うよりも大きな動作や表現をしないと、伝わるものも伝わらない。

これもメリハリの一種だ。

多少は本番で小さくなることを前提に、かなり大きく作るように。

また、ずるずると、前の表現を引きずらない。

いつも台詞の後に、「…」の表現が残る傾向もあった。

ばしっ、と切る、練習が必要か。
切り替えるところを意識すること。

呼吸も関係している。
表現の切れ目で、吐き切るつもりで。

さてこの日の、模擬授業である。

ひとりひとり、比較的ゆったりと全員が分担できた。
おかげで(?)
みんなが、ちょっとした「立ち往生」を経験できたようだ。

二人組でやっていったが、「ツッコミ」は授業計画を立てたMさんが通しで担当した。

Mさんに限らず、どうしても(女性同士だから?日本人だから?)「ツッコミ」が弱い。
ツッコミが遅かったりなかったりで、相方のほうも立ち往生が長引いたり、だらだらの印象になる。

「ツッコミ」は愛である。
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子どもたちのため。相方のため。
今、そこで、ツッコミ役がつっこまないと、せっかくの学びの場、印象づけの場が消滅してしまうのだ。

ここにも即興力が必要なようだ。
「協働」、そして「riskをとる」というImprov.(シアターゲーム)の精神でもある。

なにしろ、停滞やつまずきに敏感に気づき、声をはさみ、ふたりの働きとしてよりよいものに保って行くこと。

そうしているうちに、ひとりの場合にも、「もうひとりの自分」が「ツッコミ」をしてくれるようになる。

この日も、みなさんがどうか、楽しさと、腑に落ちる何かを感じてくれましたように。