表現豊かに読むリードアラウド、その指導者がまずは表現力をつけなければ話にならない。今回は『We re Going on a Bear Hunt』にどう表現をつけるかの挑戦だった。
まずは目立つところで、擬声語から。意外なことに、みなさんが気配りしていなかったのが、3度繰り返す swishy swashy/swishy swashy/swishy swashyなど擬声語のvolumeまたは強弱の変化。作者がせっかく活字の大きさを三通りにしているのだから、読み手はその意図をくまなきゃ失礼である。と指摘したとたん、さすがみなさんの読みはあっという間にさらに立体的になった。また、ペアで読んだときは、3度めをふたりの声で読む演出で、まるでハーモニーをつけた歌のように味わいが深くなった。読み手も気持ちがよかっただろう。
さあそれからだ。今回の経験豊富なみなさんに、表現のハードルを上げさせてもらったところである。
同じ調子で済ましてしまうこともある(特に子どもに読ませる場合は、たいてい一通りの表現でよしとしている)、What a beautiful day!/We re not scared. の2行。みなさんには、二、三通りを考えてもらった。つまり、
1. 本気 2. ちょっと怪しい。自信がない 3.かなり怪しく負け惜しみっぽい
この3種の表現をする。コツは母語でまず言ってみること。すぐさま、その母語での気持ちのまま、本文を読むと、ほんとらしい表現が英語に乗るものだ。
みなさん、少なくとも演習中はいい表現にたどりついた。そのときのやりかたをお忘れなく!
もうひとつ、本書の表現の肝は、Uh, uh!からの2行。背の高いヨシだかアシが生えているところを抜けて行かなければならなかったり、どろどろのとこだったり、いくつも困難を抜けていくところ。
初めのみなさんの自己流の読みでは、それぞれの困難を越える越え方がほとんど均等だった。でも、リアルに草むらを抜けたり皮をわたったりはそれぞれ違うだろう。越えるのにかかる時間も違うだろう。動作の記述は絵本のいたるところにある。そのたびに表現の仕方を思い出して欲しい。場面を見る(イメージする)ことを。
演習ではペアを作り、片方が登場人物になって困難を実際にマイムしながら越える。もう片方はそれを見ながら、本文を読むのだ。実際の肉体が動くのを見ることで、それなりに動作に掛かる時間や力の入り具合、歩の進め方の違いがわかる。それを実況中継するように読むことで、間合いや強弱など声の要素も使い方が変わってくる。
イメージして表現する、というのは経験的に、言うは易し行うは難しだということを知っている。そこから生まれたこの演習方法は、かなりイメージと読み方を結びつけるのが手っ取り早くうまくなる、リードアラウドがうまくなる方法だと自負している。
間合いなどわからなくなったら、書かれている動作をしてみるといいことを、今回記憶に刻んでもらえたらうれしい。
今回の講座、いつもながらの反省なのだが、またまた時間いっぱいになってしまったこと。伝えたいことがありすぎなのである。
3月末にぜひまた、新しい方も古い方もご一緒に!