ポートランド、Farmers’ Marketにて

 ポートランドに戻って来た。髪がくせ毛なので、湿度の高低がよくわかる。東京でくねくねだったが、ここではしっかり直毛になる。日なたは「アチーイ」と言うくらい暑いが、日陰は涼しく、街には嬉しいことに木陰が多い。
 今日は水曜日で、小さなFarmers’ Marketが街中にたつので、コロコロと車付き買い物バッグをころがして、買い出しに行った。

 近頃は東京のデパートで、「オレゴン産ブルーベリー」が売っているが、今日まで買わずに我慢していた。最近、『Blueberries for Sal』 を読んだこともあって、頭のなかのブルーベリーが熟していた。そして今日、ついにフレッシュでオーガニックなものが、やっと買えた。1箱(日本の2倍くらい深い)$2.50(デパートの半額)。

 Blueberries for Emiとばかりに出かけたわけだが、Salはクマの親子に会ったが、わたしは、多種多様な人間に会った。NYの地下鉄でも思うことだが、アメリカの人間ってバラエティに富んでいるなあ。人々は、日常的に何かを豊かに表現している感じだ。そんな人々がざらにいる国で、プロの表現をするのは、ハードルが高くなるよなあ。

 まるでディズニーランドのベアーカントリーのステージから出て来たような格好の若者がカントリー風音楽を奏で、クモのように手足の長く背が高い兄さんがなぜかタップダンスをしている。ステージ衣装ではなく、西部開拓民の普段着みたいな服で。なんだか、じわじわおかしくなる。

 青い目で金髪のほっぺの赤いおかみさんは、メリル・ストリーブが演技しているみたい。紙をふりふり「ほら、農薬散布してない証明書もあるよ」。「あんた、いろいろ、ちょっとずつ買うんだねえ」と、白髪にポニーテール、エドガー・ウィンターが枯れたような、ヒッピー風農夫のじいさん。クールなヘアカットで色白、エリート金融マン、トム・クルーズ風なのは、コーヒー屋台の兄さん。Farmerなんだろうか。

 サケを持ってポーズする赤銅色のネイティブアメリカン(自分では「インディアン」と言う)のおじちゃん。白馬に乗せたら絵になる格好良さ。よく働くダウン症の孫らしき若者とブルーベリーを売るばあちゃんは、幸せそうだ。「7ドルの花束が4つ、30ドルもらったらおつりはいくら?」と算数の勉強をさせられながら手伝っている小学3年生くらいの少年とママは、花売りだ。計算が遅くても付き合って、答えが合っていると、ほめてくれる客がほとんど。わたしの時は間違えた。「それでいいの?」とわたしが言ったので、ママが訂正。

「Who likes broccolis?」と保父さんがきくと、「Boo!」とちっちゃい子どもたちが声をそろえて答える。「How about onions?」。するとまた「Boo! 」。いろんな野菜の名前を知るための、野外教室らしい。混雑するMarket内の、ちょっとした交通妨害なのだが、みんな目を細めて見守っている。

 さあ、土曜日の大きいFarmers’ Marketが楽しみだ。せっせと、今日買った分を食べるとしよう。

 今日の自習:村上春樹さんがJALの機内誌に書いた『二つのポートランド』(紀行文)の朗読。ナレーション的な読みをただ今、特訓中。朗読(リードアラウド)すると、確かに文の味わいが深まる……。

Blueberries for Sal (Picture Puffins)
『Blueberries for Sal (Picture Puffins)』