不条理劇のような絵本『The Rock From the Sky』の表現を考える:その1〜リードアラウド認定講師講座第5回

7月の講座は、この本『The Rock from the Sky』その1

なんとアメリカの書評では、カミュの『シージュフォスの神話』や、ベケットの『ゴドーを待ちながら』など、不条理小説、不条理演劇と呼ばれる作品が引き合いに出されることも多いことから想像がつくように、子どもに人気なだけでなく、大人が深く考えさせられる絵本でもある。

 

空から巨大なrock、隕石(?)が、地上にいる登場人物(動物)の頭上にいつ落ちてくるかわからない状況なのだが、知っているのは読者だけ。

何のためなのかわからないのだが、だれよりも「いい場所」をみつけたと自負するカメが、アルマジロをそこへ誘うが、「なんだかよくない気がする」とアルマジロは別の場所にもっと「いい場所」を見つける。

別の場所といっても、ただ直線的に離れたところで、なぜそこのほうがいいのか誰にもよくはわからない、「なんだかいい感じがする」。

ならばと、確認のためアルマジロの「いい場所」へ出張中に、カメの「いい場所」に巨大な隕石が落下し、結果的にカメは命拾いする……。

 

人生何が幸いするかわからない、ってことか。アルマジロは直感力があるのか。「いい場所」としょっぱなから言うけれど、何がいいのかー運命をまっとうするのに?それとも生き延びるのに?他人と関わることが、命拾いにつながるってことか。

うむ〜。疑問が次々に湧いてくる。

 

このような第1話から、地球外生物が地上で破壊行為を始めていたり、平和な時間が流れたりで、第5話まで続き、それが一冊に収まっている。

 

近未来的、デストピア的でもある。場面はほぼ固定され、変化が少ない。閉塞感も漂う。

 

こんな話、ちゃんと子ども向けとされた絵本では読んだことがない。

小学生3〜6年生に読んだところ、飽きずについてきてくれ、知らぬ間に運よく生き残るカメのキャラは、笑いもとっていた。

 

「子どもにいいのだろうか」と思うのは、まだマザーグース的、またははらぺこあおむし的(?)絵本の世界に生きている証拠かも?

 

若い世代がかいて、若い世代に受け入れられている新しいタイプも、どんどん吸収し、それなりの表現をして伝えたい。

 

本文は、会話劇のようになっていて、カメとアルマジロの台詞で成り立つ。

5話まであるので講座では、2回に分けた。

今回は、読解と表現の演習をした。

 

(つづく)