『Where the Wild Things Are』はリードアラウドの定番、今年もオンライン講座で〜絵本リードアラウド認定講師講座

 

Maurice Sendakが本書『Where the Wild Things Are』を世に出したのが、1963年。

ちょうど20世紀が半分余り過ぎたころだ。

 

それ以前の絵本、それは民話だったりおとぎ話だったりで、おおよそは大人の世界からみて都合のよい子どもにするための躾(しつけ)を主目的としていて、そのような絵本を見慣れた目には、さぞかし驚きだったに違いない。

 

何に驚くか。

だいいちに、主人公が「悪い子」だということ。

夕食前の忙しい時に、いたずらをするは、お母さんに酷い口答えはするは、癇癪を起こすはで、ついに夕食抜きで自室にこもる。

でもそんな子に本書は、これまでの本のように「子どもはそうであってはいけない」というメッセージを込めてはいない。

「こんなこともあるよね」と、主人公みたいな(実は珍しくない)子どもたちの側に立って、空想の世界を作りそこで自由に遊ばせて、自分で物事を見極め決断することを許してくれる。

 

読んでいる子どもがほくそ笑んだり、時には我が事のように照れたりもする、これまでどの大人もかかなかった、子ども自身の世界の一端が描かれている。

 

本書が出版された当時、子どもに悪影響を与えるからと、いくつもの図書館で「禁書」になった。

それにもかかわらず、世間では大きな話題と人気になり、その年の米国絵本の最高栄誉、コルディコット大賞を受賞した。

 

心理学者たち(特にユング派)は本書に、

子どもの恐れ、怒り、愛などの「潜在意識」や「無意識」が描かれていて、

子どもがこれを読むことで自分の感情を客観的にみて、処理する助けになるだろう、

などと絶賛し、多くの論考も続いた。

 

「20世紀の絵本の金字塔」ともいわれ、数々の機関の選ぶ「絵本名作100選」のようなリストには必ずその名がある絵本である。

 

たとえ英語がまだあまり読めずとも、迫力と愛嬌のある絵とダイナミックな構図にまず子ども心は惹かれる。

 

その魅力を生かし、また最低でも「ぶち壊さない」ように、子どもに読むにはどうしたらいいか。

ひとりでも多くの大人にそれを考えてもらい、練習をつんで、子どもに読んでやったり、一緒に読んで楽しんでもらいたい。

 

 

リードアラウドをするものとして、はずせない一冊だ。

ということで、今夏も「絵本リードアラウド認定講師講座オンライン」の課題書になっている。

 

『The Gruffalo』で英語読書、リードアラウドに誘う〜絵本リードアラウド認定講師講座

2022年度第3回目の『絵本リードアラウド認定講師講座 2022』の課題書は、英語圏で絶大な人気の絵本『The Gruffalo』だった。

Gruffalo?

Yes, Gruffalo.

みなさんには馴染みが薄いかもしれないが、英語絵本の中では「子ども支持率が高い系」だ。

お父さんお母さんが選ぶメルヘンチック(「お花畑系」?)な本が物足りなくなる、5歳から小学生低学年あたりの活発な子どもの興味を大いに引いてくれる。

英語教師には、ちょっとした救世主的な一冊。

認定講師講座に集まった先生たちが、これに挑戦した。

故事成語「虎の威を借る狐」を基に、虎をGruffalo、狐をmouseに据えた物語だ。

mouseを世渡り上手な利口者と肯定的に捉えるのも、権力者の力を頼みに威張る小者と否定的に捉えるのも自由。

しかし……この日の参加者によるmouseは、なんにせよキャラクターが薄い!

いったい何者なのか!

登場人物の肉付けが「薄い」のには、パターンがみられた。

  1. 型で演じている(自身の考えるのステレオタイプのひとつに当てはめているだけで、登場人物としての肉付けがされていない)。ベテラン先生に多い。聞き手に、よくある型と認識され、すぐに飽きる。興味が湧かず、長続きしない。
  2. 声色を使っているだけ(声を変えただけで表現がない)。「変声」で子どもの注意を引いても、表現が伴わなければ、すぐに飽きられる。
  3. 違和感(声や口調からにじむキャラクターが、物語と合っていない感じ)ありあり。深く読解していないのかもしれない。子どもたちの読解を混乱させる。
  4. 掘り下げ、強調、練習が足りない(方向性はよい)。

さあて、みなさん。自分はどうだったか。当てはまるパターンはないか。録音を聞いてみること。

次回のプレゼンテーションを楽しみにしている。

参考映像:

絵本リードアラウド認定講師講座 2022
The Gruffalo

絵本リードアラウド認定講師講座第3回報告その2〜『Swimmy』reading comprehension

『Swimmy』は深読みを誘う絵本、これを課題にしたからには、指導者たちも深読みをしたい。講座でも、何層にも読み取れる内容解釈やテーマをディスカッションした。

指導者である私たち自身の、読解を深めることが、生徒への発問の質とわたしたちの朗読そのものの質に大きく関わる。自分が考えてもなかった解釈など、この日の講座に何か発見があったら嬉しい。

 

模擬指導は、前年度までは発問内容も台本のようにあらかじめ渡していたのを改め、今年度は発問の「種」だけまいて、そこからどういう切り口で、どう語りかけるかは、指導者の技量次第とした。それぞれ、磨きをかけて欲しい。

模擬指導では、字面(英文解釈)指導のための「小さい」発問と、内容やテーマについて、reading comprihensionに関わる「大きい」発問を、全員に担当ページで発してもらった。

「大きい」発問では、子どもに問うのに語彙まで大きく(抽象的)になってしまう傾向が見えた。

発問は簡単な言葉に「翻訳」すること。

発言が出にくい場合は特に、答えやすいYes/Noの質問からにする。

これらを、生徒の口を開かせるために心がけたい。

 

指導者が読解を深掘りすると(しすぎでも)、生徒たちは「ん?」と思いながらも、「先生がそれほど楽しんでいるのだから、面白い本なのかも」と感じて読む気になってくれることも多い。

 

さあ、リードアラウド講師のみなさん、これからも絵本を楽しんで、楽しさを子どもたちに伝播しましょう!

 

 

 

 

絵本リードアラウド認定講師講座2021 第2回報告その2〜『The Bad Seed』

課題書『The Bad Seed』、わたしが子どもの目と心をまだ少々はもっているとして、この表紙を見るとなかなか魅力的だと思う。

なんでか、アンチヒーローに惹かれる。

ということで、多分、子どもは本書を手にとってくれる、としよう。

 

まずリードアラウドでは絵本を厳選してから、子どもに読んでいただけそうなその本を提示して、「あーだ」「こーだ」と最初に自由に語らせる。そのときに、忍び込ませる問いが

「どんな話かな?」

「この子、何? どんな子かな?」など。

そして、子どもの好奇心で、パラパラ中身を見ながら答えを探してもらう。

 

そこで、「種の本」とか「悪い子の種の話」とか子どもの口に挙がったら、ジャジャーンと、アクティビティをする。

という「奇襲」も子どもに喜ばれる。

ということで、この日参加のみなさんとも、Word Ball ゲームをしてみた…。

 

意外や意外、「seedから育てる植物の名前」がみなさんの口からすらすら出てこない!

だれかは苦し紛れに「柿の種!」などと言ったけ。

植物の名前、こんなところに指導者がまだ努力すべき点があった。

 

ところで、英語絵本のリードアラウドを子どもにさせる目的として、忘れてはならないのが語彙学習。日本人の英語で、圧倒的に足りないのも語彙である。

 

なるべくその語彙を増やせるように、記憶を確かに深くさせる指導と同時に、数多く、広く言葉と出会わせたい。

子どもは、品詞の中では名詞を比較的知っているが、名詞でも動物と比べると知っている植物の名前は極端に限られる。まあ、英語の語彙だけの問題ではなかったり、子どもの問題だけでもなさそうではある。

しかしリードアラウド指導者として、自分の語彙を増やす好機だと認識して、こういう機会に学びたい。本書には愛らしい種たちのイラストもあって覚えやすい。経験でいえば、植物系の語彙が増えることで見えてくること、わかること、そして驚きが、たくさんあった…。

 

絵本リードアラウド認定講師講座2021 第2回報告その1〜『The Bad Seed』

The Bad Seed

2017年の刊行後、New York Timesベストセラーになり、続編も刊行中という今時の絵本『The Bad Seed』が今回の課題書だった。『絵本リードアラウド認定講師講座』で心がけていることのひとつは、名作古典を読んでノスタルジーに浸るだけの「絵本おばさん」集団にならないこと。

といっても、本年度は『Blueberry for Sal』『Big Red Barn』『Swimmy』といった名作古典を課題書として選んだ。しかしもちろん、旧来の読み聞かせのパターン的な読み方ではなく、新しいour wayを学んでいく。

Blueberries for Sal (Picture Puffins)

Big Red Barn

Swimmy

さて『The Bad Seed』は、あるbad seedの半生記だ。英語の慣用句「A bad seed(鼻つまみ者)」の文字通り悪い種が主人公というところで、もうそのユーモアを期待してしまう。

認定講師のみなさんは、物語によって語り口を変えること、登場人物の会話部分はなるべくリアルにすることなどを、あらかじめ考慮して練習してきている。とはいえ、主観と客観は別物なので、自分ではそのつもりになっていても、他の人にはそう聞こえないこともたびたび起こる。

本書のナレーションを、たとえば「むかーしむかし」とマザーグースを語るおばあさん風にすると、子どもはどう思うだろう。そんな想像力も持ち合わせたい。「カビ臭い」「加齢臭」「眠くなる」……など、子どもは手厳しく酷だ。子どもに迎合はしないが、本書のようないまの子どもの感覚にも合いそうな場合は、こちらもフットワーク軽く新感覚、たぶんリアルな感じとでもいうのだろうか、そんなふうにも読めるようになりたい。

ナレーターは、badであることを、ことさらひけらかすようなseed自身だ。少なくともおばあさんの声では、違和感があるだろう。また、ニュースを読むNHKアナウンサー風でもないだろう。参加者同士で聴き合って、まずはこのナレーターThe Bad Seedの声について、いろいろ気づきたい。みなさんも、他人の朗読を聴いたり、ディスカッションや表現演習したりすることで、The Bad Seedの性別や年齢や生い立ちや性格などを考え、だんだんと人物の特徴が浮きあがってきたようだった。

またThe Bad Seedは、ただ単純に悪さをし、それを正当化するという輩ではない。反省も将来への希望も持つことがわかってくるにつれ、不思議と朗読に深みが出てくるところが、表現の面白いところだ。ニュアンスが出てくることで、大人よりまだ感覚的な子どもに響いて、読解に繋がるわけだ。

(つづく)

参考に、「今日(きょうび)のread aloud」:『The Bad Seed』

絵本リードアラウド認定講師講座 2021