リードアラウドする声をよくしたい

 リードアラウドをするものとして、朗読力(演ずるように読む力)と平行して身につけたいのが、「よい声」。

 声楽家でありヴォイスコーチの中西先生との、先日の指導者向けワークショップの時間にも、参加者たちの「喉から手が出る」ほどの、この「よい声」に対するあこがれを感じた。わたし自身にもあるので、よ〜くわかる。

 そこで、ヴォイスの修行者の先輩として、わたしなりに中西先生から学びつつあるヒント、修行しながら気付いたところなどを、同志と共有したいと思う。

 まずは、練習の仕方。
●リードアラウドの「声をよくする」のは、ピアノの練習のつもりで。
伝統的な方法は、名曲とつまらない指の練習曲を平行して教える。つまらない練習を経ないと、美しい曲にたどりつかないという主義での方法だったから、ピアノを離れを招いた。でも今、美しい曲、それがポピュラー曲であっても、弾いて美しいと思える曲をどんどん弾かせるという方法があるようだ。楽しくどんどん弾いているうちに、指も滑らかにそこそこ動くようになる。この、今風の練習法でリードアラウドの「よい声作り」をやろう。

リードアラウドで、曲にあたるのが絵本。指の練習曲にあたるのが発声練習や滑舌練習(「外郎売り」読みなど)。みなさんは、まずは絵本そのものを使ってどんどん練習すればいい。心掛けるのは「ちゃんと読む」こと。姿勢や視線(要所要所で本から目を離し聴かせる対象を見る)をチェックしながら声を出す。声帯を毎日、朗読に慣れさせる。

わたしたちは普段、案外「ちゃんと」声を出していない。聴かせる対象を意識して、最低1日1冊絵本を声に出して読むことを続けてみよう。そして余裕や欲がもっとあるならば、「外郎売り」(ネット検索でも見つけられます)を読む。

 絵本を「1日1回ちゃんと読む」のは、ヴォイスコーチの折り紙付きの、リードアラウド指導者向けヴォイストレーニング。

 わたし自身の経験でいうと、リードアラウド・ワークショップのあとに喉に疲れが残らないとか、意識せず無理なく大声になるとか(これは、時にひんしゅくをかうが)、高い声から低い声まで「選び放題」の感じを、ヴォイストレーニングを始めて半年すぎた頃からじわじわ感じ始めた。今のところ練習量は、やはり平均1日1回。さあ!Shall we?

Where the Wild Things Are
『Where the Wild Things Are』

Where the Wild Things Are CD
『Where the Wild Things Are CD』

第3回指導者向けWS報告:その3『Where the Wild Things Are』

この日のワークショップの中心は、この本だった。実に、やりがいのある本だ。なぜなら、
1.深い→やってもやっても飽きない→学ぶところがたくさんある
2.楽しい→ひとを楽しませられる
3.不朽の名作で、人気は衰えないだろうから、ずっとレパートリーにできる
などなど。

4場面に区切り、それぞれの場面ごとに、9人の参加者(ひとり欠席)ひとりひとりに演じてもらった。ひとり終わるごとに、わたしが気付いたポイントをあげ、次の演技者はそのポイントに注意して演じる。よって後半の演技者においては、ハードルが高くなる。ちょっとしたゲームのようで、わたしもどきどきした。だが、みなさんがわたしが指摘したポイントを、つぎつぎ見事にクリアしていくのにはびっくり。

もちろん、8、9人目に演技するときは理論上はそのグループの「最高の演技」になるはずだが、そこはまだまだ修行の身。先に挙げたポイントをクリアし忘れなどがあるのは当然のこと。それでも、この日のこのセッションで、努力できる点がかなり具体的にわかったのではないだろうか。それも、自分のそのときの実際の演技での指摘なので、「身に覚え」があるわけだ。効き目がよけいあったように思った。

9掛ける4場面、36ポイント挙げたわけになるが、その中から共通すること、印象的なことなどを記しておこうと思う。

●言葉ひとつひとつの意味を考えて、その意味を込めて読む。
「スラスラ読み」「教師読み」「アナウンサー読み」「他人ごと読み」など、アドリブなのでいろいろな言い方で指摘したが、どれもつまり、言葉が上滑りということ。文字を追って上手に読んでいるだけ。黙読や速読しているときの頭の中での「読み方」を、ただ口にしている感じ。これは、伝える対象がいるときの表現には合わないだろう。
lonely なら、lonelyがどういうものか伝わるように。without eating anythingは、どんな気持ちがする?など、書かれている言葉を、これらのように、ひとつもらさず表現するつもりで言えるようにしたい。

わたし自身が練習している方法は、自分で「言い方がわからない、下手」と思う句や節、文、ときには単語を、本から離れている時も、ぶつぶつ言う。すると、いろんなパターンが湧いてきて、しばらくして本に戻った時に、その平坦だった部分がとても立体的になる(時々「危ないおばさん」として、道で振り返られることもある)。

みなさんがこの日、ほぼ100%上手だったのが、where the wild things areの部分。これは、みなさんが本を離れても、何度も何度も頭をよぎった節なのに違いない。そして、他のどの部分よりも数多く口にした節に違いない。だからとても自然に、それなのに立体的(意味が感じられるよう)に、おまけに個性的に読めていた。

「読み込む」というのは、ここまで他の部分も練習すること……、演じることの大変さを思い知る。

(またまた、つづく)

第3回指導者向けWS報告:その2

 中西先生は『あおくんときいろちゃん』を5分だけ!……続きは次回にということに。わたしはやるゾ、Little Blue and Little Yellowを30分はやる!と意気込んで始めたが、7分ほどで時間切れ。それでもポイントの説明、ほんの少々のデモンストレーションはできた。
(欠席のEさん、大島またはキッズブックスまでメールを下されば、配布したポイントを挙げた資料を送ります)。

 このLittle Blue and Little Yellowは、作者が、NYからの中距離電車の中であきてしまった孫二人に、雑誌をちぎったりしながら話して聞かせたものがオリジナル。だから、口調など分からなくなったら、「ちょっとシャレたデザイナーのおじいちゃんが、じっとしていない孫の気を一生懸命引こうと、絵を描きながら、紙をちぎりながら、話しかける」という状況を想像するといい。

「ほらっ!ごらん。こ〜んなになっちゃったよ。たいへんだあ〜」など、孫のウケを狙いながら話しているわけなので、間や盛り上げ方に創意工夫を。

Little Blueという子と、Little Yellowという子、ふたりの気持ちに寄り添いたい。LBはLYが、本当に大好き、という声を出そう。「あ、きいろちゃんッ!」涙が浮かぶほど、うれしくて、うれしくて、の気持ちだ。何かを捜して捜してやっとみつけられたときの気持ちを思い出して。

場面が変わるのを意識しよう。空間移動の時間や、ある動作をするのにかかる時間など、観客がいる(孫二人がいる)のを想像して「適当」を捜す。各所で盛り上げようとする、おじいちゃん(語り部)の必死の努力を再現する。

LBのパパ、ママ、LYのパパ、ママは、それぞれ自分が知っている誰かにあてはめて、その人たちの言い方を具体的に想像して言ってみよう。

つづき、その3は、いよいよじっくりやったWhere the Wild Things Areについて。

第3回指導者向けWS報告:その1

 忙しい方々のワークショップなのに、これまで出席率はほぼ90%!「1回休むと浦島太郎です」と、前回休んだMさんのコメントもあった。1ヶ月おきのこのWSのスケジュールでは、確かに1回休んでいるうちに季節は変わってしまう。将来の開催の仕方は考えたい。

 この日、中西先生の時間は『かいじゅうたちのいるところ』を練習して来たみなさんの感想や疑問に答える形で進められた(『あおくんときいろちゃん』は、次のお楽しみに)。そうやって感想や疑問を分かち合うことで、題材に対するinformationがさらに各人に積み重なる。こういう時間は、ワークショップならではの貴重な時間だろう。いくつか挙がったの感想と疑問と、中西先生のそれらへの考えは、次のとおり。

●声の演じ分けの難しさなど
いっぺんに3人4人は難しければ、声の高低だけの違いで2種類でやってみるといい。途中で同じ役なのに声が変わってしまう、というのなら、その役の部分だけ通しで練習してみる。

●声をよくするには
声楽家は10年から15年かけて声を作って行く。でも、絵本を読むという目的のためには、毎日「ちゃんとした声」で、必ず1回は本を読むことで、いい声は出来て行くはず。「ちゃんとした声」とは、姿勢と呼吸を意識した声。

●目の大切さなど
対象に向って目を向けないと、伝わらない。(宿題:のべ3人の人に、この本を聴かせること。) 間や、リズムは、対象があってのものだが、実際に目の前に対象がいなくともそれらが盛り込めるように練習を積む。

そのほかのアドバイスは……
●発言することの大切さ
学んでいる本に対する思いは、3度、頭に働きかけるといい。つまり、「心で思う」「それを発言する」「発言を声として聴く」。そうすることで、その思いが意識に強く働き、演技向上に役立つ。ワークショップならではのチャンス。

●気付きの大切さ
自分の変化に気付く。少しでも変わって来たところ、よくなったり、まだまだだったりするところなど、何でも気付いてあげる。

●練習はいつも全部しようと思わない
うまく出来るところを、もっとうまくする練習もいいし、出来ないところを少しでもよくしようとする練習もいい。でも、いつもでも全部するという練習はしない。

●難しいと思わない
「あ」という声を、ランダムに視線を投げかけた相手に送る、という言葉のキャッチボールのようなワークをしたが、表現とはこんなことのように簡単でもある。難しいと思いすぎないように。でも、目(視線)と言葉は切っても切れない。目の大切さの再確認。

以上、記憶に頼って書いてみた。大島の受け持ったワークショップの報告は、第2報で。

第3回目指導者向けリードアラウド・ワークショップ

 いよいよ明日、5月16日は3回目の指導者向けワークショップ。この2ヶ月の植物たちの成長にはかなわなくとも、何か自分の読み方に変化がみえて来ただろうか。
 
 わたしの2ヶ月は、関わっている小学校の新年度が始まったり、英語の多聴と多読を応援する雑誌に寄稿したり、リードアラウドの意味、英語教育での有効性などを確認する日々だった。

 明日は、参加者みなさんのパフォーマンスを見るのが本当に楽しみ。それぞれがきっとぶつかる(ぶつかっている?)壁を、わたしがこれまでにぶつかってきたものを参考に、わたしより早く、または楽に乗り越えられるようなアドバイスが出来たら嬉しい。中西先生のご指導も、とても啓発を受けるものでいつも新鮮。わたしも心待ちにしている。

 参加者のみなさん。当日の緊急連絡は、oshimaあてのメールで。ペイパーウェイトブックスのメールアドレスの前半をoshimaにしたものが、アドレスです。
 
 公立小学校で、生徒を前にして英語絵本リードアラウドの腕を磨きたい、と「練習の場」を求めている方がいたら、声をかけて下さい。場数をこなすのも上達の道なので、その場がない方には相談にのります(「練習の場」としてなので、ボランティアです)。