なぜかストリートダンスの一大イベントの会場に行った。
そこで、MCという仕事をまじかに見た。
MCとはMaster of Ceremony、司会者だったりイベントの進行役のこと。
DJによるヒップな音楽が流れる会場では、言語のメインはもちろん日本語だが、思った以上に英語を使っていて、認識を改めることになった。
英語は単語だけではなく、想像以上にフレーズだったりセンテンスを使う。
これは、発見。
ただ、ここで重要視されるのは、あくまでも「かっこよさ」。
何が「かっこいい」か、よくわかった。
「Are you ready?」とか、
count downの「3, 2, 1, now」など。
これを、本物ネイティブのDJぽく、うねりをつけて言う。
こういう「かっこよさ」、クールさが大切なイベントでは、どうやら英語は発音の「それっぽさ」が一番らしい。
格好よさを、あまり英語の先生は強調しないし、もちろん英語はそれだけではない。
が、英語のひとつの動機付けになることを、ストリートダンスのコミュニティで確信した。
ところで、このMCの英語をしばらく聞いていて、あることがとても気になり始めた。
一度気になると、どんどん気になる。
気になる、気になる。
だんだん、気持ちまで悪くなってきた…。
何が気になったか。
それは…
あるはずのないところに入り込む母音。
たとえば、何度も何度も繰り返された「Start!」の音。
「Star」までは、凄くいい。
カッコいい。
そのまま、いっそ、「t」抜きの発音にしておけばいいのに、
もう1音節くっつけていたのだ。
「Star-to—」、「スター」と、「トーオ」。
2音節になる。
アクセントをつけて言いたいのはわかるが、startは、「a」のところにしかつけられない。
「スタアッ!」といって、最後に下が「t」と上顎にタッチする程度。
「すたー」と「r」のきれいな音も聞こえる後に「とお」と続くと、づっこける。
スタートでつまずく感じ。
ヒップホップの音楽をやっている人たちや、ストリートダンスをする人たちは、音感を大切にするからだろうか、英語もかなり発音に「ネイティブっぽさ」を求めるようだ。
ならば、もうちょっと、正確さを突き詰めたら、もっとかっこいいのに。
子どもたちに英語の学習の動機付けをするのに、職業を考えさせるという手もある。
小学生高学年から高校生くらいの生徒には、英語の先生は、一種「ハローワーク」の窓口のおじさんやおばさん的役割をしてあげるのもいい。
そこで、ヒップホップやストリートダンスの分野に興味がありそうな子どもたちには、「英語が出来るとかっこいいよ」「MCという仕事もできるかも」なんて、ちょろっと(ヤボな先生としては)意外なことを言って、勉強に引き込む手もあるかも。