コナンドイル原作の『シャーロック・ホームズ』シリーズを、イギリスBBC放送が舞台を現代に置き換えて、ドラマ『Sherlock』にした。
2010年に始まり、2013年には新エピソードも作られることになっている。
主人公Sherlockは、30歳代のconsulting detective、助手のDr.Watsonは、アフガニスタンに従軍経験を持つ同年代の青年だ。
19世紀が舞台の原作同様に、Baker Streetにふたりは住んでいる。
いつもパイプをくわえていたSherlockは、今はニコチン・パッチを貼っている。
頭脳明晰は新作も同じなのだが、新Sherlockは、ITの使い手として達人でもある。
原作では「講義をするように」、ビクトリアン英語で、とうとうと推理を述べるSherlock。
この新作でSherlockを演じるBenedict Cumberbatchは、なんとも言えない、気取ってはいないのだが鼻から頭頂に抜けるような美しい声で、流れるように話す。
通訳しろと言われても、今のわたしにはちょっと無理。
明晰なSherlockの頭脳から、立石に水のように、論理的で知的な語彙の言葉が溢れ出る。
長台詞だ。
ぴったりはまって演じている役者、Cumberbatchは、ただ者ではないはずだと調べたら、やはり筋金入りの役者だった。
両親ともに有名な俳優で、初めから俳優志望。
名門校から舞台演劇を専攻し、舞台、映画、TVと活躍して来た若手だった。
滲み出る知性、育ちのよさを感じる。
とっぴで冷徹なSherlockが自然に感じられ、つまり役作りがうまい。
何と言っても、台詞まわしが美しい!
Sherlockだけではない。
Watson演じるMartin Freemanがまた上手い。
話題の映画大作『The Hobbit』では、主人公も演じる名優だ。
「庶民」感が、あたたかい。
カメラ・ワークも斬新。
ロンドンの街のフレームも魅力的。
物語も、原作を下敷きにした、Sherlockファンを失望させないイメージを上手に現代に置き換えている。
ロンドンに行きたくなった。
ウーム。
毎週火曜日の「ミステリー・チャンネル」、張り付いていなければならなくなってしまった。