「Yes, and」の精神で〜シアターゲーム@リードアラウド・ワークショップ第3回

いぜんこちらにも書いたが、
Improvisation またの名をシアターゲームというものがある。
もともとは、演劇で即興力や表現力を養うプロセスで、ゲーム形式で訓練するものだ。
だが、教育の分野で子どもたちの学習の動機付けなどにその有効さが認められて、英語圏の学校ではいろいろ取入れられている。

リードアラウド・ワークショップでは、指導者自身の表現力と子どもに対する指導力アップという観点から、このシアターゲームを少々、本年度から取入れている。

第3回目は、「Yes, and」。

これは、Aという人が何か情報をもたらす。Bは、それをYesと受けて、それに新たな情報を付け足す、というもの。

現実的な例、それも困った例を挙げる。

『Go Away, Big Green Monster!』のリードアラウドをするという場面で。
生徒役A「先生、この表紙の怪物、先生に似ているよ」
さあ、先生。
これを、Yes, and でどうつなぐ。
「そうね、ありがとう。この目とか可愛らしいところが、よく似ているね」
これは、○。

しかし、よくある答えかたは
「ええ?なんで?それに、こんな髪の毛の色じゃないし」とか、No, but が繋がる。

また、生徒のとる態度も、一種のインフォメーションだと考えると、こういうのはどうだろう。
先生「この部分をいっしょに読もう」と言ったら、
生徒B「………(聞こえないくらいの小声)」

さあ、Yes, and でどう対応する?

先生対応1「ふむふむ。心の声で読んでくれたようだね。じゃ、心の声にマイクをつけるから、もう一度一緒に読んでみよう」

先生対応2「うん、今の、アリなら聞こえたね。そしたら、先生はトリに聞こえるくらいに読む。つぎはウサギ?」など、andの後に、他の生徒も巻き込むのもよし。

これらは○。

でも、実際の対応は…
「あれ?小さくて聞こえないなあ」と、 No, but can you read it louder? といってしまう。

今回のワークショップでも、「そうね」とyesは言うのだが、後ろに「だけど、もう少し〜してみよう」と、結局は「yes, but」になりがちだった。

Yesのあとに加える新インフォメーションが、なかなかとっさに出ない、という難しさも認識できただろう。

実際の生徒とのやりとりでは、とっさにかえさなければならない。
それも、いつもYes, andで返すこと。

小学校の先生方には、随分と浸透しているようだが、その他の子どもを指導する立場にある大人たちにはまだまだだ。

やる気を出させる。自由に発言させる。そうすることで、豊かな表現を引き出すリードアラウドの指導者たるもの、これからも訓練が必要かもしれない。

でもそれは、決してリードアラウド指導だけの技術ではなく、日常のコミュニケーションで素晴らしい力を発揮するはず。
人生を変える、とまで言っている人もいる。この動画(TEDより)をどうぞ。

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