リードアラウドを子どもたちとするときに、4つ約束をする。
その1つとして、「読めないところは、ムニャムニャでいいからね」という。
これは、リラックスさせる目的の他に、リードアラウドが重きを置くreading fluency(表現豊かな読み方)の育成のためでもある。
「正確に」英語を言っているのに、英語圏の人々に通じないーーこんな経験は、これまで日本で英語を学んできた日本人なら一度ならずとも、経験があるのではないだろうか。
どうしてなんだろう?
たいていは、「発音が悪いから」と発音のせいにしてしまう。
だが実は、これは言語学で言うところの、prosody (韻律)が適当でないためではないかと思う。
歌で例えるなら、歌詞は正しいがメロディが違う。メロディがない。または調子はずれ…。
だから、同じ歌だと認識されない。
英語を歌だと思えば、通じない理由がなんだかわかる。
日本の学校では、「歌詞」である単語ひとつひとつを正確に読むことが、最初に求められ、「メロディ」は置き去りにされることすらある。
しかしリードアラウドは、「ムニャムニャ」で、この逆をいく。
「歌詞」はわからなくとも、正しい「メロディ」にまず声を乗せさせる。
これは、とくに子どもに、英語の敷居を低くする効果がある。
すぐに声を乗せられるし、とても喜ぶ。
こうして楽しいハミングとか鼻歌みたいな「ムニャムニャ」で、英語のprosodyから学ぶのだ。
prosodyー具体的にはイントネーションやフレージング、強弱、リズムや間合いなどーから入り、ぽつぽつでも「歌詞」にあたる英文と一致させて学ばせるというわけだ。