英語えほん千夜一夜~第1夜

Growing Vegetable Soup
Lois Ehlert,
レクサイル指数 140L
目安のレベル:入門
Growing Vegetable Soup

 「 Dad says we are going to grow vegetable soup. (パパが、野菜スープを植えるって)」と、出し抜けに本書は始まる。この巻頭ページに、挿絵はない。文字通りout of the blue(出し抜けに)、真っ青なバックにこの一文だ。そして「スープを植える」とは?読者は、まんまと引き込まれることになる。
 近年、「Plant it, grow it, eat it 」などの標語とともに進められているアメリカの「食育」。本書は、それをテーマにしたノンフィクション絵本である。同時に、多彩な色と胸がすく色の組み合せを使った大胆なコラージュを集めた、ほとんどアート本とも言えそうだ。
 Shovel(シャベル)は知っていても、rake(くまで)やhoe(くわ)、spading fork(またぐわ)など園芸用具、またladle(おたま)など料理用具名まで、なかなか英語でスラスラ出てこないもの。使われている語彙が、新鮮に写るかもしれない。主人公たち(パパと子ども)は手だけの登場で、本当の主人公は野菜だ。green bean(サヤインゲン)、pea(エンドウ)、corn、zucchini squash、pepper(ピーマン)、cabbage(キャベツ)、その他ニンジン、タマネギ、ジャガイモ、トマトなど。スーパーに並んでいる姿しか知らない子どもが増えつつある野菜だが、本書では種や球根、苗の状態から紹介される。そして例えば、「giving them water,」と短い句が書かれたページには、主人公の野菜たちが名札の下、土中に行儀よく並び、地上からじょうろの水を浴びる様が描かれている。ごく年少者でも意味は一目瞭然、英語でもまったく抵抗なく、絵と文意が直結するだろう。
 以下、各ページに短い文句と豊富な情報を持った絵で話は進む。種などは育ち、「and grow,」「and grow into plants.」、ついに「the vegetables are ready for us to pick」「or dig up」「and carry home.」。植物は野菜になり収穫される。家で料理され、待ちに待った野菜スープに。「At last it’s time to eat it all up.」「スープは植えて食べるんだ」という驚きが、ここにある。大人の読者にはきっと、初めて育てた野菜の、甘い味わいが蘇ってくる。エピローグは、「It was the best soup ever…」。

音読のヒント
1.話者は子どもと思われるので、それらしい素直な読み方で。
2.「and grow, and grow into plants.」などには、期待と驚きを込める。
3.「wash them and cut them and put them」などリズミカルに、わくわくした気分で。

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