子どもは優れた「出題者」:「Yes, and」で答える〜キッズブックス英語スクール

指導者(先生)には柔軟性が求められる。
子ども(生徒)を受け入れる力だ。
その具体的な力として、最近とみに思うのは、「Yes, and」の精神の重要性と実用性。

スクールでリードアラウドを継続してやっていくと、一期一会のイベントでは現れない、子どもならではの難しさが出てくる。
慣れからくる親しみの表現の一つだろうが、無理難題を投げかけてくるのだ。

「いやだ、この本読まない」
「Ned(『Fortunately』の主人公)嫌い!」
「答えもう全部知っている」などなど……。

しかしこれ、
『絵本リードアラウド認定講師講座』的にいうと、生徒から先生への発問なんだと気付いた。
生徒様様じゃないか。

指導者向けのワークショップで、発問する役を受講者の大人たちにふるが、なかなかすらっと質問は湧いてこない。
なのに、子ども(生徒)ときたら……。
無理難題、いやいやチャレンジングな問題を発してくれるじゃないか。
指導者にはありがたい、「Yes, and」の濃〜い演習の場である。

伝統的な先生と生徒の関係だと、発問するは先生で、生徒は答えるもの。
例えば、「Nedは嫌いだ(ったらどうする?)」と生徒が発言したら、
先生は迷わず「そんなこと言っちゃダメ(No)」と言うものだった。

リードアラウドの指導者はこれをしてはいけない。
代わりに、「Yes, and」するのだ。
生徒:「Nedは嫌いだ(ったらどうする?)」
先生:「そっか(Yes)。それじゃNedのどんなところが嫌か見ていこうか(ここで疑問を投げかけないのがand。嫌いを受け入れる)」
Nedが嫌だというこの生徒は、どういうところが嫌なのか、ほかの生徒と一緒に本をめくりながら見ていく。
これがandでつなぐ発展ある進め方のひとつ。

「もう全部、答えを知っている」という生徒もいるだろう。
こういう場合、無視する先生もいたと思う。
よくて「みんなでやるのを待ちなさい」か。
特に日本では、
ほかより目立つことを「でしゃばり」とか、
知識をひけらかすものを「目立ちたがり」とか、
否定的に捉える文化の傾向が強い。

そこを、「Yes, and」の精神でとらえてみる。
先生:「わあ、すごいね(Yes)。分かっちゃったの。じゃひとつずつ問題を出す人になってよ」
と、生徒を出題者にさせるのはどうだろう。
これなら、答えが分かっている生徒も飽きないし、ほかの生徒も学ぶ機会を失わずにすむ。

子どもの指導の場にいて、指導者の敵は、自身がこれまで受けてきた教育の習慣からくる思い込みだ。
「Yes, and」に反する習慣が、自分に染み付いているのではと、疑ってみよう。
例えば、自分の指導計画を邪魔するようなことを生徒がしたとき、反射的に不愉快になっていないか?
そういう生徒を、「困った子」だと思わなかったか?

ダメダメ。
こういう生徒はありがたい。
「Yes, and」の精神が活かせるじゃないか。
ただ従順に、質問もなく座って聞いている(ように見える)生徒ばかりでは、指導力が伸びない。
学びも型通りになってしまうかもしれない。

生徒の皆さん。
同意できないことがあったら、待ったをかけてOK。
その「待った」は、幼稚さゆえというものもある。
でもそれがだんだん発達して本質をつくものになっていくのを、楽しみに待っているよ。

先生たちも、逃げずに!
「Yes, and」でどこまでも受けていけるよう頑張る。

Fortunately

キッズブックス英語スクール 絵本リードアラウドコース(体験レッスン)

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