いつもの私立小、だが初対面の16人の1年生で、これから3回連続おつきあいする子どもたちと、『More』でリードアラウドをした。
典型的な、うまくいったセッションだったので、これを例に指導のヒントを書き出してみたい。
◎あいさつで、緊張をとく。指導者の名前を覚えさせる。
「Good afternoon, everyone!」と登場し、子どもたちの反応を、芝居っけたっぷりに待つ。
だが、「…」だったり「Good afternoon,…」で先がない。
これは、典型的な反応だ。
「どう答えたらいいのかな?」と問いかけてから、white boardに指導者の名を大きく英語で書く。
「Ms. Oshima」
読み方を教え、練習してから、「じゃもういちど挨拶し直し!」。
「Good afternoon, Ms. Oshima!」
これでぐっと、親近感が湧き出るのがわかる。
◎リードアラウドの約束とそのデモンストレーションのとき、180度の半円状に並べた席に座った子どもたちに、視線をもらさずくばる。
話しながら、アイコンタクトをひとりひとりと取るつもりで。
特に零度と180度に座っている、隅のふたりを取りこぼさないように視線を動かす。
これで、参加する意識が高まる。
◎自由に表現できるように、表現のウォーミングアップをする。
本書では巻頭に一言、「Nothing.」と本文。
そして、何もない場所に寂しそうに主人公の鳥、magpie(カササギ)が佇む。
次のページで一転、「Something.」ビー玉を見つけたmagpieが嬉しそうに描かれている。
ここで、「リードアラウドの約束のひとつ、感じを込めて読む」が、実践される。
ふたつの対照的な言葉に、それぞれ適したemotionをつけ言葉のキャッチボールをした。
「寂しい」「つまらない」感じでnothingを、級友A(だれでも)に向って言う(言葉の「ボール」を投げる)。
級友Aはそれを受け、同様のemotionでnothingを言う。それから、「うれしい、何かある!」のemothingでsomethingを言い、級友Bに「投げる」。
同様に級友Bはsomethingを受けて適したemotionで言う。
今度は級友Cにnothingを…
と、続けていく。
ひとりが必ず、nothingとsomethingを使うことになって、1年生としては上級の語彙に慣れた。
また、適したemotionをつけて言うことで、意味が腑に落ちる。
どぎまぎする子どももいたが、一緒に言ってやることで、納得の表情に。
ツーカーと来た子は、どこへ飛ばそうかを楽し気に考えているのがわかる。
みえないボールを投げ合うという、面白さを感じて「ゲーム」らしくなった。
同時に、すっかり表現をつけた読み方が板につき、子どもたちは子どもたちは「何だか面白いぞ」の顔つきになっていた。
(つづく)