文鎮堂おすすめBOOKS:Blueberries for Sal

Blueberries For Sal

●データ:
 (文)Robert McCloskey (絵)Robert McCloskey
 (初版年)1948年  (レクサイル指数)890L
 

●作者について:
  Robert McCloskey:1914年オハイオ州ハミルトン生まれ。音楽家になろうとした幼少時、少年時代は発明家、高校生で絵に目覚め、美大に進んだ。コルディコット大賞を2度受賞。戦前に出版されたデビュー作、Make Way for Ducklingsはアメリカの代表的絵本として不朽の名作。2003年没。
 
●あらすじ:
  ある日、サリーと母は、ブルーベリーをつみに山に行った。母は、冬にそなえ缶詰を作るため、たくさん摘もう思っていた。サリーは母の摘んだのもつまみ食い をするので、自分の分は自分でと言われる。同じ山の反対側では、クマの親子がブルーベリー摘み。冬にそなえ食べだめしていたが、子グマはいろいろ気を取ら れ、母グマと離れてしまう。ちょうど同じ頃、反対側にいるサリーも母とはぐれていた。音をたよりに母探しするサリーの目の前に現れたのは、母クマ。そし て、母とはぐれた子グマが見つけたのは、サリーの母だった……。

●本書について:
レクサイル890Lとあるように、英文は洗練された上級者向け。
文章量も、幼児と一緒に読むには長い。
英語をちょっとやりなおそうかなと思う大人が、つまずかない程度に楽しみながら読み進める。

青インクで描かれた絵がいい。
品と愛嬌があり、「古き良き時代」のアメリカを彷彿させる。
「ブルーベリー」の知名度が、日本の子の間でも高まったので、これまで以上に興味を持ってくれるかも。

子どもにどう英語の本を親しませるか?Reading Is Fundamentalによると

アメリカのNPOで、Reading Is Fundamental(RIF)というのがあり、団体名どおり、「いかに子どもにとってreadingが大切か」を啓蒙し、具体的にreadingを楽しませる方法や、催し、活動を行っている。

readingに関して親が子に出来ること、RIFによると(以下の英文の部分)
(1)0-4歳頃まで
simply making the commitment to read to them every day is the most important thing you can do.
(ここで、わたしたちにとって英語は母語ではないので、「every day」は日本語の本も入れて、と考えよう。
でも、いろんな形で「読む」ということを、子にしてあげる。
commitment to read、「読む」ことと関わらせることが、大人が子に出来る最も大切なこと。
本を読んであげる、読み合うだけでなく、歌詞を見ながらうたうのでもいいし、文字が書いてあるブロックを読みながら積むのもよし。英語で書かれたラベルを読むのでも!)

(2)4,5歳〜
the goal is to learn to read fluently, not to read every word.
(fluentlyは、「流暢に」と聞くと、ただすらすら読むことと思い勝ちだが、内容を理解して適切な表現を伴った読み方のことをいう。
一字一句間違えずに読み下すことを、目標にしない。
読書を楽しませる。
内容について、子とディスカッションしながら読んでいく。
まずは、大まかな内容を掴み、物語を味わう。
楽しければ、何度か読むことになり、細部は後から付いてくる。)

「潜在力に投資しよう」

久しぶりの日本の新聞。
著名人に「仕事力」をテーマにインタビューするコラム、求人欄内にあるものだが、愛読しているコラムを今朝読んだ。

語るのは、博学で有名な作家の荒俣宏さん。
「潜在力に投資しよう」の4回目の今日は、「パイを食い合わずに」と副題がついている。

これまでは、「今どんな能力を備えているべきか、求められている人材とは、など企業に歓迎されるひな型に向けて努力をしてきた」。
それらを「親たちは信じ込み、子どもにもどの『ひな型』を求めてきたのではないか」。
(このことを、「パイの食い合い」と表現した)

これが、人生をつまらくしてしまうのではないかと作家はいう。
でも今や「長い人生を豊かに働く、新たな考え方にシフトする時代が来たと思う」。
(同じパイではないものを、悠々と食べればいい?)

だから、今、世間の親が子に必要だと浮き足立っていることは、もしかしたら「ひな型」にはめるために必要なこと、実はその子の人生を豊かにするものではないかもしれない。

翻って、英語での読書、その初歩段階とも考えられる英語絵本のリードアラウドで培っている力は、「道楽」と思う人がいたり、「遠回り」と思う人がいるかもしれない。
しかし、「体験の点と点が、自分の中でつながり面になった時に、力を出せる」との作家の言葉に、わたしは深く頷くのであった。

「よい子どもの本とは」『Olivia』の作家はこう考える

「What makes a good children’s book?」
ニューヨーク・タイムズの記者に、こう尋ねられた『Olivia』の作家、Ian Falconerは、何と答えただろうか?(原文

「ひとつだけ言えと言われれば」と、こう前置きをして、
「読者を過小評価しないこと」。

リードアラウドのワークショップに参加した事がある人なら、「ああ、これ」と思い当たるかもしれない。
わたしも選書の上で、強調してきたことだ。
「読者を過小評価していない本」。

絵本の主読者は、子ども。
読者が子どもだからと、「まだ理解出来ない事がたくさんある」「こんなことを言ってもわからないだろう」「この程度の絵でいいだろう」という考えでかいた「子どもの本」は、本当に、つまらない。
それは、子どもにもわかる。
作者の言葉を借りれば、
「Children will figure things out; it’s what they do best- sorting out the world.」

『Olivia』は、確かに面白い。
ブタの「女子」である、オリビアが主人公で、その年格好にしてはおしゃまな子だ。
ドガの『踊り子』の絵の前で感動して立ち尽くしたり、ポラックの抽象画を見て「自分でも描ける」と言ったり感性豊かで主張がある。
女性として、気持ちのいい描かれ方だ。

まあ、こだわりが強く、ちょっと「面倒くさい女」かも知れない。
弟とのやりとりを見ていると、「女の言い分」や「男の言い分」が見えて大人は苦笑する。

男女の機微や、親の本音などが浮き彫りにされる「大人っぽい」ユーモアも含む物語だ。
これが、男女問わず、5歳くらいから英語が初級程度の小学生の子どもまで面白がる。
そして、大人にはもちろん大受け。
「女子」に苦労している大人の男性に、特に受けるのも目撃している。

現役の舞台芸術家でもあり、一流アーティストの証明でもある 『New Yorker』表紙絵を何度も描いた作者が、自作を「a good children’s book」と自負しているからこそ言えた、「よい子どもの本の条件」なのだろう。

What Makes Kids Go Nuts for Stories:リードアラウドとMo Willems

「もっと英語の絵本を楽しんで、ついでに英語もわかるようになっちゃおう」と始めたリードアラウド。
その神髄を、この人と分かち合っていることを発見!
わたしの100選にも複数冊入っている絵本作家、Mo Willemsだ。
娘、Trixie(この本の主人公)と11年間一緒に本を楽しんできた経験から、
「What makes kids go nuts for stories」
(何が子どもを物語に夢中にさせるか)
についてこう語っている
[以下、かぎかっこは、Moの発言(抄訳)。かっこは、わたしのひとりごと]

「1.どなる、叫ぶ:一緒に読むときは、はめをはずして。
大きな音をたてたり、飛び跳ねてまわったり。
大人のあなたがその本を楽しんでいるのを見て、子どもは、本を読むのっていいなって思う。
その内容にあなたが目を見張ったりするのを、子どもは見逃さない」
(だから、大人も驚いたり、本気で楽しめる本を選ぶのが大切。
また、面白さをわかる目、面白がる心を日頃から磨いておくこと)

「2.わざとまちがえる:ぼくがまちがえて読むと、娘が直してくれる。
たとえば、Go, Dog. Go!なら、Go, Monkey. Go!なんて読むと、『パパ、そこはDogでしょ』って」
(家族ではない観客とのリードアラウドで、この技を仕掛けるのには、まずは打ち解けること。
打ち解けた後にこの技を使う。
すると、あら不思議。
あきてきた子はハッとまた物語に戻るし、普通に聞いていた子は熱心に)

「3.好みを忘れる:子も大人も、自分の好みの本ばかり読まないようにすること。おとぎ話が多かったら、ノンフィクションとか、リアルな物語を読んでみるとか」
(書店のリードアラウドは一期一会を想定して、最大公約数的選書になる。
そこをカバーしたくて始めたのが、ブッククラブスクール
ここでの選書は、個人や最大公約数的好みに偏らないマクロな視野で選ぶことを目指している)

「4.何でも読む:Calvin and Hobbesのようなマンガも、娘は6歳の頃から読み出した。新聞のマンガや雑誌、ナショナルジオグラフィックも」
(文字数が多くても、グラフィックの力で読む気にさせてくれるから、絵本と読み物を繋ぐパイプとしておすすめ)

「5.バトンタッチする:ぼくがマンガを一緒に読む係りになってから、妻が物語係りになった」
(先生と読んだ絵本を、家庭では家族と読む。
だからリードアラウドした本を各自が家にもって帰れる環境は大切と考える)

「6.子どもにそれなりの敬意をはらう:子ども扱いした語りをする必要はない。
一人前の人として話す」
(大人が陥りやすい、よく見かける誤り。
あかちゃん言葉で話したりすることは子どもによっては、反発する。大人のように扱われて、反発する子はいない)

「7.ためになると言わない:本はブロッコリとは違う」
(ためになる、と言われたとたんに、子どもは反発したくなる。
わたしは、ブロッコリの味や歯触りが好きだから食べる。
結果として、健康のためになる。ただ、新鮮で美しく、栄養価の高いブロッコリを食べたい)