リードアラウド「4つの約束」:その1「なぞる」

 春になると日本の本屋さんでは、語学書がよく売れる。テレビ、ラジオの語学講座のテキストも平積みになっている。毎年一回、日本人はこの季節「今年こそ」と思う。

 わたしにも、リードアラウド・ワークショップのよさを説明する機会がこの時期にやってくる。そこで、その説明を少しずつでも、ブログに書き記して行こうと思う。以前に書いていることももちろんあるが、その考えも少しずつアップデイトしている。最新のもののほうが、より明解で強く説得力が増している、はず……。

 子ども対象のワークショップで、わたしが必ずする「4つの約束」がある。それについてから始めたい。その約束とは、次のとおり。

1.「読んでいる文字を指でなぞる」 2.「読めないところは、ムニャムニャ(なんとなくまねる)OK」 3.「感情を込めて読む(登場人物になりきって読む)」4.「家に帰ったら誰かに(24時間以内に)読んであげる」 

さて、その1。「読んでいる文字を指でなぞる」について。 
 「リードアラウド」はリテラシー(literacy=読み書き能力)教育でいうバランスのとれたリテラシー(balanced literacy)を目指している。それは、「聴ける、発音できる、書ける、意味が分かる、使える」などリテラシーの要素がバランスよく学ばせようという方法で、リードアラウドはその入り口に位置する。文字の読みと、文字そのものを結びつきやすくするため、脳に濃い印象を刻むために、視覚だけでなく触覚も使い、なぞる。「使用する感覚器官が多いほど、印象は強くなるという研究結果にも合致する」と書くアメリカの教育書もある。
 英語で書かれた言葉は、英語初心者には記号と同じ。「なぞる」は、その「記号」に読み方を結びつけるためである。読めるようになった後には、書く力、スペリングの力へと結びつく。 
 
 文字のより多い児童文学を読める頃には、「なぞり」はmustではないが、学習として読む場合に、わたしは経験上勧めている。CDなどに録音されたものを流しながら、読まれているところをなぞる。さすが、文字が細かくなって指が邪魔になることもあるが、そのときはペンや、しおりなどで、読んでいる行に目を集中させるといい。朗読に合わせネーティブのスピードについていきつつ、読み方があやふやだった単語がより深く記憶に残る。脳の不思議さだ。

 ところで、リードアラウドの高い教育効果を得るためには、ある条件がある。
ひとりひとりに本があること。これは、(後に述べるが)繰り返し読むことも必要条件とするリードアラウドの性格上、テキストとする本は手元に占有できるようにしたい。     
 妥協案としては、ワークショップ時間内ならBig Bookという、その名の通りの大判の本を指導者が用意するということもできる。だが、Big Bookの種類はごく限られているし、移動に不便。そして、それだけではワークショップ後に、子どもたちひとりひとりが繰り返し読むことができないところが、致命傷だ。
 「本屋のまわし者」の言い分のようだが、本を所有することで、子どもたちに教えられることは飛躍的に増える。図書館を利用してその出会い数を増やしつつ、手元に置いてずっと愛せる本(候補も)を1冊でも多く持たせるのは、大人の役目のひとつだと信じる。