「その3」ではベテランの今後の研鑽への展望を書いた。
ここでは、中堅~一年生までの展望を。
不思議と、リードアラウドの指導者向けワークショップをどれだけやってきたかの回数や年数で、今の段階が似る。
そこで、それぞれ「中堅」「2年生」「新人」とグループでまとめて展望を述べる。
中堅:参加3年前後を中堅と、仮に呼ぶが、Y.Y.さんとH.S.さん。
もう声で人を惹けるようになっている。
ひと安心。
Y.Y.さんは、立つときの癖で接近し過ぎたり、傾いていたりが気になる。
必然性のないクセとしての、これらには注意したい。
H.S.さんの表情にも、子どもにとっつきやすい大人の「お茶目」が見えてきた。
どちらも動きが大きくなり、スケール感が出来始め、絵本を面白くできそう。
Pigeonでは、笑わせてもらった。
朗読はこの調子で精進を続けよう。
指導法のパターンを、これからの一年は身体にしみ込ませたい。
楽しく教育的でもあるとっさの受答え、リードアラウド指導法の醍醐味を身に付けてもらう。
また、指導計画を作る演習を始めてもらおうと思う。
二年生(新米と中堅の間):
Y.K.さんとN.I.さん。
Y.K.さんの声が、通るときがある。下向き加減の頭の位置が上になって、気道が開いたときに声が響くようになった。
これを、「いつも」にしたい。
N.I.さんは、一足早く、身体が「筒」状態になって響くのを経験したようだ。安定して、通る声が出始めた。
声が通っているときの気持ちのよさを感じている様子。
声ばかりではなく、細やかな感情の機微のようなものが、文に乗るようになっている。
これから、声に変化をつけながら、感情も乗せるという段階へ。pitch、pace、キャラ。
恐る恐るだったものを、大胆に入れて練習してみよう。
朗読にもうすこし表情をつける、という冒険に、一歩踏み出すときか。
幸い、どちらも朗読に強いクセはないので、比較的早い時期に、朗読の上達の段階がぽんっと上がりそうだ。
一年生:Y.S.さん
声!
それでも、初回の喉と比べたらだいぶ強そうになったので、ワークショップ効果か。
声がどんどん強く、響くようになっていく一年生を見て、やはり、朗読や指導のプロの第一歩は声だ、との思いを強くする。
一種、異次元に聞こえる声で、聞く人、参加者を集中させなければ、何も始まらない。
Y.S.さんは、順調にプロの声に向っている。
感情が「乗り忘れ」している語が、まだぱらぱらある。
何も考えないで読んだ語は、何も伝えない。
逆に言えば、感情が乗ってずんと聞いている人に伝わる言葉も増えて来た。
動きが、類型的で平面的だったものが、面白くて奥行きがあるものになり始めた。
第9回の課題書『The Polar Express』は、全員にとって挑戦だ。
まずは、自然な呼吸、息継ぎが出来るように。コツは鼻からしっかり息を吸うこと。
そうすれば、このナレーションに必要な落ち着きやファンタジーの空気を醸しやすい。
もうひとつは、間を恐れないこと。
ひとりで読んでいて、何人もそれを聞いていると思うだけで、何だか気が急いてくるものだ。
どんどん間が詰まる傾向がでる。
そこを、自分の感覚の時計で、長く感じるほどの間を適当なところで空けること。
その間で、聞いている人の頭の中にファンタジーが生まれる。