リードアラウドより「単語をやってもらいたいんだけど」

公立小学校で放課後学習として、リードアラウドを数年来続けている。
今年度は試練の年。

30人以上が登録。
出席者が多い日は、クラスが騒然とする時間がたびたびある。

「静かにさせる」時間が、せっかくの学びの時間を浸食する。
まったくこの時間がいらない学校と比べたら、年間どれくらい学ぶ時間が減っているか。

昨日は、Yo! Yes? でのリードアラウド、最終日。
仕上げに1冊を、8人に分けて読んでもらうことにした。

「やりたい」という子、8人以上。
当てられた子たちは、みんなの前に出て、なかなか臨場感ある読みを聞かせてくれた。

他の子にも読む機会をと、もう一度8人を募集したところ、先ほど手を挙げた子に新顔は若干名のみ。

他は、といえば、本の背を机に叩き続ける少女や、どこからか持ち込んだ石のようなもので、机を叩く子。
なんだか、嬉しそうに騒いでしまう子などは、まあ子どもらしいわけだ。
苦労だが、それはそれで収めようもある。

しかし一番心配なのは、暗い目で宙を見てる(?)子や笑顔のない子。
接近して声を聞くと、ひとりは「ぜんぜん分からない」という。

でも、そのとき読んでいたのは「You!」の一語が大きく書かれたページ。
何度も級友たちが「ユー!」と読んだあとだ。
わたしも彼の前で「You、『ゆう』でいいんだよ。言ってごらん」。

でも、その「ゆう」が出ない彼。
ついにわたしは、「アイウエオの、ヤユヨ、その『ユ』、言える?」
そしたら、やっとその子が「ユ」と発声。
「じゃ、伸ばしてユー、それがこのYouだよ」

英語というものを、ひどく難しいものと思い込んで、石のようになっている子なのかもしれない。
あと一歩で、闇から明るいところへ引っぱり出せるかもしれない……。

公立小学校では、心の中の感情の糸がからまったような、または意欲の中枢が皮をかぶったような状態の子が、混じっている。
低学年なら、まだその絡まり具合はゆるいし、皮も薄い。

ああ、だが、30人近くいるクラスの中、毎回そんな子に手を差し伸べるのは難しい。

帰り際、「不満」を絵に描いたような表情で坐っていた中学年のひとりが近寄って来た。

「あのさ、どっちかと言えば、あたし、単語(の勉強)をやってもらいたいんだけど」。

はあ〜?
唖然。
口調も口調、言っている内容も内容だった。

「単語の勉強」をやらないわけは、話せば長いのだよ、あなた。
あなたにそう言っている大人を、今度連れてらっしゃい。
お話しましょう。

コメントを残す

CAPTCHA