英語絵本を日本の子どもたちにリードアラウドしたり、「読み聞かせ」をしているみなさんのなかで、David シリーズを使ったことがあるひとは少なくないだろう。
リードアラウド研究会のワークショップ、認定講師講座に参加しているみなさんなら、もうDavidシリーズは得意中の得意、「おはこ」になっているかも知れない。
英語絵本として日本で、長く人気を保っているこのシリーズ。
もしかしたら、力のある先生ほど「やり尽くした」感を持っていたりしないだろうか。
そう思うのに、今期、わざわざ『It’s Christmas, David!』を、認定講師講座の課題書に入れたのはなぜ?
案の定、ベテランのひとりは本書の「授業計画」を準備した後、「二番煎じの感あり」とのコメントを送ってよこした。
しかし、である。
リードアラウドの基本精神というか、胆?に、驚くほど近いと直観し、飛び込んでみたImprovisation (シアターゲーム)。
これが、本書をすでに力のあるみなさんと改めて学ぶ勇気をくれた。
本場、アメリカでImprovisation ワークショップに2年連続で参加して、さらにリードアラウドとの近さを実感し、さらなる目標が垣間見えた。
おかげさまである。
以降、これまで以上に広がりのある、立体的で身体的な絵本の解釈と、その演習案がでてくるようになった。
この、おなじみのDavidシリーズからの一冊。
改めて読んでみたら、目から何枚目かのウロコがポロポロ…。
二番煎じではないものに、わたしたちが変える。
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ページをめくる。
開けるたびに、新たな場面で、新たなイタズラをしているDavidを描いた絵。
そして、そんなDavidを叱る台詞が本文だ。
簡単に言えば、本書もこれまでのシリーズ本と同様に、このパターンの繰り返しである。
ならば、ページごとにDavidがしていることを、大人が実際に子どもを叱るように読めばいいーと思うかも知れない。
しかし、このDavidと、この子といつも一緒にいる家族というものを考えてみる。
また、この一家が住んでいるところ、時間、一日の流れを考える。
クリスマス時期なら、クリスマス一週間前あたりからの流れを考える。
それから、Davidがする困ったこと、ひとつひとつどんな動作か、そしてそれも、いつ、どこでを考える。
シアターゲームでいうところの、who, where, when, what ゲームだ。
これまでは、場面場面で切り取った瞬間を、いわばワンパターンで読んだかもしれない。
それを、生身の人間の、物理的にリアリティのある場所での行動と捉える。
棚はどこにある?
そこにDavidが手を伸ばすまで、どれくらい時間がかかった?
どういう状態?息切れ?ぐらぐら?
親は気づくまで何をしていたところ?
いつ頃?
部屋はどこ?そこに行くまでにどのくらい時間がかかった?
など、映画を作るつもりで考えるといい。
描かれていない背景も、必然としてある。
その部分も考えての朗読や、指導にする。
さあーて、と。
あたらしく立体的に、身体的に解釈する演習、今日のリードアラウド認定講師講座でやってみるとしよう。