「結構むずかしい英会話」

 英語と日本語が半々で音楽の傾向が趣味に合っているFM局の放送を、ときどき聴く。
先日、おかしすぎて聞き流せなくなったCMに出会った。
カード会社による国際カードのCMだが、「結構むずかしい英会話」という、もうタイトルで惹かれる小話シリーズだ。

それは、英会話練習テープのパロディーで、第1話はこう始まる。

男性「このかるくソテーしたたまねぎとブラウンマッシュルームを添えたロングアイランド風ステーキはいくらですか?」(一息で読む)

もうここで、「はあ?」だ。
なのに、まるでそんな生徒(または視聴者)の戸惑いは関係なく、教材によくある模範解答の声で
女性「How much is the Long Island steak with sauteed onions and brown mushrooms on the side?: 20 dollars」

「こんな英会話教材、ないよ!」 という、結構むずかしい英会話が続く。
黙読だけでは、おかしさはなかなか伝わらない。
英会話練習はもう必要ないリードアラウド研究会のみなさん(本ブログ読者)、ひとつ表現練習にこんな台本音読をいかが?
おかしさが出せるだろうか。

第2話「クーポン編」も傑作。

小学生の『Dog & Bear』にブラボー!

先日の『Dog and Bear: Two’s Company』、目を見張る素晴らしい読みでした。
昨年もリードアラウドの授業を受けた生徒と、今年初めてリードアラウドを体験した生徒が混じった3、4年生混成の20人のクラスでのことです。

生徒たちにぽんと絵本を渡し、まず、わたしのデモンストレーションを見せました。
次に、あらすじや、イヌとクマの性格について10分ほどディスカッション。
それから、イヌとクマに分かれて、全体で読み合いました。
この時点で、すでに反応のいい声は聞こえていたのですが……。

踏み込んだ表現や修正点の指導のあと、ペアになって自由練習を5分。
自由練習では、読み方を尋ねる生徒に対応しました。
授業開始から40分が経過し、残り時間は20分となりました。

あらかじめ、教室前方を広めに開けておきました。
そして「ここで演じたい人!」と募ったところ……。
おずおずですが、何組かの手が挙がりました。

さっと挙げたのが3組ほど。
それに、心を読んで(?)わたしが指名した1組(3年生に4年生の「黒子」をつけた)を合わせた4組が演じました。

さて、その出来は……。
ブラボー!

驚いたのは、それぞれの組で、イヌとクマのニュアンスが違ったこと。
同じ話でも組が変わるたびに違った面白さがあって、観客として本気で笑わされました。
そして、実は心の中でガ〜ンとした瞬間が何度かありました。

というのは、以前、この本を英語指導者とリードアラウドしたときの苦労がよぎったのです。
わたしを含め大人が苦労していた表現を、この小学生たちは軽々とやってしまった……。

よく演劇の世界で「子役に食われる」ということを言いますが、こういうことなんでしょう。

ああ、ビデオに撮っておきたかった。
そしたら、悩める英語指導者たちのいいお手本になったでしょう。
Dog and Bear: Two's Company
『Dog and Bear: Two’s Company』

They Listened!

「英語絵本を使って英語を総合的に学ぶ」、これまでどこかが、やっていそうでやっていない学び方のスクールを始めて、約半年たった。

この土曜日は、ちょっと教える側としては「冒険」をしてみた。
いつもは、本をすぐに一緒に読み出すが、この日は……レイコ先生が「読み聞かせ」をしたのである。
「普通の日本の子には、チンプンカンプンで意味のない行為」みたいに、わたし自身が発言することもある、あの「読み聞かせ」だ。
本は、A Dark Dark Tale。A Dark, Dark Tale (Picture Puffins)
『A Dark, Dark Tale (Picture Puffins)』

そして結果は……、they listened!

でも、みなさん、please, listen!
このためには、揃えなければいけない以下のような条件があるのである。
1. 演出
2. 読み手の表現力!
3. 本のよさ、適合!!
4. 聴く集団の英語力!!!

なんとも感動的なのは、聴いてなんとなく雰囲気を捉えることが出来る力が、半年で子どもについた(らしき)こと。
ちゃんと、本を見つめたまま、最後まで聴いていた様子は、わたしが見てきたインターナショナル校の図書館でのstory hourと何の違いもない。
理解の差はあっても、だれもチンプンカンプンの顔はしていなかった。

この日のスクールの締めくくりに、今度はみんなで同書を読んだ。
心細くなるところをところどころ残しながらも、それぞれの声がはっき聞こえたことも、教える側へのご褒美だった!

みなさん、どうもありがとう。

表現を追求するとは

プロの声優や俳優のコーチ、中西先生を招いて指導を受けている、わが指導者向けワークショップ
いよいよ、2010年度の最後の2回。
課題書は『おじいさんの旅』とその原書 Grandfather’s Journeyになる。

「Repeat after me」と英語の先生として生徒を指導する人なら、ふと思うことがあるだろう。
「わたし(me)は、みんながマネすべきほど上手に読んでいるか」

英語そのものを正確に、引っかからずに読むのはスタート点にすぎない。
その本の内容を伝える表現まで考えた読みになっているだろうか。

ズキッと胸に「差し込み」がきたのが、3年前。
英語を「ペラペラ」薄っぺらに読むことで、「目眩ませ」しているんじゃないか?
気がついたら広がっていた、こんな疑問の黒い雲に、心をすっかり覆われてしまった。

そこで、中西先生の門をたたき……、表現者への長い階段を一歩一歩上がり始めた。
まだまだ頂は遠いが、下にもこれまで上がってきたステップが見えるようになった。
そこで、少しだけ後進のみなさんに、特に11月のWS参加者に参考になる練習法をちょっと……。

今日から毎日1回、課題書の原作と翻訳それぞれを読む。
このとき、まだ表現を深く考えないでよい。
絵をただよく見ながら、文字を読む。

これだけ。
だまされたと思って、どうぞやってみて。

中西先生は、伸びそうな兆しを生徒に見た場合、歯に衣を着せない指摘をする。
それをされた人のなかには、傷ついてか不快に思ってか、レッスンから遠ざかる人がいる。
「一番いけないやめかたですね」
そう中西先生から聞いて、なるほどと思う。

問題点を解決しないまま、せっかくの成長が止まってしまう。
指摘は、自意識にもかかわるせいか、ずきっとくる場合があるのは確かだ。
だが、それを避けると上がない。
避ければ、そこまでの人になる。
乗り越えて、やっと上の階段に足を置ける。

多分、若ければ若いほど、「ずきっ」が深い。
幸いそう若くなければ(!)、入ったトンネルはそんなに暗く、怖いところではない。

さあさあ、まずは厳しい指摘を受けられるまで、練習を!

中学1年生のとき……

秋になり、再び、おおぜい(!)の中1男子と英語絵本リードアラウドをする機会に恵まれた。

一概に「中1」といっても、自分が中1のときを思い出すと、「なんたって中1」という限界はあるが、それでも幼稚からおマセまで随分と級友の精神年齢に幅があった。
多分「おマセ」に属していた自分を思い起こすと、英語を中1で始め、その初めての科目から学ばなければならないことが果てしなく多いようで、「黒い不安」を抱えていた。

「単語」という英語の最小単位のそれぞれに固有の読み方があること、それはアルファベットを知っていても読めないことが、やっと分かりだし、読めるようにならなければならない「単語」は、いったいこの世にいくつあるのか、それを考えるだけで奈落の底に落ちてしまいそうな日もあった。

そして、「アップル」だと思っていたappleの読みを、「アッポー」みたいに読む同級生(付属の小学校から上がってきた人たち)がひとりならずいて、わたしは「発音」に対しどう追いついていけるのか分からず、家で「何で小学校のときに英語を習わせてくれなかったのか」と泣いた。

今、中1ではなくなったわたしが、中1のみんなの前で、英語を「ペラペラ」読んでいる。
時代が変わったことや、この中学校の恵まれた環境などもあって、わたしが中1だったときのような英語への「黒い不安」を抱えていそうな顔は、目立たない。
軽々と、不安など飛び越している感じもする。
だが、そんな彼らでも、ちらっと心配げな顔を垣間見せることがある。

先日、授業が終わってから、そんな、ちょっとくもり顔のひとりが近寄ってきた。
毎回1回こっきりの授業なので、なかなか質問があっても近寄ってきてくれないものなのに、嬉しい。
そして彼の質問は……
「どうしたら、発音がよくなりますか」。

古典的だった。
まだいるんだ。
あ〜、聞いてくれてありがとう。
ちょっとは、わたしが役にたつかも。

「音を出す時の口から作る。(あご、口、舌、のどなどで)構造的にその音を作って発音するんだよ。鏡で口を見ながら」
と、なにやら熱が入ってしまった……。