意外なことに本ワークショップ(絵本リードアラウド認定講師講座)で、『The Very Hungry Caterpillar』を取り上げたのは今年度第7回が初めて。
リードアラウドそのものも、本書で行った記憶がない。
思うに理由は二つ。
その1: あまりにも多くの先生方や英語圏のみなさんが読んできて、今更リードアラウドしなくてもいいかな、と思った。
その2: 本の内容は幼児向けだが、英文は大人が子どもに「読み聞かせ」る仕様で、リードアラウドのように子ども自身が読むには少々難しいと思った。
気が変わった理由は、ここ数年で「リードアラウドらしい読み方」をより強く認識するようになって、本書を「らしく」読んだらどうなるだろう、と挑戦したくなったこと。
もう一つ、語数の多い本、長いセンテンスのある本を、子どものそれぞれの英語力なりに読ませる指導ができてきたこと。
ところで、非常に多くの英語指導者が、この絵本を取り上げるのは、訳がある。英語を教えたい大人に対して「魔力」を持っているのだ。
その「魔力」とは。
ワークショップでの発言にもあったのだが、本書は先生たちの「英語を教えてやろう」という「先生魂」に、熱量をチャージする。
なんせ、指導のツボがわかりやすい。
「果物、食べ物の名前」、「数と曜日」。
さあ教えてあげよう、といい形で並んでいるのだ。
見え見え?
ウーム。だから、表現者としては難しい。ついつい、先生になってしまう。
フラッシュカードのありがたさは、子どもを教えたことのある人なら、誰も知っているだろう。本書がフラッシュカードのような働きをしてくれる。
でも、フラッシュカードには、そのままでは「物語」がない。
本書の魔力は、「先生魂」が表現者の心に勝ってしまうこと。
しかし。
リードアラウドは、「教えずして教える」。
まずは指導者自身が表現を考え、本にある物語を表現することで子どもたちと楽しみ、英語で表現する楽しさを、語学習得にも繋げる。
そこで、リードアラウド認定講師の今回のワークショップでは、「教材」になりがちな本書を、まず「物語」として語り手がどう語るか探求しよう。つまり、「リードアラウドらしく読もう」、そう決めたら、俄然、やる気が湧いてきたのだ。
つづく(その2)