
企画したばかりと思っているうちに日が経って、本講座当日になり、
そしてあっという間に終わった。
この頃、時が進むのがやけに速い。ああ、歳を食ったからかあ。
さて、いつもどんな方々に会えるか、特に楽しみな絵本リードアラウド認定講座一日講座。
今回は、まったくの初対面の方は少数派。
ふたりはオンラインでご一緒した「顔見知り」、もうひとりは、10年くらい前にスタッフ募集時に、絵本朗読も聞かせていただいた懐かしい顔だった。
いつも思うのだが、リードアラウドをよくぞ見つけて下さった。覚えていてくださった。遠くから来てくださった。本当にありがたい。
今のところ年に2回開催の一日講座だが、これには通年の認定講座とは少し違った喜びがある。
それは、[BEFORE] と[AFTER] の朗読で、たいていの参加者の表現(朗読)がみちがえる(聞きちがえる?)ようになるから。
『Go Away Big Green Monster!』を使ってのこの日の表現演習。
発声に始まって、声の要素のうち強弱、pitch(高低)、緩急などに加え、感情を本文の文句に乗せる。
そして作品を分析後、内容に即して表現を調整する。本書では特に、読む速さを「序破急」で変えるのも効果的だ。
そこで、どこまでどういう速さで読むか、速度も変えて効果を確認する。
演習は最小限にしたつもりだが、それでも短時間でこの日のすべてを各自の朗読に反映させるのは、経験的にいえば、しんどい。
そんな盛りだくさんの演習で、特に手応えを感じたものがある。
感情を乗せてボールを投げ合う(!)、いい大人にはちょっとワイルドなシアターゲーム、Word Ball とEmotion Ballゲームでの演習だ。
本当に不思議な効果のある、このゲーム。
ただのボール投げとは、ちと違う。
ボールを投げながら、課題書からピックアップした要になる文句に、いろいろな感情を込めて言う。
こうすると恐らく、それまで各自が無意識に抑圧していた感情が、ボール投げという行動に気をとられて露わになるのだろう。
平坦だったり、作りものだった表現に、魂が入るのだ。
今回のこのボール投げ、なにかの拍子に特別な力が入り、口から出る文句、たとえば「Go away!」だったりが、かなり迫真のものになった。
「いっちまえ!」といったような、普段は決して口に出ない口調が現れ、それを受けて次の人は「ええーい、おまえこそ、いっちまえ!」といった感じで「Go away!」を生き生きと言ってのけるのである。
この言葉とボールのやり取りはまるで、子ども時代のドッチボール。楽しくなる。
これは、開放感というものだろう。
開放感は楽しさを生む。
この指導者自身が楽しんでいる空気を、リードアラウドは必要とする。
この日、味わってもらえたことは収穫だ。
こうして、[AFTER]の朗読は、表現は生き生きとし、ほかの要素もいくつもクリアして、[BEFORE]とは大違いなものになった。
(指導方法については、つづく)