先日の絵本リードアラウド認定講師講座第7回の朗読の要は、物語りをしていない絵本に物語りを見つけ、そのキャラクターを造型して、朗読を立体的にすることだった。
その講座でも話したのだが、近頃の発見ー今頃かとツッコまれそうだがーというか、再発見?は、
「つまらない朗読と面白い朗読の違いは、作品のキャラクター造りの有無による」
ということ。
ただ「正確に」「美しく」絵本を読んでいるビデオが、ユーチューブに溢れているが、リードアラウドとして「合格」にできる、または子どもが楽しめると太鼓判を押せるのは、2割程度だと思う。
その2割は、ほとんどがプロの俳優によるものだ。
ただの俳優ではなく、うまい俳優。
そんなことを思っている今日この頃、伝記映画をたまたま2本続けて見た。
1本目『FOUJITA』は、画家藤田嗣治を日本人の俳優が演じたもの、
もう1本はアメリカ映画だが、英国が舞台。実在したENIGMAという「世界で最も解読が難しい」と言われたヒトラーのドイツが使った暗号を解読した英国人Alan Turingを描いた『The Imitation Game』。主人公を演じるのは、Benedict Cumberbatch。
完全に2本目の勝ち。1本目は最初の30分で、見続けるに堪えなくなった。
ゴメン。空々しい台詞と何も滲み出さない薄い演技。嫌いではない俳優だけど、演技の基本ができていないフワフワ感についていけない。
対して、『The Imitation Game』。
これは最後まで一気に見ただけでなく、終わってから、そして翌日も、主人公Turingの存在感に頭がいっぱいになった。
俳優が「演じた」ということさえ意識から吹っ飛んで、実在のAlan Turingのことを読み始めたりしている。
目をつむると、Turningいやいや、Cumberbatchの仕草や言葉、表情を思い出す。こう言う状態は、hauntedとでもいうのか。頭から離れない。
キャラクター造りが、見事だった。素の俳優は見えない。地味な主人公なのに、ああこういう人いるな、と自然に思える。
台詞回しは、性格に合わせて、おどおどしたり高圧的になったり、頭出しが遅れたり、どもったり。アスペルガー的天才肌だったのかな、とだんだん印象が積み上がっていく。
特に素晴らしいのは身体表現。表も裏も横も演じている。立ち方、微妙に内股の時があったり、もつれたり。横から見ても、感情が伝わる。
ああ、一度の人生じゃ、ここまでたどり着けない……。
それでも、精進します!!
Alan Turingに扮して、その手紙を読む
「おとぎ話」を読む。
そして、『The Imitation Game』のTrailer.