6月のリードアラウド・ワークショップで

6月の「教材」は、『Sheep in a Jeep』。
選書は、自分の好みだけに偏らないように努めている。
そこで、「(わたしと違って)素直な子どもだったらどんな本が好きかな」と、angelになったつもりで選んだ1冊である。
Sheep in a Jeep

1986年に出版されて以来、版を切らすことなく子どもに愛され続けている。
最近では、学校などで使い勝手のいいbig book版も出たことからも、現役の人気本であることが想像つく。

毒のない、のほほんとした優しさ溢れる本である。

子どもならではの、こういった素直な本を、リードアラウド的に楽しむにはどうしたらいいだろうか。

特に、指導者に練習して欲しいと考えたのは、
本文中で多用される韻を踏んだ動詞や形容詞を、体現する!
ということ。

例えば使われている leapやshove、grunt、それにsteepやgooeyを、体全体で表現できるようにするのだ。

この日、「Fluencyとは」を総論的に話し、ヴォイス・トレーニングをした後に、それぞれが自習してきた『Sheep〜』を、グループに分かれて、そこでひとりづつ朗読してもらった。

本ワークショップでは、まずこうして全員がひと読みする。
その後に、その回のポイントを定めた練習と、本文の構成・解釈などを進め、それからもう一度読む。

この練習・解釈の「before/after」で、各自に、表現の変化を確認してもらう。

この日の「before」も、いつもながら「つるん」としていた。

年季が浅い参加者ほど、この「つるん」度が高い。
聞いているものに、イメージが湧かず、つるんと終わってしまうか、長い場合は途中で退屈してしまう。

(年季の入った参加者は、「つるん」はさすがに減るが、ちょっとした違和感をところどころに残した朗読が多い)。

その後に、いよいよ、『Sheep〜』のなかの、特に動詞・形容詞を、聴く人にイメージが湧くように読む練習だ。
具体的には、「体現する」練習。

いやー、楽しい。
gruntしたり、ヒツジ的にyelpしてもらったり。
tugなのにpullに見えたりするのを直したり、ぐぐぐーと押しながらshoveと言い、gooeyをドロドロ感溢れるように言い直してもらったり。

こうした「臨場感付き」表現は、イメージを送り出すだけでなく、子どもにも同様に表現させることで、その語を強く印象付け、記憶に残すことが出来る。

そうしてイメージとともに残った語は、将来、たとえば「gooey」という語を見た時に、自然と「どーろどろ」という感じで読み、その無意識な自分の表現で、その意味が推し量られるようになる。

こんな練習と、本文の解釈を終え、2度目の朗読をそれぞれにやってもらった。

自分のは分かりにくくても、パートナーの変化はよくわかるもの。
そして、わたしの耳にも、大違い。

平面的だったのが、見事に3D的に変化するものだ。
そして、かなり聞いていて楽しい。
これなら、もうひと磨きで子どもに楽しんでもらえそう、と思えるものになった。

「ひと磨き」をどうするか。
自分の朗読を録音・再生し、無意識に読んでしまっている語句をみつけては、修正していくこと。
それこそ、しらみつぶしに。

リードアラウド、朗読技能の部分も、指導技能の部分と同様に、芸と言えるだろう。
磨き方ひとつで、本当に輝く。

ワークショップで1冊終えたあとは、2時間ほど時間を取って、じっくり自分の朗読と向かい合ってみるのといい。
Sheep in a Jeep [With CD]