『Frog and Toad』を高齢者施設で読む

月1回の高齢者施設の3人のマダムとの英語の時間、始めてから4年以上になる。

平均年齢90歳+の3人が、ひとりも欠ける事なく元気でシャープで、ずっと続いているのが本当に素晴らしい。

教材は、もちろん絵本。

でも、3人中ふたりは、英字新聞の元記者とカナダ領事館に元職員。

そんな英語の元プロを交えていることもあって、特に中身の濃いものを厳選したきた。

そして、いつも嬉しいのは、こんな声が聞ける時。

「なんていいお話でしょう」

「絵本ってこんなに、大人にも考えさせるものなんですね」

「内容が深いですね」

「まあ、心を洗われるような奇麗な絵」

みずみずしい感性で、しみじみと、時にはあでやかな喜びの声を聞かせてくれること。

「今更、絵本なんて」
「わたしたちに失礼よ」

などと思われはしまいか心配したのは、杞憂だった。

最初は、「声を出す」ということに特に惹かれて始めた人も、思いがけずに絵本に文学や芸術の香りをかいで、続けていただけているようだ。

英語そのものの難易度はいろいろ。

他のリードアラウド・クラスの選書と一番の相違点は、文字の大きさの考慮。

3人ともに一番悩んでいるのが、視力の衰えなのだ。

字が小さいと、とても読みにくく、読み間違えが増える。

そんなことにも気がまわらなかった初期の頃は、わたしはみなさんの読み間違いを「英語の間違い」と思ったことも。
大変失礼なことをした。

文字が小さいのは、選外。

今では、
文字が大きいもの、

行間が広いもの、

と目に優しい本を心がけている。

また、
選書の第二のポイントは、
文学・芸術性。

ただ英文を多読することには、みなさん興味がない。

ゆっくり英語を味わう。

しっかり声を出す。

なので、

韻やくりかえしの音を楽しむ本、

物語の展開の面白さを堪能する本、

子どものかわいらしさを改めて感じ入る本、

挿絵の詳細へのこだわりや、色彩や造形の美しさを味わう本、

異文化への目を開かせてくれる本などなど。

これまでの選書、すべてに目を輝かしていただけたのが、わたしの勲章だ。

さて今、

まさに読んでいるのは『Frog & Toad』。

文は多少長いが、いくつかの章に分かれているので、息切れしないちょうどいい長さだ。

そして、文字の大きさ。

十分に大きい!

「大人に役立つこと、友情について学べますねえ…」

「今でも、役に立つわね」

は、昨日読んだ章のみなさんの感想。

よかった、よかった。

みなさん、これからもどうぞお元気で、ご一緒しましょう!

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