続「すらすら」英文が読めるのに意味がわからない子どもたちについて

英語で苦労した多くの日本人の大人にとって、英文を「すらすら」読み下している、今時の英語キッズは驚異のはず。

だが、わたしも今だからよく分かるが、この「すらすら」が曲者だということ。
意味を理解して読んでいるとは、限らないのである。

先日も、ネイティブの1年生レベルReadingの教材(ワークブック)
Spectrum Reading 1 (McGraw-Hill Learning Materials Spectrum)
を、生徒が「すらすら」読んだので、つい、分かったと思って、内容についていろいろ質問をした。

だが、どの答えも「I don’t know.」

えっ?
今、すらすら読んだばかりだけど?
正誤のない「What do you think?」という問いにも「I don’t know because I don’t know」って。

え、え、え〜?
そんな!
生徒はあまりのわたしの不思議そうな、意外そうな、「冗談よね?」みたいな反応に、自分が情けなくなったのか、なんと涙目に。

そっか。
何も考えずに、ただ読んだんだ。ごめん。
その癖がついているんだね。

今度は、やり方を変えよう。
絵本でなくとも、場面や登場者がどういうものか、どういう雰囲気なのかなどを考え、それにそった読み方をいつもさせるように。
たとえその文がワークブックの文でも、油断大敵。
ちゃんと、リードアラウドの読み方で読ませてみよう。

同じ日に、この生徒でもうひとつ、とても興味深いことを発見した。

表現の枠を広げるために、ときどきスクールではシアターゲームをする。
そのひとつで、感情をでたらめ語(gibberish)で表現するEmotional Mirror Gameをしたところをビデオに撮った。
そこに写っている自分を、とても見たがったのだ。

見せると、与えられたemotionをでたらめ語でべらべら表現しようとしている自分を、実に興味深そうに、何度も見る。
(でも、たとえばsadというemotionなのに、表現するのが嬉しくてにこにこしてしまったりのときもあって、満点の出来ではないのだが)

自分の知らない自分が写っている?
実は表現豊かな自分を発見した?

何を見ようとしているのか、とても興味がある。

復習課題:エンターテイメント性を高める〜リードアラウド・ワークショップ

そろそろ11月の指導者向けリードアラウド・ワークショップが近づいてきた。

復習、予習の確認をよろしく。

復習は、『That Is Not a Good Idea!』
リーダーズシアターとして演じて、英語があまりわからない聴衆にも「おもしろい!」と思ってもらえるものにしたい。

キャラクターを完成させよう。
Foxの台詞は特に、つっかからないように。
何度も読んで自分のものにしてら、次に、下心いっぱいのFoxになったつもりで芝居っけたっぷりで読む。

Gooseの最後の台詞「YOU!」が、特に聴衆に受けるところなので、声の大きさ、間合い、言い方など大いに工夫しよう。

また、voice variablesの復習として、pitchのワークシートをもう一度。
声のHigh-middle-lowを反射的に変えられるように、何度も読むこと。

予習は『Fortunately』の読み込み。
愚直に絵をよく見ながら、何度も読んでみよう。
Fortunately

「みんなの活力がでません」〜シアターゲームで解決!

リードアラウドをやっていると、ときに集団全体の活力が上がらない場面に遭遇する。

指導者の活力が下がっている、というのは別問題で、ここでは取り上げないが、生徒たちつまりそこに集まった参加者の活力が低いという、場面である。

そんなおりには、シアターゲームを。
最近はその気持ちを、強くしている。

いい例が、先日のリードアラウドだ。

4歳くらいから10歳くらいの、半分以上が初対面の子どもたち10数名と、その家族らが集まった、書店でのこと。
本は『Love Monster』。
語数がちょっと多い本だ。
Love Monster

ベテラン(!)のわたしだ。
もう、出だしでつまずくことは滅多にない。

今回の、語数の多い本の場合は、特に気配りして進めたので、そうめだった活力の停滞はなかったとは思う。

だがそれでも、あとちょっとで終わるところ。
「序破急」で言うと、「急」にあたる大切で、もりあがる部分で、活力切れらしき子どもが数人…。

悲しいモンスターの人生が変わった場面、本文はこうだ。
「…everything changed.」
力を入れ、粘って読みたいところなのに、つるっとトコロ天のような読みだ。
いかん!

そこで、シアターゲーム!

この場合は、Energy CircleやらExaggeration Circleと呼ばれるものを挟んだ。

会場の都合上、circleになっていないので、「Energy Line」だが、強調したい語、かつ知って欲しい語彙でもある、everything を順々にひとりひとり声を大きくして言っていくという簡単なゲームだ。

うまくいけば、うわーーーーっと尻上がりに声が大きくなっていくように聞こえる。

一方向からやってみた。
隣より大きい声を出す、というのが分からないのか、不発。

なら子どもを取り巻いている大人たちにと、やってもらった。
期待ほどenergyは大きくならないが、だいたいの感じは子どもに伝わったらしい。

3度目の正直。
反対方向からやってみた。
最後は4歳男児。
徐々に大きくなる声を受け、最後に顔を真っ赤にして「EVERYTHING〜〜!」
叫んだ。

大成功!!!

ふっ。
不思議なことに、空気が変わった。
集団がまとまるとは、こういう感じか。

直後に通読をしたが、メリハリが効いた期待以上のお見事なものだった。

こんなちょっとしたシアターゲームだが、集団をまとめるだけではない。
表現のエネルギーのあげ方を、自然に身体に教えてくれる。

FAQ「英文をすらすら読めるけど、何が書いてあるかわからないのはなぜ?」〜リードアラウドの挑戦

母語が英語でインターナショナル・スクールに通っていても、英語(日本でいう国語)が苦手な子どもたちがいる。
「英語がペラペラなのに?」と、意外に思うかもしれない。
でも、自分たちの学生時代を思い出せば、日本語がペラペラなのに国語が苦手な人という存在をイメージできるだろう。

文をすらすら読み下せても、内容がわかっていることにはならない。
ひらがなで書かれた般若心経を読む(聞く)感じ。
こう考えるとピンとくるかもしれない。
子どもでも読めるが、何が書いてあるかはさっぱりわからない。
聞いていても、さっぱりわからない。

これはreadingではなく、phonation(発音、発声)だ。
「すらすら読めるけど、何が書いてあるかわからない」というのは、文字のphonationをしているだけだから、音でしかない。
もちろん、phonation(読み下せること)も英語の大切な力だが、それだけでreadingができるとは言えないことを、理解したい。

読み下しているだけというのは、聞いていればわかる。
書かれている内容や表されている感情が声に乗っていない平坦な読み方。
いわゆる「棒読み」なのだ。

子どもの棒読みを発見したら、内容について考えさせる「一時休止」を設けよう。
積極的にreading力をつけさせたいと考えているなら、文字は少ないが書かれていることが深い、考えさせる文や本を与えてみよう。
読本(readers)として英語のレベル準拠を主眼に作られたシリーズ(これらはおおよそ内容が薄くつまらない)ではないものだ。

少なくとも子ども向けの文学として書かれた、名作と言われる本や絵本がいい。
じっくり口に乗せて読ませる。
表現させて、どういうことなのかを考えさせる。
わたしたちが、国語や現代国語の授業でやったような過程だ。

そういう過程で身についた読解力・表現力と、すらすら読み下せる力が合わさったものをreading力という。
このreading力を認識し、積極的につけさせようというのが、わたしの行っているリードアラウドであり、スクールの挑戦なのだ。

英語絵本の朗読にemotionsを入れる〜シアターゲームで大成功!

最近、絵本のリードアラウド指導に新手を使っている。
リードアラウド指導にある「4つの約束」のうちのひとつ、「感じを出して読む」を指導する方法としてかなり効き目がある……。
シアターゲームだ。

先日、「小中クラス(アドバンス)」の生徒たちと『My Many Colored Days」の練習をした。
My Many Colored Days
この日からクラスに1名の生徒が進級してきた。
初顔合わせということで、案の定、ちょっとしらけた空気が漂う最初の5分。

この空気を予想して用意しておいたシアターゲーム「Emotional Mirror ゲーム」。
「Gibberish(ちんぷんかんぷんな言葉)ゲーム」の一種だ。
ペアになって、いろいろなemotionsに合わせ、それぞれ違う惑星の宇宙人のようにgibberishで話す。

この日の絵本『My Many Colored Days」では、「good」「excited」などemotionがいくつも登場する。
例えば、「good」とAに指示する。
Aは、でたらめな言葉でgoodという気持ちを相手のBに話す。
Bは、また違う種類のでたらめな言葉でgoodという気持ちをAに話す。

こういう具合に、いろいろなemotionsでおこなっていくと、ふたつの大きな効果が観察できた。
ひとつは、初対面の固さやしらけが消えたこと。
もうひとつは、感情が言葉にこもり始め、表現の枠が大きくなったこと。

心配していたぎこちなさや、感受性の強い生徒の押し黙りや不機嫌は、このゲームで氷解したようで出現せず。
笑顔どころかゲラゲラ笑い声まで出て、心からホッ。
そして、読み方が実に豊かでカラフルになったことに驚いた。

生徒たちにシアターゲームをさせながら思うのは、まずは指導者が本気で楽しみながら例を示すことの大切さ。
逆に言えば、指導者が楽しげにデモンストレーションすれば、すぐに生徒たちもやりたがる。

指導者のみなさん、お試しあれ。
そして一度、シアターゲーム・ワークショップでご一緒しましょう!

英語指導者のためのシアターゲーム・ワークショップ