米国の書店児童書コーナーから

米国オレゴン州ポートランドにある、国内最大級書店Powell’s Booksに、今夏もまた通っている。
Powell’sは地元の書店で、今年41周年とのこと。
「地元」を大切にする土地柄、この書店も街に愛されて来た。

そんな書店、通い始めて、かれこれ20年になった。
あまり入れ替わりのない書店員も(わたしも)、ずいぶんと年取ったものだ。

街の1ブロック全部が敷地で、そこにずどんと、あまりファンシーではない四角のビルが一棟。
店内はジャンル別に色分けされていて、その一角、Rose roomがわたしの主な居場所だ。

長居をするなら、強い冷房に備えて上着とソックスが必要だ。
食事も一食済ませてくるといい。
中にあるカフェは、ペストリーとクッキーくらいしかない。

さて、Rose Roomである。
児童書部門だ。
近年、YA(ヤングアダルト)に加え、厳密に「子どもに有害でない」とされたマンガ、グラフィック・ノベルの棚が増えた(「子どもに有害」かも知れないマンガは、SFに近い別の部屋に入っている)。

Powell’sでとてもいいのは、

1. 店として「Pick」したもの、全ジャンルからシーズンごとに選ばれたものがおもしろい。
そして、それらは大量仕入れすることで、客には30%オフで売られる。
書店員が本好きばかりなので、彼らが実際に読んで決めたラインナップ。
ユニークなものが探せる。

2. 1とは別に、各セクション(部屋)のstaffが約10冊ほど選んだ「staff pick」がおもしろい。
特別の棚に置かれていて目につき、書店員の推薦の言葉が個性的で光っている。
感心する選書で、見逃していたいい本を、いつもこの棚で拾うことにしている。

3. 1,2よりも推薦の度合いが弱いが、各棚で面陳や平積みにした「いちおし」の選書と、その推薦の弁が、ごく個人的だったりで、おもしろい。

これら書店としての姿勢だったりシステム、書店員の位置づけなどは、「英語児童書ディレクター」として日本で英語児童書のさらなる普及を目指しているわが身には、非常に勉強になる。
そして、選書そのものは、リードアラウドの選書、キッズブックスのブッククラブ選書、翻訳出版候補探しなどに、力を貸してくれる。

さあ、今日はあかちゃん本(Board Book)の確認だ。

P.S.
本愛好家として、Powell’sが扱う古書に、随分と散財させられてきた……。

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