年少の子どもとの英語で、ゲーム式に学ばせる場面がある。
その時の「勝敗」結果が、時に子どもの心に突き刺さる。
もともと勝ち負けにこだわらない子どももいる。
「優しい子」とも取れるが、時に、「勝ちたい」という気がなさすぎて物足りなく感じたりもする。
かと思えば、「勝負師」のように勝つことに熱くなる子どももいる。
うまく制御すれば、学習にも大きくプラス作用をもたらすが、難点は負けた時。
幼いと、負けをソフトランディングできずに、
まるで奈落の淵に落ちたように感じる子どももいる。
競争心の制御は、年少者を教える指導者の悩みの一つではないだろうか。
競争がつきもののゲームを、どう幼い心を傷つけずにさせようか。
そんな時、
ゲームを「作業」にすると、うまくいくことがある。
「バラバラになったカードを、一緒に片付ける」こととし、
片付け方にルールを仕組む。
この「手」はしかし、言い出すタイミングが重要。
先日はわたしがそれを逃し、
「圧勝」中の一人が、勝敗が決まる前にせっかくの勝負ゲームを「作業」に切り替えられて、
大きく機嫌を損ねてしまった。
「こんなのつまらない!」
と熱くなり、教室を出てしまった。
どう説得したものか。
どうにか教室に戻すことができた、この日の手の内を書いておく。
まず、
学習は作業のようなものだ、
と子どもに説く。
その作業を、
一人でするときもあるし、数人ですることもある。
例えば二人でする場合。
ここで、
「二人だと半分の仕事で済むから、効率いい」と、
学齢が上なら説明するが、まだ論理というか、算数もわかっていない。
怒りで興奮している子どもを鎮める目的もあって、
ここで「算数」だ。
「アルファベットって全部でいくつあったっけ」
と、問いかける。
問うこと、それだけでも、ちょっと子どもの気がそれる。
数え始めたわたしを見て、
怒りは収まっていないながらもその子は、つい指折り数え始めた。
この指折り、という体を使う関係ない作業も、体の張りや心を鎮める効果を発揮するものだ。
それから、さらに具体的な作業をさせる。
ここでは質問、それをどんどん出す。
「そう、アルファベットは26こ、カード26枚。一人で拾うと、何回拾わなければいけませんか」
「26回」
…子どもが答え始めたら、あとは大人は根気よく繰り返しの「作業」をさせる。
「これを二人でやるとどうなるかな。二人で1回拾うと何枚片付く?」
「2枚」
「もう一回では?」
「4枚」
…. 10、12枚
気長に2枚ずつ数えさせて、
「あっ、13回で26枚全部、拾い終わった!」
「一人だったら26回…」
作業は一人でやるより、
仲間がいる方が早く終わると悟ると同時に、
先ほどの「ゲーム」とは関係のない、単純な数を数える作業に気を向けさせたので、
子どもの気持ちが静まった。
それから、ママに抱っこされ無事にクラスに戻り、
あとは何事もなかったような、明るい声が。
子どもの「tantrum」、
程度の違いはあれ、誰にもある。
だからそのことを子どもに考えさせる絵本まである。
これについてだいぶ前だが、
考えさせてくれたのがこの絵本。
『 When Sophie Gets Angry-Really, Really Angry 』
All I need to know I learned from books…