“Becoming a Nation of Readers”を読んだ

 アメリカの教育者がreadingについて述べる時に、必ずと言ってよいほど引用する文献が、Becoming a Nation of Readers(「読む力のある国になるために」):The Report of the Commission on Readingだ。これをやっとアメリカの古本屋で手に入れた。

 これは、アメリカの3つの公の教育機関;
The National Academy of Education、The National Institute of Education(U.S.教育省)、The Center for the Study of Reading、
からなるthe Commission on Readingという1983年に作られた委員会が、膨大な調査をまとめて1985年に出した報告書だ。

 アメリカ政府の教育省がお金を出し、アメリカの子どもの知識と読む力の現状を調査し、その結果を踏まえて、今後何をすることがそれらを向上させることに役立つかを、提言としてまとめたものだ。この背景には、学力調査に表れた70年代からの子どもたちの知識や読む力の低下が、国力低下の兆しだとする危機感があったようだ。

 そのたくさんある結果から導いた結論で、リードアラウドに最も関連深いのが、Emerging Literacy(リテラシーの芽生え)の章(p.23)にあるこれ。

The single most important activity for building the knowledge required for eventual success in reading is reading aloud to children.

「子どもが将来、順調に読む力をつけていけるようにしてやれる、最も重要なひとつのこと、それは読み聞かせをしてやることだ」。

 まだ読めない子どもが、将来、本を自らすすんで読み、読む力のある人(readers)になるように、大人が何かひとつしなければならないといったら、それはreading aloud to children、読み聞かせをすることだ。

 ここまでは、英語圏の教育者たちによる英語圏の子どもへの提言で、日本人の子どもの母語教育への参考にもなる。だがわたしが、ちょっと大げさに言えば、ライフワークにしているのは、日本人の子どもへの英語教育。英語が母語ではない子どもには、ただ英語の本を読み聞かせ(read aloud to children)ても、子どもが楽しめないからと、read aloud を一緒(read aloud together)に楽しむ方法、「リードアラウド」を提唱してきた。

 そこで、先の調査結果は、日本の英語を学ぶ子どもたち向けに解釈すれば、「英語力を伸ばすためにしてやれる重要なことは、リードアラウドすること」でもある。

 わたしのリードアラウドでは、表現を学ぶという目的もあるので、結果的に反復練習をすることになる。先の報告書にはread aloudの大切さに加えて、本の反復読みの大切さも挙げられている(p.54)。

 No one would expect a novice pianist to sight read a new selection every day, but that is exactly what is expected of the beginning readers.(だれもピアノ初心者に、毎日新曲を弾かせようとは思わないのに、英語の初心者にはそういうことをさせようとしているのと同じだ)

 つまり、マスター出来るまで同じ曲(本)を弾く(読む)のが、上達への道だろう。

 リードアラウドというアクティビティは、どうやら結果的に、アメリカ教育界のバイブル的報告書が、調査結果に基づいて英語力向上に役立つと挙げているアクティビティそのものだったようだ。