10月の課題書は、1957年刊のクラッシック『Big Red Barn』。なぜか今まで一度も、リードアラウドしたことがない一冊だ。このたび、選書してよかった。
同一作者(文)のMargaret Wise Brownの他の一冊、『Goodnight Moon』がgreat green roomへの愛をうたった本なら、これはgreat green fieldへの、そしてそこに立つbig red barnへの愛をうたった本だ。
リードアラウドしてみたら、帰る田園などない自分なのに、一気に田園へ「帰りたい」という気持ちが募った、不思議な力がある本だった。
「人の心を動かす本=いい本」だとしたら、本書は少なくともわたしにとって、いい本だ。
そして、ワークショップ。
みなさんのリードアラウド、まず聞かせてもらった。
どうも、(演習以前の)before版はそっけない。
感情を入れてみても、どこか表面的というか、型にはまった調子を感じる。
この日の表現演習は、本書に特徴的な形容詞の二度重ねから。
例えば、great green fieldのようなもの。
気にして見ると、あるある。a great big horseやa very little horse……。ここまで多いと、作者はこれを使おう、と意識していたということだろう。
この演習は、「あたり」(効果が大だった)だった。
二人組になって密度濃く(social distanceはとりつつ)行ったのもよかったかもしれない。
本書からひっぱってきたかなりの数の「二度重ね」した語句を、目の前のパートナーに、言い聞かせるつもりで読んでもらった。
意識すればできるみなさんだ。ここで、たっぷりの感情を言葉に乗せてくれた。
本文では、注意散漫になって平坦になる語句も出てきがちだが、こうして抜き出して感情移入を練習しておくと、体にくせがつくものだ。
もうひとつのこの日の「ヒット」は、「音をイメージさせる言葉」の演習だった。
mooやmeowなどの擬声語だけでなく、pigはsquealし、donkeyはbrayをする、というところのsquealやbrayからも音がイメージされるべき言葉だろう。
これらは、それらしくする。すると文字通り動物的本能で、子どもは「音」にはっと耳を傾けてくれるものだ。
擬声語で賑やかになったついでというわけでもないが、農場が舞台の本書にピッタリのアクティビティ、「動物の鳴き声オーケストラ」を紹介した。
これは、大人でも楽しく、子どもなら必ずや楽しんでくれるだろう。
方法は、各動物にみんなを振り分けて(ブタとかイヌとか)、指導者の指揮にあわせて、それぞれの鳴き声(oink-oinkとかbow-wowとか)で鳴いてもらう。
リズム、声の高低、緩急、大小に変化をつけて、うまく指揮すると、それなりの「曲」ができあがる。
これで動物名、鳴き声にも慣れ、warm-upにもなり、楽しい。
もう動物の鳴き声なんて知っている、という学習者、たとえ大人でも、エネルギー不足の場合に、このようなアクティビティが力をくれる。
(続く)