今回の課題書
この本は、普通に英語を日本で学んだ日本人が朗読しても、ニュアンスが掴みにくかったり、自分は分かっていても表現的に未消化または違ってしまったりしそうだ。
それなのに、本講座に連続的に参加しているみなさんは、自分なりに読んだしょっぱなでも、かなりの出来映え。
そのようなレベルの高い集団のなかで、仮称にしても「先生」とか呼ばれるものには、さらにみなさんを磨くというプレッシャーがかかる。
それでも、「ここをこうすれば」という部分が見えるから、「ダメだし」をしていると、ふと居心地の悪さも感じる。
指導法として子どもたちを肯定する「Yes, and」 をモットーに、と言っている張本人が、本講座の参加者にはなんだか、「No, but」と正反対のことを言っている…。
でもみなさんには、何しろ、観客を飽きさせずに英語で書かれた絵本を、面白いと思わせ、何かしらいい印象や役にたつことを持ち帰らせる役目がある。
英語、英語の絵本のよさのエッセンスを運ぶメッセンジャーだ。
わたしの「愛の鞭」、ダメだしを、大いに自分磨きに役立てて欲しい。
さてここでみなさんに、この第8回を踏まえての展望を。
・それなりに面白く見せられたベテランたちには…
名優と言われた平幹二朗さんが、フランスの演出家ジョルジュ・ラヴォータンさんにこうダメ出しされたという。参考に:
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「すでに頭の中にあるセリフをしゃべるのではなく、舞台の時間の流れと共に、刻々と生まれてくる生きた言葉との出合いを演じてほしい」
「叙情的でなく叙事的に。言葉をはっきり正確に語れ」
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「子どもだまし」程度に、言葉に表情がつけられるようになっているが、実は子どもはだまされてくれているフリだけ、のことがある。
フリの場合は、辛抱時間が切れ、遅かれ早かれ飽きられる。
生きた言葉を発しているなら、「次はどう出るかな」と観客が面白がる。
「古漬け」で、思い込みの叙情的なセリフは、子どもたちにはキモイ。
ぐでぐで酔っぱらいのようだったり、やりすぎると言葉が不鮮明になる。
気をつけたいところだ。
(「中堅」「2年生」「1年生」と展望、つづく)