この夏の1冊:冒険本なら

ジョン万次郎、鎖国の日本から始めてアメリカ本土に足を踏み入れた日本人。
その冒険を描いたHistorical Fiction
Heart of Samurai
がおもしろかった。

原書は、英語圏の小学生4、5年生以上からが読者対象だから、日本人の大人がさほど肩が凝らずに読めるかもしれない。

子どもだったら、翻訳版で『ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂』(集英社)を。

まだ14歳そこそこだった万次郎は一家の稼ぎ手で、漁船に乗って漁の手伝いをしている。
あるとき漁に出るが嵐に会って遭難し、無人島鳥島に他の3人の漁師と流れ着く。
そこで数ヶ月アホウドリなどで食いつないでいたが、アメリカからの捕鯨船に助けられる。

他の3人は、オアフ島で下ろされるが、
好奇心が強く、頭の回転が速い万次郎はアメリカ人船長に気に入られ、自分の希望もあって、その捕鯨船にそのまま乗って捕鯨をすることに。

無人島での生活は『ロビンソン・クルーソー』のよう、捕鯨船での捕鯨の場面は今にも水しぶき、血しぶきもかかりそうな、まるで『白鯨』のような迫力。
どきどき、わくわくする冒険小説である。

そして、主人公が英語やアメリカの文化を学んでいく過程は、他人事に思えない。
江戸時代の日本と同時代のアメリカを知るのも面白い。

こんな本で夏の一日、読書三昧もいい。

ところでわたしも、やはり6年生頃に井伏鱒二の『ジョン萬次郎漂流記』を読んで夢中になって、「萬次郎みたいな人生もいいな」と思った記憶がある。

ちなみに万次郎は、もちろん実在の人で、1827年土佐(高知県)生まれ、1898年(明治31年)まで生きた。

救われた捕鯨船の船長に気に入られ、養子となり、アメリカのマサチューセッツで、小学校、そして航海術専門学校に学んだ。
それから捕鯨船に乗ったり、ゴールドラッシュのカリフォルニアで金を取ったり、お金をためて日本に帰った。

それから、投獄されたり苦労もあったが、英語力や西洋の知識、学問が珍重され、武士に取り立てられた。

岩崎弥太郎に英語も教えたらしい。
勝海舟らと遺米使節団として、咸臨丸(かんりんまる)でアメリカに再び渡りもした。
坂本龍馬も、その知識の薫陶を受けたという。

波瀾万丈の時代を、好奇心があり頭の回転もよく、頑丈な体と強運の人間が生きた人生。

子どもも、まだ知らない大人にも、きっと面白い!
パパでもママでも原書で読んで、子は翻訳で読んで、感想を言い合ったり、内容や語彙を確認し合うのもいいなあ。