欧米の小学校では、学校や図書館が主催するブックフェアが盛んだ。
日本でもインターナショナル・スクールや、授業をすべて英語で行うイマージョンの学校では、同様だ。
地域の書店か図書館が新品の本を仕入れて、学校内の会場に並べ、家からお金をもらってきた生徒たちが先生に引率されて本を買う。
自分の本というものを持つ喜び、面陳されたきれいな表紙の本から選んでいく楽しさ、それから低学年の場合は、ひとりで買い物ができるという嬉しさなどが混じって、お祭り騒ぎだ。
学校や図書館や先生も、生徒たちに本に親近感を持たせ、読む機会を増やせるからと、大変乗り気だ。
書店が本を供給する場合は、先生方が新しい本や人気の本の動向を知る機会にもなる。
英語の本であれば、都心の限られた書店でなければ種類も多くないし、第一、手にとって見られない。
それができるブックフェアの意味は、さらにあるだろう。
日本の普通の公立や私立の学校には、ブックフェアなんていうもの、最近はあるのだろうか。
昭和30~40年代の公立の小学校ではいわゆる「ゾッキ本」というセール本のブックフェアがあったのは、おぼろげに覚えているけれど、最近は聞かない。
「業者」が学校に入るのを嫌ったり、子どもがお金を扱うことを学校が面倒に感じたりする空気が、あるのかもしれない。
でも、本離れも、子ども時代のブックフェア経験で少しは止められるかもしれない。
宝物のような本との出会いがあるかもしれない。
数は少しだが長年の出入りの書店として、いつも幸せそうな子どもの顔が見られるブックフェアは、本当に楽しみで、本屋人生の喜びになっている。