英語絵本のリードアラウドを、絵本を読んだり読ませたり、英語と本を楽しませるパフォーマンスと考えると指導者には、なんでもいいのだが幅広く生の芸、ライブ会場に足を運ぶことがいい刺激になる。
「ビデオを見ればいい」「臨場感を伝えるレビューを読めばことたりる」「本で学べる」という人もいるが、リアルだけが伝えられるものが絶対にあると思う。
リードアラウドの指導者向け講座も、オンラインのレッスンがある。同時に対面しているライブはライブだがネット上であって、生身ではない。
やはりリアル講座にはオンラインでは得られない学びがありました
。
という感想を、わざわざ遠方から「生」に足を運んでくれた受講生からいただきもする。
頻繁でなくても、たまに、特に行き詰まっているときなど、「生」がいい刺激になる。
そんな、リードアラウド指導者にオススメのライブ。
どこがどういいのか、といえば…
まず、その演者の息遣い、熱量、その周辺の空気を感じられることがある。
ちょっとした戸惑い(のようなもの)や、安堵やときに不安などが目に現れる。言葉の端にあらわれることも。それが、どういうところでだったか。どうしたかったのだろうか。自分の思考が始まったりする。
それから、会場に放出される熱量を感じること。いったいどのくらいなのか。ライブなら、肌に、耳に、目に伝わってくる。
声の強さ、息継ぎ、演者の汗も。
また、姿勢、動きなど、自分の目のカメラで見るから等身大だ。
ライブがいい(上手い)と言われる演者のものを経験することは、特に刺激的だ。
舞台に立つと、彼らは最初になにをするのか。
「元気かい?」
「ロックするき満々かい?」
「今を楽しんでいる?」
問いかけ、返事をさせる。観客に、参加させるのだ。
観客が消極的なら、もう何度か、返事の声が大きくなるまで声をかける。
どこまで「しつっこく」するのか。
うまい人は、そのぎりぎりの読みがうまい。
また、こういう呼びかけは冒頭だけでなく、途中、ちょうどいい楽曲を挟んで、何度か繰り返される。
運びにメリハリをつけるのがうまい。
元気に盛り上げたら、しんみりバラードを挟む。
アップテンポからスローへ、そしてまたアップテンポへ。
観客が長いと感じそうになる頃には、会場に「イエイ、イエイ、エー」や、サビの部分など簡単なフレーズをふって、歌に参加させもう一度、一体感を作る。
会場の四方全部を巻き込む努力をしているのにも、感心する。
客席後方にいる観客が静かだと感じると、
「そっちのほう、ノッてるかい?」
「両手をふって答えてよ、ノッてるかい?」
声が届かない観客にも、手を挙げさせたり降らせたり、できることで参加させる。(そういえば、ハーバード大学の倫理学人気教授の5000人規模の公開授業のときにも似ている)
演者自身も体で多くのサインを出す。
リフレーンのところ、ファンキーな音にみんなの体が揺れていると感じたら、高々と指を1本上げて、繰り返しを示す。
方々を指で指す。拳骨にする。広げる。手、指の先まで観客に向けて働かせる。
体を左右だけでなく、上下させる。
しゃがむ。寝転ぶ。右に寄る。左に寄る。
両腕も泳ぐように動く。
こうして、見えにくい席の観客にも、よく見える瞬間がときどき訪れる。
観客は、まるで赤ちゃんだ。
あやされて、退屈ということがなくなる。
衣装も、わかりやすい。簡単に言えば、遠くからもわかりやすく、派手だ。
たとえば、先日見たキーボード奏者。
60代には見える「年配」だったが、白髪に映える素敵な貴公子のような帽子と紫のジャケット。
中年にさしかかっている男性リードシンガーは、肌を見せる黒のひらひらブラウス。
ジャズのライブでは、サックス奏者のバンドマスターは金色のスニーカーがcoolだった。
ショービジネスだから、という理由もあるが、先生でも品格を保ちつつも、それなりに「花」が必要と思う。
それは決して過剰なる自意識からくるものではなく、観客(生徒)をより集中させ、先生の元気さ、エネルギーを象徴的に示すことである。
同時に、ちょっとは観客の目を楽しませようというサービス精神か。
さあ、屋内派のみなさん。
この夏、またはいつでも、ライブに行ってみよう。