絵本リードアラウド認定講師講座第3回報告その2〜『Swimmy』reading comprehension

『Swimmy』は深読みを誘う絵本、これを課題にしたからには、指導者たちも深読みをしたい。講座でも、何層にも読み取れる内容解釈やテーマをディスカッションした。

指導者である私たち自身の、読解を深めることが、生徒への発問の質とわたしたちの朗読そのものの質に大きく関わる。自分が考えてもなかった解釈など、この日の講座に何か発見があったら嬉しい。

 

模擬指導は、前年度までは発問内容も台本のようにあらかじめ渡していたのを改め、今年度は発問の「種」だけまいて、そこからどういう切り口で、どう語りかけるかは、指導者の技量次第とした。それぞれ、磨きをかけて欲しい。

模擬指導では、字面(英文解釈)指導のための「小さい」発問と、内容やテーマについて、reading comprihensionに関わる「大きい」発問を、全員に担当ページで発してもらった。

「大きい」発問では、子どもに問うのに語彙まで大きく(抽象的)になってしまう傾向が見えた。

発問は簡単な言葉に「翻訳」すること。

発言が出にくい場合は特に、答えやすいYes/Noの質問からにする。

これらを、生徒の口を開かせるために心がけたい。

 

指導者が読解を深掘りすると(しすぎでも)、生徒たちは「ん?」と思いながらも、「先生がそれほど楽しんでいるのだから、面白い本なのかも」と感じて読む気になってくれることも多い。

 

さあ、リードアラウド講師のみなさん、これからも絵本を楽しんで、楽しさを子どもたちに伝播しましょう!

 

 

 

 

絵本リードアラウド認定講師講座2021 第2回報告その2〜『The Bad Seed』

課題書『The Bad Seed』、わたしが子どもの目と心をまだ少々はもっているとして、この表紙を見るとなかなか魅力的だと思う。

なんでか、アンチヒーローに惹かれる。

ということで、多分、子どもは本書を手にとってくれる、としよう。

 

まずリードアラウドでは絵本を厳選してから、子どもに読んでいただけそうなその本を提示して、「あーだ」「こーだ」と最初に自由に語らせる。そのときに、忍び込ませる問いが

「どんな話かな?」

「この子、何? どんな子かな?」など。

そして、子どもの好奇心で、パラパラ中身を見ながら答えを探してもらう。

 

そこで、「種の本」とか「悪い子の種の話」とか子どもの口に挙がったら、ジャジャーンと、アクティビティをする。

という「奇襲」も子どもに喜ばれる。

ということで、この日参加のみなさんとも、Word Ball ゲームをしてみた…。

 

意外や意外、「seedから育てる植物の名前」がみなさんの口からすらすら出てこない!

だれかは苦し紛れに「柿の種!」などと言ったけ。

植物の名前、こんなところに指導者がまだ努力すべき点があった。

 

ところで、英語絵本のリードアラウドを子どもにさせる目的として、忘れてはならないのが語彙学習。日本人の英語で、圧倒的に足りないのも語彙である。

 

なるべくその語彙を増やせるように、記憶を確かに深くさせる指導と同時に、数多く、広く言葉と出会わせたい。

子どもは、品詞の中では名詞を比較的知っているが、名詞でも動物と比べると知っている植物の名前は極端に限られる。まあ、英語の語彙だけの問題ではなかったり、子どもの問題だけでもなさそうではある。

しかしリードアラウド指導者として、自分の語彙を増やす好機だと認識して、こういう機会に学びたい。本書には愛らしい種たちのイラストもあって覚えやすい。経験でいえば、植物系の語彙が増えることで見えてくること、わかること、そして驚きが、たくさんあった…。

 

絵本リードアラウド認定講師講座2021 第2回報告その1〜『The Bad Seed』

The Bad Seed

2017年の刊行後、New York Timesベストセラーになり、続編も刊行中という今時の絵本『The Bad Seed』が今回の課題書だった。『絵本リードアラウド認定講師講座』で心がけていることのひとつは、名作古典を読んでノスタルジーに浸るだけの「絵本おばさん」集団にならないこと。

といっても、本年度は『Blueberry for Sal』『Big Red Barn』『Swimmy』といった名作古典を課題書として選んだ。しかしもちろん、旧来の読み聞かせのパターン的な読み方ではなく、新しいour wayを学んでいく。

Blueberries for Sal (Picture Puffins)

Big Red Barn

Swimmy

さて『The Bad Seed』は、あるbad seedの半生記だ。英語の慣用句「A bad seed(鼻つまみ者)」の文字通り悪い種が主人公というところで、もうそのユーモアを期待してしまう。

認定講師のみなさんは、物語によって語り口を変えること、登場人物の会話部分はなるべくリアルにすることなどを、あらかじめ考慮して練習してきている。とはいえ、主観と客観は別物なので、自分ではそのつもりになっていても、他の人にはそう聞こえないこともたびたび起こる。

本書のナレーションを、たとえば「むかーしむかし」とマザーグースを語るおばあさん風にすると、子どもはどう思うだろう。そんな想像力も持ち合わせたい。「カビ臭い」「加齢臭」「眠くなる」……など、子どもは手厳しく酷だ。子どもに迎合はしないが、本書のようないまの子どもの感覚にも合いそうな場合は、こちらもフットワーク軽く新感覚、たぶんリアルな感じとでもいうのだろうか、そんなふうにも読めるようになりたい。

ナレーターは、badであることを、ことさらひけらかすようなseed自身だ。少なくともおばあさんの声では、違和感があるだろう。また、ニュースを読むNHKアナウンサー風でもないだろう。参加者同士で聴き合って、まずはこのナレーターThe Bad Seedの声について、いろいろ気づきたい。みなさんも、他人の朗読を聴いたり、ディスカッションや表現演習したりすることで、The Bad Seedの性別や年齢や生い立ちや性格などを考え、だんだんと人物の特徴が浮きあがってきたようだった。

またThe Bad Seedは、ただ単純に悪さをし、それを正当化するという輩ではない。反省も将来への希望も持つことがわかってくるにつれ、不思議と朗読に深みが出てくるところが、表現の面白いところだ。ニュアンスが出てくることで、大人よりまだ感覚的な子どもに響いて、読解に繋がるわけだ。

(つづく)

参考に、「今日(きょうび)のread aloud」:『The Bad Seed』

絵本リードアラウド認定講師講座 2021

絵本リードアラウド認定講師講座第4回報告:その1.褒め足りない〜リードアラウド研究会

6月の認定講師講座を終えて、何晩か明けて、よかったところ、もう少しだったところが、だんだんはっきりと浮かび上がってくる。

ちょっと、褒め足りなかった気がする…。

 

復習の『The Runaway Bunny』。

登場する3人、ウサギ母、息子、ナレーターの読み分けと、それぞれの場面での葛藤や気持ちをどう表すか。

 

随分と前回から比べて、キャラに安定感がでた。

どれもよくなっていたのだが、印象深かったのは…

 

Yさんのウサギ母。

こんな母がどこかにいそう、と思えるリアルな造型だった。発声がよく、奥からの響く声で、大人で教養ある母が浮き彫りになった。

 

Rさんのウサギ息子。

思いつく典型的な子ではないが、こういう子かも知れない、と説得力がある。どんな子でも、「そうかもな」と思わせる力があればそれもOK。

 

Nさん、3者の分離と安定感はなかなかのもの。

Hさんのウサギ息子、言葉尻というか「会話尻」?にときどき残る、Hさんの読みグセを消せば、生き生きしたところがとてもよかった。

 

 

今回の課題書『Dear Zoo』の表現では…

 

 

本書はZooに手紙を書いた、濃いキャラの「I」の演芸口調で、という、リードアラウドならではのミッションだ。

そうすることで、ただ読んだだけでは単純な話で大人に感動があるわけでもない幼児向けの本を、リアルに肉付けし、読むわたしたちにも興味深く思わせること、そして聞く子どもにも深みを、大人にはユーモアを感じさせたい。

 

子どもにその面白さがわかるかどうかは別にして、設定としては「いるいるこういう人」と気づかせてくれたのが、Hさんの「ハイミス」を主人公にしたバージョン。

「いい歳」なのに、娘口調が残り、子ども心というか、幼稚さ、わがままっぽさもある、キャラが立った「お姉さん」。それでいて、聞かせる子どもへの愛情も感じる。傑作。さらに磨きをかけて、レパートリーに加えるといい。

 

発案として優秀賞は、Aさんの「デビ夫人」風。

コネもお金もある「I」が、動物園に「ペットをちょうだい」と手紙を書くという設定。奇策で面白い。座布団1枚。

ただ今のキャラ造型技術は、発声に少々難あり。気道をあけるというか、声帯を開くというか、イメージとしては声を頭頂から出す。これは、念力のようなもので、そのイメージを体に染み込ませて、声の通り道を変える。

新しい技術を身体的なものに定着させるのには、稽古!

 

ひととおりだが、行儀よくまとまっていたのは、MさんのDr. ドリトル版と、Yさんの「上場企業に務めるお父さん」版。

キャラが思いつかなかったり、肉付けが難しい場合、本やドラマから自分がよく知っているキャラを借りるというのも一手。

でも、そのイメージに寄りかかり、自分は知っていても他の人は知らないということが、念頭にないと、造型が薄く伝わりにくくなる。

 

「上場企業に務めるお父さん」も、父の日のCMのような薄くて類型的な「ステキ」のイメージになりやすい。どんな顔して話をする人なのか、笑い方、しぐさ、例えば、ごはんの食べ方などまで考えていくと、リアルになる。書き出してみよう。

 

キャラ分けも楽しく、技術もついてきたNさんは、そろそろもうひとつ、charmを出せたら、ひとつ上の段階、エンターテイナーに近づく。現状、ついつい顔を出すのが先生キャラ。別人格を工夫したい。

 

ああ、別人格といえば、Rさんの「元動物園の園長」のじいさん。

体臭まで(加齢臭?)臭ってきそうな、リアル感。まいりました。ステキ!

 

Magic School Busシリーズ〜キッズブックス英語スクール

リードアラウドのカリキュラムでも、かなり文が読めるようになってきた小学生中学年以上には、ノンフィクションの絵本も使う。

今週から、Magic School BusシリーズのHuman Bodyを読む。これに先行して前回から読み始めたのが『Parts』。こちらはフィクションだが、テーマは同様にHuman body。

絵本のリードアラウドで、本を読めるようになってきた生徒たちに、ときにノンフィクション系の語彙も学ばせたい。

年相応の語彙として、たとえば「大脳」とか「動脈」とか。山ほどある。

昨年度の高校一年は、『World War II』を、歴史や社会学系の語彙をまなびつつ、歴史的事件などをディスカッションした。

アメリカの大学に入って愕然としたのは、大学生としての英語の語彙の貧弱さだった。

だから、今から生徒たちの読む分野を広げ、語彙を広い分野から身につけさせたい。

さて、本年度。

力がついてきた小学生クラスで、Magic School Busである。

「絵本なんて小さい子の読む本じゃない?」なんて態度が少しでも見えたら、どかんとノンフィクションに挑戦させてみよう。

まだまだ「小さい子」の英語にも追いついていないこと、うすうす知らせ(やる気をくじかない程度に)、ノンフィクションの情報を学ぶ楽しさも示そう。