おとなのみなさんと、英語絵本を楽しみながら英語ブラッシュアップするクラスで、絵本の力を再認識した。
先日から取りかかったのは、1942年刊の名作『Runaway Bunny』。
『Goodnight Moon』の姉妹版、「姉」のほうだ。
やんちゃなウサギの子(人間の4~5歳?)が、おかあさんに「I am running away」と告げる場面から始まる。
この年頃の子のおかあさんは、子との絆がまだまだ強固なものだから、
「あらそう、じゃ、おかあさん追いかけるわ」と、余裕しゃくしゃく。
子が逃げるところをいろいろ想像して告げるが、ひとつひとつおかあさんも想像上の方法で子をおいかけつかまえてしまうことに…。
この本、ぱらっと見ると、各ページに4行以上あって、文字が意外と詰まっている感じ。
「絵本なら英語がわかりそう」と思ったおとなも、多少不安になるかもしれない。
だが、そこは絵本。
繰り返しがあり、思いのほか負担が少ない。
たとえば子ウサギが、
I will become a fish in a trout stream
and I will swim away from you.
と言う。
するとおかあさんは、
If you become a fish in a trout stream(ほとんど、子ウサギのくりかえし)
I will become a fisherman and I will fish for you.
それならと子ウサギは、
If you become a fisherman,
I will become 〜
と続く。
先日のレッスンでは、この母子の会話部分を役に分かれて暗唱。
自分の言葉のようにfluentlyに言う練習をした。
相手のせりふを聞く余裕があれば、次の自分のせりふの出だしは、直前の相手のせりふを繰り返せばいい。
なのに、「会話」になっておらず、個々の分担としてまる覚えしようとしてしまう。
まるまる暗記して、それを棒読みのように、おまけに目の前の相手ではなく、遠いかなたの誰かを見るような目をして、唱える。
ここが、会話練習のしどころ。
棒読みのようではなく、自分の言葉として身体にしみ込ませて、それから意志や感情をのせ、相手の目を見て語れるようにしたい。
コミュニケーションの基本だろう。
そんな初歩の練習に、自然な「台本」を提供してくれるこの絵本は、実にぴったり!