90歳前後のマダムと、絵本を読む会を、ある高齢者施設で受け持って
もう4年以上。
何冊も絵本を読んできたが、新しい本を紹介するのがとても楽しみだ。
一冊一冊、みなさんが目を細めて、
「なんて綺麗な絵」
「ああ、可愛らしい」
「子どもの本と思えない」
などなど、ため息交じりでページをめくる。
絵本にとっても、幸せな時間だろうと思う。
さて、今回は、1947年にコルディコット大賞を受賞したこの一冊。
「Margaret Wise Brownという数々の絵本を著し、早逝した作家で…」
と言いかけたところで、ひとりが声を上げた。
「アメリカにいるときに、亡くなった記事を読みました!」
驚いた。
彼女は英字新聞の仕事に携わっていた人とは知っていた。
だが、伝記でしか知らないM.W.ブラウンと、同時代にアメリカに生きていた人で、その死亡記事を覚えていたということに、ただ感動してしまった。
朝広げた新聞に、ブラウンの死亡記事が載っているのを見る、今ここにいる90何歳かの女性が若かりし頃のイメージが浮かぶ。
こうした人生の先輩たちとの時間が、とても好きだ。