オンラインレッスンをしている高校生。
小学生時代はリードアラウドをしていて、今は近畿地方へ引っ越した生徒だ。
ただいま、スピーチコンテストで校内、市内と勝ち抜いて次は県大会のコンテスト出場決定と、快進撃中。
リードアラウドをしていたおかげ?
ーだろうか、口語部分のスピーチが抜群にうまい。
キャラの特徴が的確に表現されている。
今後の磨きどころとして、指摘したのは「感情」。
何度も練習しているうちに、気持ちが自分を離れてちょっと空々しく、よく「お上手」と素人さんに言われる朗読になってしまった部分の軌道修正だ。
こうくるか。
彼の朗読までこうなるとは、とても興味深い進展だった。
素直で無垢な、ちょっとつるんとした、自意識過剰には遠い若者なのに、
自然と「朗々とした自分の朗読」に酔うというか、
そんな気持ちを漂わせてしまう。
こうした朗読とか台詞は、「大人のいやらしさ」とか、「きもーい」、「サブイボが立つ」とか言われるもの。
昔、私が自分の朗読に酔った感じになった時、先生に指摘され、一生忘れないくらい恥じ入った種類のものだ。
今、その全貌がわかったような気がする。
「いやらしさ」とは考えず、朗読が上手くなる段階なのだ。
女優やアイドルの「朗読」「ナレーション」などは、この段階で止まっている。
これでよしとされてしまう環境があるので、惑わされる。
でも、よしとしないのが、リードアラウドだ。
慣れから、その読みが機械的に、いっしゅ脳の「自動運転」になる。
その「自動運転モード」を、もう一度、マニュアルに戻し、生の心の動きを思い出す。
そのための方法論がリードアラウドにはあるのである。
秘策を彼に伝授した。
さあて、次のレッスンまでにどうなっているかな。