『The Snowy Day』を再発見する〜絵本リードアラウド認定講師講座第8回

初版が1962年に出て以来のロングセラーで、わたしは本屋としてもずっと売っていたのにもかかわらず、指導者としては、一度もリードアラウドしていなかったのが、本書だ。

「初めて白人以外の子どもが主人公になった絵本」といわれるエピソードには、興味をもっていた。

今回しっかり読んで、バックグラウンドについても読んで、好きな一冊となった。

 

 

ナレーターは落ち着いた抑制的な人で、キャーキャー騒ぎ立てるところはないけれど、幼い頃の喜びをまだ昨日のことのようによく思い出せる、まだ澄んだ目も持ち合わせていて、子どもやコミュニティを見る目が温かい。

 

抑制の効いた、形容詞や副詞の少ない本文のなかに、閃光のような驚きや喜びや、子どもにはどん底のように感じられる悲哀が、まるで練り込められているようだ。

絵本を読みだした初期の頃は、なんてこと! これらを読み過ごしていた。

 

受講のみなさんには、今回、これら声高に語られていない感情を、いろいろ発見し、声に込めてもらおうと演習をすすめた。

 

最初に本を分析して、頭で読む。

無垢な子どもの可愛らしさ、それと、灰色の都会の下町を美しく塗り替える雪の美しさや驚き、これらをテーマととらえ、次に心で読む。つまり表現に繋げる。

 

まず、表現を一番に考えた読み方を演習した。

冒頭の、One winter morning、ここには「驚き」が込められている。

これを表現できるか。ここで、聴く人の心を掴む。

 

センテンスごとに、そこにある気持ちを、声の要素である、pitch、volume、paceを適宜に使って声に込める。

注意を促されるとできるが、注意を怠ると「ただ読んでいる」になってしまうことが多い。

なんの感情もない言葉がぽこぽこ出るのを、モグラたたきのように叩いて行くような演習だ。

 

 

この「表現を一番に考えた読み方」の他に、「聞いている人に理解してもらうことを一番に考えた読み方」を、指導者として演習した。

 

それは、「だれが(何が)」「どうした」という、主部と述部を聞き取りやすくした読み方だ。

そのような読み方をして聞かせた後に、それらが答えとなるような発問をする。

 

例えば、「”Winter morning” “Peter” “looked”」 と””部分を強調気味に読んでから、

When was it? 

What’s the boy’s name?

What did he do?

などと、質問を続けると、正答率が高くなり、生徒たちのやる気も増してくるものだ。

 

本書程度の語数の絵本の場合、絵が本文の意味を50%程度は説明しているが、残りの50%は文の理解が必要だろう。

そこで、重要語句を声の強弱、高低、緩急で際立たせ、感情も入れることで、メリハリをつけたリードアラウドをすることで、理解させられる。

指導者の読み方ひとつで、読解が進む。指導者は責任重大だ。

 

さあて、みなさんの『The Snowy Day』は、どのような仕上がりになりますか。

プレゼンを楽しみにしています!

『Swimmy』は第二次世界大戦後のアメリカを泳いでいる〜リードアラウド研究会

何度目になるだろうか、また『Swimmy』を読み直した。

おお!

今日は、「a tune fish」が戦車に見えた。

 

そうか、これは第二次世界大戦を経験した作者の寓話でもあるのか。

 

民衆(red fish)が、戦車(a tune fish)に襲われる。それは

came darting through the waves.  ああ、恐ろしい。

 

たった1匹残ったSwimmyは、廃墟を泳ぎ、恐れ、寂しさと悲哀を感じて落ち込む。

旅をするうちに、違う世界が見えて、生命力や美しさ、多様性などに目覚める。

lobsterはドイツ?strange fishは「ソ連」?きらきら光る a forest of seaweedはアメリカ合衆国?ウツボは、長い歴史がある中国?palm treesがあるのはハワイ?

どこも興味深い。そして、仲間が怯えながら隠れ住んでいるのを見つけた。

 

大きな魚に喰われないで、仲間と生き延びる方法を、Swimmyは考える。

 

そして、共同する生き方を思いつく。一匹一匹は小さくとも、集まってそれぞれの立ち位置で頑張れば、そして誰かがその「目」の役割を果たせば、一匹の大きな魚のように生きられる、と。

 

イタリアのユダヤ人家庭に生まれ、イタリアに移住。イタリアでファシスト政権が樹立した1939年にアメリカ合衆国へ亡命した作者、Leo Lionni だ。

small fishとして生まれ、きっとたくさんのsmall fishが大きな魚に飲み込まれるのも、息を潜めて暮らすのも見てきただろう。

そして戦後のアメリカで、多くのSwimmyが仲間のsmall fishの「目」となり、力強い「大きな魚」になって勝ち進むのも見ただろう。

 

理想的な民主主義が垣間見られた、戦後のアメリカを思わせる話でもある。