文鎮堂おすすめBOOKS:Little Bee

Little Bee
レクサイル推定930L

 英国人新進作家によるベストセラーで、Nicole Kidmanが熱望して映画化権を取得し、自ら主演しプロデュースする注目の作品だ。
 油田を巡る国際紛争下にあるナイジェリアから英国へ密航し、亡命を望むasylum-seekerの少女Little Beeと、英国女性誌編集者Sarah。ナイジェリアの海岸でのある忌まわしい記憶を共有するふたりの、2年後の再会の夏を、それぞれが一人称で語る物語である。
 不法入国者として少女は犯罪者のように勾留されたが、独学で見事にQueen’s Englishを身につけた。少女の語り口は平易で軽やかで、英語学習者にありがたいが、語る経験は深く重い。一方、Sarahは正義感溢れる都会的キャリア女性だが、夫との不和、不倫中という影を持ち、中指一本がなぜか欠けている。
 指はなぜ?ナイジェリアの海岸で何が?夫が縊死するが、なぜ? 勾留所から逃亡したLittle Beeに自由は?こうした謎や冒険的要素も楽しめるが、 ナイジェリア、英国の”globalization”についてなど、知的刺激が嬉しい。

英文
This is the moment. Even for a girl like me, then, there comes a day when she can stop surviving and living.
和訳
今だわ。わたしみたいな娘(こ)にも、生きながらえるのではなく、こうして普通に生きることができる日が来たのよ。

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